ファミレス


 車に揺られて3時間。東京に戻った頃にはもう既に8時を過ぎていた。

夕食はファミレスで済ませようという事になり、近くにあったファミレスでおろしてもらった。

大きめの席へと通してもらい、2つのテーブルへと分かれた。

一つ目は僕と渚と遥と麗華のグループ。2つ目はケイ、カイ、風吹のグループへと分かれた。


「あまりこういうお店には来たことがないのですが……このパスタにしましょうかね。皆さんはどうされますか?」


そういえば麗華はお嬢様だったな。

ファミレスとかには縁のない人生を送ってきたのかもしれない。


「ハンバーグライス大盛りでお願いします。」


いつも通り迷いのない渚。


「私は……(ペペロンチーノ……でもにんにく入ってるし……海野もいるし……)カルボナーラでお願い。」


「僕はミラノ二つで。」


注文をした後、四人、テーブルに座り、ドリンクを飲みながら会話をする。


「そういえばの話なんですけど、皆さん夏休みいつまでですか?」


「9月3日。」


「僕も。」


「私もですね。」


「ちなみに皆さん宿題終わっていますか?」


麗華の一言に僕は歯切れが悪く、


「今日からやろうかと……」


「海野さん、明日勉強会しましょう。私の家に来てください。」


明日の予定を脳内で確認する。


「あ、明日から午前中部活だ。」


「午後からでもいいです。」


「わかった……行くよ。」


「私、海野さんよりお姉さんなので教えてあげますよ。」


「それはありがたい……」


「私も行っていいかしら?」


そう聞いた遥に対して麗華は丁寧な口調で、

 

「いえいえ。遥さんは忙しいでしょうし。」


さらに渚も、


「源、私も行っていいですか?」


「麗華に聞いてもらわないと……わかんないかな。」


僕が答えるとすぐに渚は麗華に向かって、


「麗華先輩、いいですか?」


お前本当に遠慮がないよな……

心の中で渚にそう言った。


「渚さんは可愛いですね。でも駄目です♪お二人とも、海野さんと二人きりでどこかに行かれてましたよね?」


二人の顔が一気に青ざめる。

そういえば麗華は知らないはずだったと思うんだけど……


「なぜそれを……」


「麗華先輩……」


「遥さんは水族館へ、渚さんは夏祭りへ……私だけ海野さんと二人きりで遊んでいません。」


なぜ知ってる⁉︎


「ちなみにその情報はどこで……」


「私の家の情報力を舐めないでください。海野さんが何時に寝たか、何時に起きたか、どこに住んでいるか……なんでも知ってるんです。後、誰と暮らしているか……渚さん。今日は海野さんにご迷惑をかけないであげて下さい。」


いや怖いって⁉︎


「し、知ってたんですか?」


渚のいつものペースが崩され、声がいつもより上擦っているのがわかる。


「遥さんも海野さんへの贈り物に自分の……」


麗華がそう言いかけた瞬間、遥は速攻で、


「わかったわ。二人で勉強してきなさい。」


「それは良かったです♪」


僕はそこまで聞いてふと気になったことがあった。


「もしかして僕の家に盗聴器とか仕掛けてたりする?」


「……」


一気に黙り込む麗華。僕は麗華に一言。


「麗華。後で説教ね。」


「はい……」


少ししょんぼりとした麗華であった。ちなみにこの後渚に手伝ってもらいながら部屋を探したら20個異常の盗聴器が見つかったのだった。しかも無駄にいいやつ……




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