第20話・改めて


「はぁ~……


 『記憶』と『再現』で聖赤山せいせきざん病院を

 こちらの世界に出しただけでも驚いた

 けどさ―――


 まさか一晩で『治療』するスキルまで

 あろうとは」


ワンレンロングの金髪を揺らしながら、

あおいお姉ちゃんは天井を見上げて

両腕を組む。


「いつの間にか私らの古傷も全部消えて

 いたッスからねえ。


 そういや、持ち込まれたモンを

 ptポイント変換する機能もあったッスよね」


「考えてみれば灰色狼グレイウルフの攻撃でもビクとも

 しなかったし……

 通常の建物ではないのである」


ブラウンのツインテールをした、幼顔の

加奈お姉ちゃんと、


茶髪ロングストレートのおっとりした感じの

理奈お姉ちゃんが、うなずきながら語る。


「まあ、スキルptでいろいろ食べ物や

 品物を出してくれる時点で、それは

 今さらという感じですわ~。


 でもこの分だと、まだ何かありそう

 ですわね~」


この中で一番背が高く、胸も大きい、

切れ長の目をした詩音お姉ちゃんも

この病院に未知の機能というか能力が

あると考えているみたいで、


ボクもステータス画面のいろいろなところを

タッチして、中身を調べる事にした。




「―――で、


 『物理』『魔力』『状態異常』無効化が、

 標準機能としてそなわっていると。


 さらに『状態維持』『洗浄』で、汚れや

 持ち込まれた不衛生なものも1日で

 リセットされる……


 ここまで来ると病院兼要塞だな。

 しかも医療技術は異世界レベルと

 来たもんだ」


「う、ウン。

 ボクもまさかこんな事が出来るなんて」


ボクの説明に、葵お姉ちゃんはその判明した

機能を口に出して、呆れるような表情になる。


「さらに飲食物トイレフロ完備で

 住めるッスからねえ、ココ」


「そして敵の攻撃は一切受け付けない。

 無敵過ぎるのである」


「しかも中に入るのは許可制ですからね~。

 侵入すら無理ですわ~」


他のお姉ちゃんたちも、改めて病院の機能に

苦笑する。


「まあ―――とにかくだ。


 今まで便利って事だけで使っていたけど、

 もっと徹底的に調べて把握しておいた方が

 いいだろうな。


 これまでは先生方にも遠慮して、そっちの

 各部屋に入るのは控えていたけど……

 それも含めて探索してみよう」


と、葵お姉ちゃんの提案で―――

みんなで一度、病院の隅々すみずみまで調査する

事となった。



――――――――――――――――――――――




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