『アモンカスタの鐘』 中の下の3


 ネサゲラーは、大きな丸い頭の上に小型潜水艦を載せて、洞窟内をほんのちょっと移動したあと、ぐわっ〰️〰️、と頭をもたげたのである。


 かなりのGが掛かった。


 『おわっ。』


 荒事にはあまり慣れていない議長が、つい、叫んだ。


 『議長、たしか、第一次核戦争の勇者さまですよね。』


 『核戦争というのは、あまり、やることがないんだ。うまく、避難誘導できるかが、鍵なんだ。』


 『なるほど。あ、議長、頭の上が、空洞になりました。クライミングの準備完了。五倍、たのんます。確かに核戦争なんかを見たあなたは勇敢であります。それで、生き残ったあなたは、いまが、楽かもしれないが、わたしは、これからを、楽に過ごしたいわけですよ。では。行きます。』


 『うむ。地球の運命は、きみに掛かっている。』


 『いや、あなたも行くのです。あなたが鐘をつかなくて、誰がつくのですか。サポートしますから。さあ、はやく、準備して。ダイジョブです。動力付きのロープだから、力はあまり要らないよ。』


 『四倍にする。』


 『ふん、ま、良いでしょう。さ、さ、さ、早く早く。時間が来ます。』


 ネサゲラーは、突然に、頭を揺らした。


 『わー。動かないでください。』


 『あたま、かゆい。早くしてくらさい。』


 ネサゲラーは、潜水艦を突っついたのである。


 

         









 

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