『アモンカスタの鐘』 中の下の1


 『こんな洞窟に隠れていたかあ。ちっ。』


 議長は、得意の舌打ちした。


 『艦長、いや、議長。ネサ・ゲラーは、人間と、話ができますよ。音波通信装置を使えば。』


 『この船にあるのかね?』


 『いや、でっかい声を出せば、船体の振動を読むはずです。ネア・ゲラーほど耳は良くなく、おっとりしてますが(ネサ・ゲラーの姿は、ちょっと古いやましんの近況ノートにあります。)、海の中なら、意外と敏感です。ただし、咜られるのが苦手で、すぐに泣きます。泣くと、周囲のすべての物質や経済的価値が、一気に暴落しますが、ここならば、あまり影響はないでしょう。』


 『この船はダイジョブか?』


 『さて、そうですな。それは、考えなかったですよ。まあ、もしかしたら、ボロボロになるかも。しかし。泣かさなければ良いのです。やさしく。丁寧に。』


 『でかい声で、優しく丁寧は、難しいな。』


 『あなたは、得意なはず。』


 『ふん。まあ、この際だ、やってみよう。』


 議長閣下は、深呼吸をした。


 『あ〰️〰️〰️。ネサ・ゲラーさん?』


 『まだ、声が小さいです。』


 『なんと? ふ〰️〰️〰️〰️〰️。ああ、ネサ・ゲラーすわあん!』


 すると、びっくりしたネサ・ゲラーが、ひっくひっくしたのである。


 小型潜水艦の艦体が、ぎしぎしと歪んだのだ。


 『わ、わ、わ、わ、わ。きしんでる。』


 コンピューターが、すかさず、警告を出した。

 

 『金属疲労が発生しました。15%。』


 『まずいな。』


 『声の大きさは、そのくらいで。しかし、より、温かく、柔らかい音をください。ベルベットのような。』


 『指揮者みたいだ。』


 『そうです。議長は、へたくそな、オーケストラです。』


 『へたくそなあ?!』


 『しっ。聞こえますよ。優しく、柔らかく、温かく。フォルテで。しかし、フォルティッシモではなくて。』


 『なんで、そんな、指図を受けるんだ?』


 『地球平和のためですよ。』



      🕊️..........












 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る