屍村
イステヤダンジョン付近、既にそこには海野、渚、遥、風吹、ケイ、カイ、その他冒険者達が集まっていた。
今回の仕事は殲滅。10万近いゾンビの群れを全て倒さなくてはならない。
“久々の配信だな……”
“今回もLEOの人達と一緒か。”
僕は刀を抜き、低く構える。
「さ、行こうか。」
30分後、殲滅が大体終わり、屍村付近へとたどり着く。
「なあ、渚。屍村って……」
「はい。さっき言ってた場所ですね。」
僕は若干目線を左に落とす。
「一回カメラ切ってくれない?」
「いいですけど。」
渚が目を一度閉じてカメラを切る。
「少し、この村調べてみようと思って。罰当たりかもしれないけど。渚は来ない方がいい。」
僕は渚を置いて村に入る。村に入る直前、一応一礼はした。
屍村。排他的な村で、結構な因習があったらしい。
辺りを見渡せば、ギリギリ形を保っているような建物や、何かに壊されたかのような民家。畑であったであろう場所には草が生い茂っていた。
「この村……」
さっき夢で見た景色と一緒だ。
となると……
僕は嫌な予感を感じながら奥地へと入っていく。
民家から人が覗いている気がする……
別に怖くはない。相手が人だろうと、幽霊だろうとやることはただ一つ。殴る。
僕が奥地へとズンズンと歩いていくと、一件の神社のような、大きめの屋敷を見つける。建物は完全に倒壊しており、鳥居は崩れている。
不気味だ。
更に奥深くに進めば、謎の正四面体、小さな人形、そして錆びた小児科のベッドのような物が倒れていた。四隅には古びたベルトのような物がついている。拘束具か何かだろうか。
辺りを見渡せば少し薄暗くなっていた。
少し進めば地面が抜けている場所を見つける。
そっと中に入ってみれば、幾つかのベッドがあり、先程と同じで四隅にはベルトがついていた。
ベッドの白い布には黒くなった血痕がついていた。
隣には数年放置されたにしては綺麗な刃物が落ちている。
見てはいけないものを見てしまった気がする。
壁には古いエジプトの神話の絵画が所々傷がある状態でかけられており、絵には天秤を持った犬のような顔をした人間が描かれていた。
なんでこんな田舎にエジプトの絵画があるのだろうか。
その時、後ろに誰かの気配を感じた。速攻で刀を抜き、後ろにいるであろう人物の前まで振り、寸止めする。
後ろにいたのは遥だった。
「あれ?遥?なんでここに?」
大分自分が動揺している事に気がつく。
「そろそろ帰るわよ。」
「その、これは?」
「……」
遥が急に無言になる。聞いてはいけないことだっただろうか。
「わかった。帰ろっか。」
刀を納めて歩き出した。もしあの夢が正夢なら……どうにか回避しないと……
先程まで来た道を引き返す。
ある程度の所まで行くと、渚やみんなが既にいた。
僕は車に乗り込み、東京へと帰った。
次回『ファミレス』
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