はいはい、異世界異世界
大沢ピヨ氏
第1話 ステータスオープン、せず
「あ、これ異世界転移だ」
そう結論づけた理由は、目の前で横たわる奇妙な鳥の死骸にあった。
カラス程の大きさをした茶色い鳥の死骸には、四枚の羽根が生えているのが見て取れる。
もしかすると昆虫の類かもしれないが、全身が羽毛で包まれており、頭部にはクチバシがある様子からも鳥の仲間であろう。
「それ食べるんですか?」
「いや流石に・・・」
覗き込むように後ろから話しかけてきた女の名前は奥田美咲といい、先ほどから鳥の死骸を熱心に眺めている男、長野純平の部下だ。
彼らの正面には深い森、背後には澄んだ水の流れる川があり、スーツ姿の二人の姿は些か浮いている。
鳥の死骸の他にも、厚さ5センチほどの薄い板状の幹をもつ樹木や、立方体をした灰色の実をぶら下げている草なども確認されており、ここがおおよそ地球ではないことが窺い知れた。
「これからどうします?」
「マヨネーズやリバーシを作る、あと蒸留酒」
「全然まだその段階じゃないですよね?」
「んー、そうだなぁ・・・じゃあせっかく異世界に来たんだし・・・」
二人は視線を合わせてから頷きあい、手のひらを身体の前に突き出し、自身が考える最強のポーズを決める。
「「ステータスオープン!」」
・・・・・・・。
・・・・・。
・・・。
◇◇◇◇◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます