アヌビス
悪夢
今回から割とシリアスです。
夢を見ていた。
夢の中で僕は知らない荒廃し切った村を散策していた。
場面は移り変わる。場所はビルなどが倒壊し、閑散とした場所。髪が白い、カイに似た人物が立っていた。その人物は地面に倒れたケイをどこか悲しげな目で見ていた。
そして次のカットでは地面に倒れる遥と渚。そしてそれを見て麗華が泣き叫んでいる様子が目に入った。
「どうして……どうしてそのケガで……」
普段の様子とは一変し、取り乱した麗華。
「東京○○区付近にて、ダンジョンブレイクが発生しました。死傷者が多数出ており……」
最後にテレビがパッと映り、
「犠牲者一覧、明星遥、月島圭……神野麗華、白雪風吹……小坂蓮……」
この夢はなんだろう……
そんな疑問を持ったところで目が覚めた。
海野と渚はいつも通り、部屋で寝転がっていた。時刻は10時。
「最近私の出番少なくないですか?」
「配信する機会が減ったからね。」
「そうなんですよ!近頃、源が強くなり過ぎてダンジョン配信の面白さであるハラハラ感が無くなってしまったんですよ!」
「僕に言われても……」
「企画会議をしましょう。」
そして、渚はどこからかホワイトボードを取り出して、企画会議と書く。
「今後の方針についてなのですが、何か案はありますか?」
「高難易度のダンジョンに挑む。」
「うーん、まあ源にしてはいいと思いますよ。」
「源にしてはって何?」
「えーと、現在高難易度と言われているダンジョンは百層まであると言われている『インシャラ』と言われるダンジョン、南鳥島付近に存在する、『ジャハンナム』、そして青森県某所にあるとされている『イステヤ』。」
「あるとされているって?」
「都市伝説くらいの扱いなんです。詳しい方によると、ある村の村人が邪悪な神と融合した人間を恐れたのだとか……そして村人は皆、神の怒りに触れ、惨殺されたのだとか……」
「都市伝説なんだ。ならあまり信憑性が……どうせ事件とかにもなってないだろうし。」
村か……そういえばさっき……
夢での景色が頭をよぎる。
「それが、実際に事件となってます。2024年9月28日。屍村にて、村人が少女を一人殺害。その後、なんらかの要因によって村人がある少女二人を除き、惨殺されたらしいです。片方の少女は錯乱状態だったとか……事件はある一人の冒険者によって発見されたそうです。」
「因習村ね……」
「どうです?実際に行ってみませんか?」
「いや、やめておこう。その村では多くの人が死んだのだからあまり騒がせるようなことは……」
その時、携帯にニュースが入った。
その頃、『LEO』事務所。
カイ、ケイ、遥、麗華、風吹が会議室に集まっていた。
五人はしばらく雑談を交わし、茶を飲んでいた。
そんな中、一件の情報が入る。
青森県屍村付近でダンジョンブレイク(?)が発生。ゾンビのようなモンスターが数万体出現。
その瞬間、会議室内の空気が凍る。ダンジョンについてではない。
特に動揺していたのはカイとケイ。
「屍村ね……とにかく行かないと。風吹、行くわよ。麗華はサポートお願い。それと海野に連絡しておいて。」
「わかりました。」
「わかった。」
「カイとケイは……来る?その……別に無理強いはしないわ。私的には留守番してた方がいいと思うのだけれど。」
「行きます。」
ケイが答えた。
「ウイのことについても乗り越えるべきだと思います。私だけでも行きます。」
「私は……いや、行かないと。」
若干顔が曇らせているカイ。
「わかったわ。途中で嫌になったら引き返しなさい。大丈夫。今回は海野がいるから。彼ならどうにかしてくれる。さあ、行こう。」
風吹とケイは遥についていく。カイは、「私のせいだから……」と呟く。
カイに生えている犬にような耳がピコッと動いた。
その頃、
「ククク……計画通り。事はワイの思うように進んどる。死神の復活も夢ではない。」
と2chを覗きながら呟いている者がいた。
次回、『屍村』
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