第5話 絡まった糸は簡単にほどけない

あれから数日間純恋の様子が少しおかしい。私と顔を合わせると泣きそうに見える。

目が合うと無理やり作り笑いをしているのは明白だ。私は純恋を傷つける何かをしてしまったのだろうか。

考えても同じ思考がループしていく。

HRが終えるのを思考することで時間を潰していく。前の席の純恋と後ろの方の席の花奏はいない。

「どうしたものかな、」

「どしたんー?」急に声をかけられて驚いて振り向くと莉緒がいた。

「莉緒、聞こえてた?」

「うん、何か悩み事?」

「悩み事っていうか純恋のことなんだけど」

「あー、確かに最近ちょっと様子が違うよね、何かあったの?」

「いや、それが心当たりがなくて」

この前、家に来た時に涙を流していたが流石に勝手に言うわけにもいかない。

「ん~、本人にも聞きにくいよね」

「そーなんだよね、どうしたらいいのかな」

「誰かを通して聞いてみるとか?」

「それだ!!莉緒、今だけ賢い」

「今だけ?!聞き捨てならないんだけど~!!てか、花奏が一緒にいるはずだから戻ってきたら聞いてみたら、?」

「そうしよーかな、ありがと莉緒」

「いえいえ~、早く戻るといいね」

「うん、」

どこか心配な気持ちは残りながらも少し聞いてもらって心が軽くなった。

HRが終わって少ししてからも花奏達はすぐに戻ってくる雰囲気はなかったからメッセージを送ることにした。

『花奏、純恋って何かあったとかっていってた、?』

今日は委員会の仕事があるからずっと待っとくわけにはいかない。純恋とのメッセージを開いて『ごめん、今日委員会あるから先に帰っといてー!』と送る。

「莉緒ー、委員会行こー」

「だるい~絶対長いやつじゃん」

「今日は話聞くだけだから案外早いかもよ」

「いやいや、そんなことはないって!」

今日は、少し気になっている人に会えるから気分も少し浮かれ気味だ。

「今日、委員会あるってことは廉くんと会えるじゃん」

「そーなの!嬉しすぎる」

「今日も桜の前髪もビジュも完璧だよ」

鏡で私を映してくれる。廉くんにアホ毛とか見られたくない。

「ありがと、莉緒。莉緒も今日も完璧に可愛い」

ぐっとポーズをすると相手からもかえってくる。そのせいだろうか。スマホがメッセージを知らせる通知音が鳴っているのに気づかなかった。


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