佐原ー覚醒 Ⅱ

よし、これで三人目だ。順調だぞ。


僕は自分を奮い立たせた。この調子でいけば、夜が明ける前に全員殺せるかもしれない。朝になると何かと面倒だ。


僕は米川を監禁していた山小屋から出て、次なる獲物を目指し、進む。


その時だった。


「米川くーん、冬子さーん、国枝くーん」


女の声がする。しまった。もう気づかれてしまったのか。


僕は猟銃を構える。残っている弾数も少ない。


「米川くーん」


僕は声の発信源に近づく。女は森の中にいた。


猟銃を構え、狙いを定める。


確実に、そして慎重に……。


第二関節を動かし、引き金を引いた。


そして


「パァン」


弾かれたような銃声が響いた。


「ぎゃぁっ」


女の汚い喘ぎ声がこだまする。僕は急いで獲物の元へ走った。女は腹を狙撃され、腹部から大量の赤黒い体液があふれ出ていた。こいつは、見たことがある。顔写真でしか見ていないが、確か「河嶋美月」だったはずだ。


僕は美月に接近した。


彼女の表情は、歪んでいる。当然だろう。


「ひ、ひぃ」


彼女の表情は、やめてくれ、と懇願している。さあ、ここからが仕事だ。


僕はまず、猟銃から斧に持ち替えた。そして、彼女の割れている腹に向かってスイングした。


「ぎゃあぁぁああ」


崩壊した肉片と血液が飛び散る。素晴らしい。


「あふっ」


美月は喉の奥から逆流した血を吐く。苦しいか?春香はもっと辛い思いをした。お前達はそれを見過ごした。当然の断罪だ。


怒りに任せ、再び斧を振り下ろす。


「ぐぇえええ」


とうとう肉が裂け、大腸が見えるようになってしまった。


「いやぁあああ……た、すけ、てぇええ」


そこまで来て、僕は近くに転がっている木の杭を発見した。


そして、それを彼女のグロテスクな腹に、迷わず突き刺した。


「ぎゃぁあああああああああああぁぁぁ」


ブチブチッと、臓器が切断され、潰れる音が響いた。


赤黒い体液が宙を舞い、肉片は崩壊し踊り狂う……。


僕は木の杭を突き刺す力をさらに強めた。


「いぎゃあぁあああああ」


彼女は悶絶し、白目を剥きだし、口から、血と泡をぶくぶくと吹いていた。


そして、僕はとどめを刺すことにした。


彼女の首に狙いを定め、持っていた斧を持ち上げる。


「ゃ、ゃめ」


彼女が最期に奮い立たせた生存本能だろうか。美月は僕に助けを求めるように声を出した。


そして、斧を美月の首に向かって勢いよく振り落とす。


首の骨が折れる、鈍い音が山で響いた。

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