第8話・お風呂上り


「はふうぅ~……」


大浴場でお姉ちゃんたちと『一戦』交えた後、


ボクたちはみんなで、病院内レストランに

場所を移していた。


「ご、ごめん。

 いったん始まったら、もう止まらなくて」


あおい先輩、一番エグかったッスもんね」


加奈お姉ちゃんがそう言うと、

葵お姉ちゃんは肩をすくめ―――


「そういうあんたも人の事言えないのである」


「理奈さんも終始無言な分、鬼気迫ききせまって

 いましたよ~?」


理奈お姉ちゃんに、詩音お姉ちゃんが

注意する。


確かに理奈お姉ちゃんは、ひたすら真面目?

に、ボクの体をむさぼる……

そんな感じだったけど。


「そ、そういえばこのタッチパネル式の

 注文もそのままで……」


ボクは話題を変えようと、その電子パネルを

手に取ってみんなに見せるように振る。


「んー、でもこれ注文したら来るのかな?」


「店内は無人っぽいッスねー」


不思議そうにお姉ちゃんたちは周囲を見渡す。


あ、そうだ!

売店で買い物をしようとした時の事を

言わないと。


「ちょっと聞いて欲しい事があるんですけど、

 ボク、売店で買い物をしようとしたんです。


 そうしたら、ステータス画面?

 が出てきて―――

 スキルptポイントっていうのと

 引き換えに買うらしいんですよ」


「そうなのであるか?」


「あら~……

 無限に変えるわけじゃありませんのね~」


そこでお姉ちゃんたちと情報を共有して、

いろいろ試してみる事になった。


その結果―――




「ふーむ。


 病院内に入るのは許可制で、みっちゃんの

 同意が必要……


 そして入った人たちはみっちゃんや他の人、

 また施設内に害を与える事は出来ない。


 商品やサービスは表示されている

 スキルptを消費して、交換される。


 こんなところか」


葵お姉ちゃんがわかりやすくまとめてくれて、


「スキルptはみっちゃん以外の滞在者が

 病院内にいて、その滞在時間に応じて

 増加するッスね」


続けての加奈お姉ちゃんの言葉に、ボクは

うなずく。


「増減は1日経ってから計算される

 みたいなので、明日にならないと

 わかりませんが……


 ただここでの食事や飲み物も、

 3ptから10ptくらいですので、

 1万ptを越える事は無いかと」


「気を付ける必要はあるけど、使い切る

 心配は無さそうであるな」


「一応、様子見した方がいいとは

 思いますわ~。


 じゃあ、取り敢えず~……」


理奈お姉ちゃんと詩音お姉ちゃんが、

そわそわし始め、


「おーし、じゃあ今日という日の再会、

 そして念願かなった事を祝って―――


 注文するぞっ!」


「「「おー!!」」」

「おー!」


葵お姉ちゃんの号令にボクだけ出遅れ、

みんなが握りこぶしを上げた。




「おビール様!! おビール様!!

 おビール様!!」


「くあぁ~っ! この世界でまさかビールが

 飲めるとは思わなかったッスよ!」


「ホント、マズかったものであるよ。

 この世界の酒……」


「この一杯のために生きてるぅ~♪」


お酒がよほど嬉しかったのか、

お姉ちゃんたちはハイテンションになる。


乾杯には付き合ったけど、ボクの分は

クリームソーダだ。


それにボクはお酒より、ラーメンや

カレーライスを食べられる方が

嬉しかった。


前世でも、病院食以外はあまり食べる機会が

無かったからね。


「あの、ところでお姉ちゃんたち」


「ん? なーに?」


お姉ちゃんたちの気分が良くなっている

ところへ、ボクはずっと気がかりになって

いた質問をしてみる事にした―――


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