お勉強会
お勉強会
午前中、部活を終わらせた後、僕は一度家に戻ってから麗華の家へと向かった。
麗華の家は門でさえ馬鹿みたいに大きく、インターホンを探す事にかなり手間取った。
家へと入った後、メイドさんに麗華の部屋まで連れて行かれ、麗華の部屋へと放り込まれた。
メイドさんによるとこの部屋は完全防音なのでなにをしても気づかないのだとか……
僕は麗華に促されるがままに椅子に座り、宿題を取り出す。
すると、麗華が隣に椅子を移動させて僕の勉強を見てくれた。
「あ、ここ間違ってます。」
「あ、本当だ。」
「ちなみにこれ、何が間違ってるかわかります?」
「多分だけど、計算間違いだと思うんだよなー、あっここか。」
「字は綺麗に書きましょうね。」
「はい。」
そう嗜められたりもしながら、僕らは勉強を進めた。丸々3時間程を消費し、夏休みの宿題を終わらせた。
「そういえば、海野さんって学校どこですか?」
「一華高校。」
「千葉県の凄めの学校じゃないですか。」
「いや、学校が良いとはいえ、僕の頭がいいとは限らないから。」
「でも、今日教えた感じ、基礎的な学力はしっかりついているようですし、全国で見たら大分いい方ですよ。」
「ありがとう。」
「紅茶、お好きですか?」
「うん。」
「それではお注ぎしますね。」
麗華はティーカップにトポポと紅茶を注いだ。
「あー、なんかいい香りするね。これなんて銘柄の奴?」
「○○です。」
後に調べてみたら、一杯一万円くらいの超高級なやつだった。
「そういえば、遥さんに何か頂いてませんでしたか?」
「ああ、なんか刀くれたよ。」
「その刀、大切にしてあげてくださいね。」
「麗華もスーツありがとう。」
「いえいえ、あれは日々お世話になっているお礼ですので。あ、こちら今日お出しした紅茶のパックです。気に入って頂けたようですので。」
「いや悪いよ……」
「先日遥さんを助けて下さったお礼です。受け取って下さい。」
「それでも、僕に返せるようなものが無いから。」
「一つ私のいう事を聞いてくだされば十分です。」
「麗華はそれでいいの?」
「はい。十分すぎる程です。」
「ならいいけど……」
「その、ハグ、抱きしめてくださいませんか?」
「いいの?こんな子供と……」
「いいんです。さあ、できるだけ強く、抱きしめてください。」
僕は恐る恐る渚の背中へと手を回して抱きしめた。そういえば、自分から誰かを抱きしめるのは初めてだったか……
なんだか麗華を抱きしめていると、安心感というか、麗華の体温が服越しによく伝わって来る気がする……
背徳感というか、なんというか……
麗華の息遣いが聞こえる。
「どうですか?」
麗華の息が耳にかかった。
「安心しましたか?いいですよ。もっと強く抱きしめても。」
なんとなく、抱きしめる力を強くした。
「そうですか。海野さんは意外と甘えん坊さんなんですね。私の方から頼んだのに、海野さんの方が夢中になっちゃってますね。これはこれでいいんですけど……」
それから、麗華に顔を埋めて思い切り匂いを嗅ぐ。
「いい匂い……」
「ちょ、海野さん?その、恥ずかしいのであまり嗅がないで貰えると……」
「……」
「わかりました。今回だけですからね。ですが、これだけは約束してください。他の子達にはやらないでください。その……普通に犯罪ですから……別に私にでしたら全然いいんですけどね。やりたくなったらまた言ってください。」
その時、ふと我に帰った僕は一度冷静になって考え直す。
この状況……あれ?僕は一体何を……
僕は麗華から一気に離れる。
「そ、その……ごめん。ちょっと正気じゃなくて……」
「まあ、確かにちょっとおかしいなとは思ってましたけど。」
「何というか、理性のたがが外れたというか……」
「いいんですよ。海野さんはいつも私達のことを助けてくださいますし。色々我慢もされているようですし。今回はその我慢していたものが出てしまっただけでしょう。」
「でも、やってしまったことは許されない事だから……」
「わかりました。ではこうしましょう?今回は不問にします。ですが、次、これ以上のことをした時は、神野家に骨を埋めてもらいます。」
「そ、それって……」
「その時は、責任。取ってくださいね♪」
「わかった。自決用のドス、買って来る。」
「いや、別に自害してほしいわけでは無いんですよ?ただ、私の伴侶に……」
その時、麗華のスマホに電話が掛かって来た。
「はい。神野です。」
麗華が電話に出た。すると、どんどん表情が暗くなっていく。
「どうした?」
「その、カイさんとケイさんが……」
次回、『狼の神』
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