女性冒険者パーティーの愛玩少年記~ナースのお姉さんたちと一緒の世界に転生したボクは、 病院ごと彼女たちの癒し要員となる~

アンミン

第1話・生まれてから死んで生き返ってからまた出会う


「ん……」


僕は気が付くと、ふわふわと浮かんでいた。


「あー、ボク死んじゃったのかあ」


ボクの名前は安藤あんどう蜜弥みつや

生まれた時から難病だったらしい。


最初は病状が悪化していないかを見るため、

定期的に入院していたんだけど、


6才になってからは本格的な入院生活に入り、


そして先日―――

そろそろ12才の誕生日を迎えようかと

いう時、


ボクの意識はそこで途絶え、気が付くと

病院の中をふわふわとただよっていた。


「クラゲみたいだなあ……

 あっ、あの人たちは」


病院の裏側、そこで―――

いつも僕の面倒を見てくれていた、

ナースのお姉ちゃんたちが集まっているのを

見つけた。


でも、話しかけようとしても声が出ない。

きっと話しちゃダメなんだと思う。


だけどお姉ちゃんたちの声は聞こえ……




「ダメだったねー」


「あー、みっちゃんの事ッスか?」


「先生も何とか治療法を見つけようと

 していたようだけど」


「間に合わなかった、わねえ……」


多分、ボクの事を言っているのだろう。


「でもさー!

 ほとんど病院の中で学校にも行かなかったん

 でしょ?

 ある意味、うらやましい人生よ」


「そーそー。

 受験戦争とか、そういうのも一切無かった

 ッスもんね」


「そして若いまま、かあ」


「確かに、いろいろな苦労を知る前に、

 綺麗な体のままけたのは良かったの

 かも知れませんわね」


みんな、僕の両親が聞いたら怒りそうな事を

話しているけど……


でもその声は涙が混じっていた。


顔を見ると泣きながら笑っていた。


泣かないで。大丈夫だよ、ボクはとても

幸せだったよ。


お姉ちゃんたちと出会って、甘えさせて

もらって―――


誰よりも大好きだよ。


お母さんと同じくらい好きだったよ。


もしもう1回生きられるのなら……

またお姉ちゃんたちと会いたいな……




「……えっ?」


そしてボクがまた気付いた時は―――

何か木製の小さな小屋みたいなところにいた。


そして傾いている。


あ、これ馬車だ。

そうだ、確かボクは領主様のところへ行く事に

なっていたんだっけ。


村の少年、ミルトレッドとして……


そして手配された馬車に乗って、これから

領主様のお屋敷に向かうはずだったのに。


途中、大きな音がしたかと思うと馬車が

跳ね上がって、そのまま僕は気を失って―――


『ブモォッ!!』


「!?」


馬車の入り口? 後ろの部分から大きな動物が

頭を突っ込んできた。


それはイノシシのような獣だった。

だけどとても大きな……


そして頭の中に知識や情報が流れ込んでくる。

これは魔物だ。


地球や日本にはいない―――


そうか、コイツに馬車が襲われたんだ。

理解が追いついてくると、体が震えだす。


ボクは多分生まれ変わって、別の世界の村で

ミルトレッドという少年になって、


そして今、魔物に襲われているわけで。


もしかして生まれる前の記憶が

よみがえったのは……

もう死ぬ直前だから?

走馬灯そうまとうってヤツ?


いや、いやだ。

せっかく健康な体になったのに、

また子供のままで死にたくない。


でもそうこうしている間にも、魔物はどんどん

頭を突っ込んで来て……


「やめなさい!」


と、どこからか女性の声が聞こえてきたかと

思うと、


『ブギィッ!?』


その魔物は悲鳴のような鳴き声と共に、

馬車から頭を引っ込め、


「トドメだ!!」


「大人しく死ねッス!」


「ていうかマイヤー、リーダーの邪魔しちゃ

 ダメですよ~」


と、次々と外から年上っぽい女性の声が

聞こえ、


「あら、子供がいますね……

 この子が狙いだったみたいね~」


銀の長いストレートな髪の、身長が高そうな

お姉さんがまず顔をのぞかせ、


「オイ、大丈夫か!?」


続いて顔の輪郭りんかくを隠すように、ブロンドの髪を

伸ばした人が、


「んー? 女の子ッスか?」


「ずいぶんと美形さんであるな。

 でも着ているものが……ん……!?」


次いでこげ茶色のツインテールをした、

小柄な可愛い丸顔のお姉さんが、


あと同じくらいの身長の、茶髪をストレートに

伸ばした人が馬車に顔を突っ込んで来て、


その4人のお姉さんと出会った瞬間、

電撃みたいな衝撃が頭の中を通り、


同時にお姉さんたちも、僕の顔を見て

目を丸くしていた。



――――――――――――――――――――――



『女性冒険者パーティーの愛玩少年記』は、

月~金の毎日更新です。


(;・∀・)一応性描写アリとはしましたが、

直接的なものは書かれていませんので、

安心(?)してお読みください。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る