第3話 放課後は2人で

数学の小テストも6限も無事に終え、HRをしている。つまらない話をし続ける担任に見飽きて前の席の純恋を見る。今日は薄い茶髪の髪を緩く巻き、下でツインテールにしている。まだ春だから長袖シャツに薄い水色のカーディガンを羽織っている。いつみても見た目も性格も完璧な幼馴染みだ。

そうだ。今日は金曜日だし遊べるかな。誘ってみよう。色々考えているうちにHRが終わった。

「純恋、良かったら今日一緒に遊ばない?」

「いいよー!私も誘おうと思ってたー」

「家かカフェどっちにする?」

「んー、桜子のお家行きたいな。今日、いけそうー?」

「うん、ていうかいつも来てるじゃん」

「えへ、ばれた?」

前言撤回。私の幼馴染みは完璧で可愛らしいがあざとい。

純恋と話していると、2人が来た。

「桜、純恋~一緒に帰らんー?」

「いいよーね、いいよね桜?」

「もちろん」

「四人で帰るの久々じゃない?」

「確かにー、あ、今日プリ撮りに行かない?」

「え、めっちゃいいじゃん!2人はどうー?」

純恋を見る。「今日は2人が良い」

2人に見えないように口を動かした。

「私も」純恋が口を動かした。

「ごめんね、2人とも。今回は桜とパスかなー。親に買い物2人で頼まれてて」

「そうなの?2人とも家、隣だもんね」

「いいなーうらやま~。漫画の世界じゃん!」

「良かったらまた、遊びに来て。」

「行く行くー!」

「あ、ここで分かれ道だね。また明日ねー」

「また明日」

私と純恋が手を振ると「「また明日ねー!」」とハモる声がして2人で吹き出す。

「あの2人仲いいよね」

「ねー!」

大きくてくりくりとした目が私を捕らえる。

「ん?どーしたの?」

「なんでもないよー桜は美人で良いなーって」

「純恋はいつも可愛いよ、今日のカーディガンも似合ってる」

「もー、桜。そんなに人たらしなこと言ってるといつか刺されちゃうよ」

「私も誰にでも言ってる訳じゃないよ」

「だから、そーゆーとこだよー!」

私達がいつものようにやりとりしているのを2人が見てたことは知らなかった。


「莉緒ーあの2人ほんとに仲いいよね」

「ねー!桜子も純恋も無自覚な人たらしすぎて怖い」

「ほんと、あの2人はもっと自覚を持った方が良いと思う…てかあの会話カップルよりカップルすぎない?」

「んね、糖度高めの会話すぎる」

「それなー。うちらもそろそろケーキ食べに行かん?」

「あんまり食べると太るよ?まぁ行くけど」

「太らないしー!新作のミルフィーユ食べよーよ!」

「いいね、それ。ありよりのあり」

「いこいこー」

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