第2話・うん、みんな覚えているよ

「ま、まさか……」


「男の子ッスか!?

 そして―――」


「僕たちの事、わかるのであるか?

 つまり……」


「みっちゃん……?」


お姉ちゃんたちが次々と声をかけて

くる中、ボクも理解した。


「もしかして、お姉ちゃんたち……!?」


ボクが答えると、それが合図かのように

みんな抱き着いてきて、


「良かったぁ~!!

 みっちゃんもこっちの世界に

 来ていたのね!!」


「久しぶりッスね~!

 元気だった!?」


「何にせよ間に合って良かった

 のである……!」


「ちょっとみなさん?

 それだとみっちゃんの呼吸が―――」


次々と出て来る質問に、ボクはたくさんの

おっぱいに挟まれて答えられないでいた。




「あー、悪かった悪かった。


 落ち着いたところで自己紹介といくか。

 アタシはアデリーナ。

 この冒険者パーティーのリーダーを

 やっている」


そう話す、いわゆるワンレンロングの金髪の

三白眼さんぱくがんのお姉ちゃんは―――

転生前は白波瀬葵しらはせあおいという

ボクの病院にいたナースさんの1人で、


「私の事覚えているかなー。

 今の名前はマイヤだけど、転生前は

 弥月加奈みつきかなっていうッスよ」


小柄なブラウンのツインテールをした、

年齢より可愛い顔をしているのは

加奈お姉ちゃん。


「僕はエヴァである。

 転生前の名前は、校倉理奈あぜくらりなって

 いうのであるが……」


そして加奈お姉ちゃんと同じくらいの身長の、

長い茶髪をしたお姉ちゃんが理奈さん。

垂れ目でおっとりした感じが印象的。


「わたくしがレイラ―――

 こっちの世界でも身長が高いから、

 わかるかしら?


 あっちでは和泉詩音いずみしおんという

 名前だったわ~」


170cmはありそうな、シルバーの長髪に

切れ上がった目をしたそのお姉ちゃんは……

呼ぶ時によくお母さん、と言ってしまう事が

あったので、それも含めて強く記憶に残って

いたりする。


「うん! みんな覚えているよ!!


 ボク、死んだ時もお姉ちゃんたちと

 また会いたいって願ったから―――

 すごくうれしい!!」


ボクが力いっぱいそう言うと、


「そーかそーか♪

 アタシもうれしいよミッチー♪」


「こっちの世界では健康なんだよね?

 もう離さないッスよ~♪」


「あっ、コラ!

 僕も……じゃないのである!

 少しは先輩に遠慮ってものを―――」


そしてまた呼吸が胸の圧迫で苦しくなる。

するとレイラさんが3人を引きはがし、


「だから胸を押し付けない。

 せっかく助けたのに窒息死させる

 つもりなの?


 それと、みっちゃんの事を聞いてないわ。

 どうしてこんな場所に~?」


そして僕は、この世界に来てからの事を

説明する事にした。

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