『アモンカスタの鐘』 中の中
『ありまあ。やっかいな場所に連れ込まれたな。』
『議長、ラブホみたいに言わないでください。洞窟に入るのは、この種の話では常道です。また、必ずや怪獣が出る。ノーチラス号またしかり。』
『われわれは、世捨て人でも、海賊でもない。地球連合の代表者だよ。任務を達成しなければならない。すなわち、地球の平和だ。』
『もちろん、そうです。しかし、議長、わたしは、遠隔装置で鐘を突いて、ただしく効果かあるかどうか、実は自信がありません。もしかしたら、あなたが、自分の手で鐘を突いてこそ、効果があるのではないか、とも思うのです。理由はわかりませんよ。直感ですが、機械が突くのと、人が突くのでは、違いが出ます。僧侶が直に祈るのと、録音で祈るのとに違いがあるか無いか。まあ、実験したことはありませんよ。だから、確信はありません。』
『おいらは、違いはないと思うね。僧侶の祈りが重要なのではなくて、民衆の行動が問題なのだ。それに、つなげられるかどうかだ。20世紀はそいつを証明したのだから。だから、とにかく、鳴らすことが重要だ。鳴ったことを知らせることが大切だ。そのために、超高性能集音器を、あちこちで、稼働させているんだ。この、リモコンは、なんキロくらい届くんだ。』
『まあ、障害物がなくて、見通し3キロというあたりです。島の端から鐘まで2.8キロです。』
『ぎりぎりか。歩いたほうが早いかな。』
『歩ければですよ。だから、まず、リモコンを試す。ネア・ゲラーは、聞き届けたら、大声で鳴きますからね。あいつは、地球中の音を聴きますから。鳴かなかったら、あなたが、歩く。』
『君もだろ。』
『なら、報酬を2年分。』
『なんと、夜叉め、夜叉め!』
『おう、夜叉けっこう。ほんとは、3年分と言いたいところなんですよ。ここまで同行したので1年分。』
『いっしょに、ただ、乗っただけではないか。』
『なら、降りてください。それとも、闘いますか。』
闘争民族カルカン人のシッポックは、地球最強の戦士であり、しかもまだ若い。
年よりの議長が、素手で叶う相手ではない。
『詩吟対決なら、やろう。〽️た〰️か〰️さ〰️ご〰️や〰️〰️⤵️』
『却下。帰ります。さようなら。』
『まてまて、わかったよ。機密費を使うから。』
『宜しい。では、洞窟を探検しましょう。』
『まてまて、時間がないぞ。早く、上陸しなくては。』
『急がば回れ。なにか、予感がするのです。しーぽーくぅ〰️〰️〰️✨』
『君の予感力は良く分かっているが、急がなくては。(どすん!) わっ。なんだ、』
小型2人乗り潜水艦は、激しく揺すぶられた。
『艦長、急激な潮流です。あ、なにか、いますよ。あれ、あれ!』
『艦長ではない! おわ! 出た!』
そこには、巨大な怪獣が居たのである。
それは、正しく、ネサ・ゲラーであった。
🦕
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます