第19話・完治?


「ん……う~ん……」


「あっ、起きた?

 あおいお姉ちゃん」


翌朝、第一声を上げた彼女にボクは

話しかける。


結局あの後、他のお姉ちゃんたちは

ぶつぶつ言いながらも―――

すぐに患者さんに対する処置をテキパキと

やり始め、


看護師としての仕事をまっとうし、

夜はボクと葵お姉ちゃんだけを入院部屋に

残して、3人はナースステーションで

待機する運びとなった。


『何かあったらすぐナースコールを

 押すッス!』


『全力で駆けつけるのである』


『あと見回りにも来ますからね~』


そう加奈お姉ちゃん・理奈お姉ちゃん・

詩音お姉ちゃんに言われていたけど……


押す機会は訪れず、また見回りに来た時は

寝ちゃっていたから―――

その時の事はわからない。

でも、ちゃんとプロとしてナースのお仕事を

していた事だけは確かだと思う。


「起きたッスかー、白波瀬さーん」


「じゃ、ケガの具合を見るのである」


「みっちゃんはちょっと離れていてね~」


すると3人が入って来て、手馴れた様子で

葵お姉ちゃんの診察を始める。


よく眠っていたし、薬も飲んだから……

きっと回復に向かっている、そう思って

いると、


「んっ!?」


「むむっ!?」


「あら~?」


包帯を取り外すと同時に、葵お姉ちゃん以外の

みんなが声を上げる。


ま、まさか……悪化したの!?

ボクがドキドキしながら見守っていると、


「完治してるッス……!」


「傷口がふさがったとかいうレベルでは

 無いのである。

 きれいさっぱり、なのである」


「おかしいですわね~……

 いえ、いい事なんですけど、通常なら

 裂傷れっしょうは治るまでもっと時間がかかる

 はずです~」


どうやら治ったみたいだけど、みんな

首を傾げる。


まあ、それはそうだと思う。

ボクだって、狼を相手にしてのケガがたった

1日で完治するなんて信じられないし―――


そう思っていると、ボクの目の前に

ステータス画面が勝手に開いて、




――――――――――――――――――――――


病院管理者:ミルトレッド

転生前:安藤あんどう蜜弥みつや


レベル:11


・現在のスキルptポイントは14,680ptです。


・現在の病院内滞在者:4名


・『治療』が発動しました。


アデリーナ

転生前:白波瀬しらはせあおい

『治療』しました。


『治療』は病院内で一泊すると、自動的に

処置されます。


『治療』は状態異常に適用されます。

また、これによるスキルptの減少は

ありません。


滞在者pt:1日/1,200pt



――――――――――――――――――――――




「ふえぇえっ!?」


驚いて声を上げると、みんながボクの方へと

振り向き……


その後ボクは、いろいろとお姉ちゃんたちへの

説明に、追われる事になった。



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