不調和
夏祭りから数日後。僕と渚は昼ごはんを食べながらテレビを見ていた。テレビでは次期世界最強、海野源についての話をしており、僕の正体について考察していた。
「あの少年は何者か、についてなのですが、私は……」
僕はチャンネルを変える。今やYoutubeを見ても僕の正体考察動画や、僕の個人情報を探ろうとする動画ばかりが上がっている。
その時だった。テレビからテンテン、テンテンと警報が鳴り始める。見れば「緊急警報、東京都中央区でダンジョンブレイクが発生、推定等級はSS上位のハンターの皆様はすぐに向かって下さい。」
と流れ始める。
ダンジョンブレイクは通常、ダンジョンの魔力が暴発、つまりダンジョンを数日間放置した場合起こる現象である。この現象が起きた時、モンスターはダンジョン内にいる時の何倍も強くなっている。
その時、一件の着信。電話をとると、遥だった。
「もしもし。海野?中央区でダンジョンブレイクが起きているのだけれど私一人では少し……その……キツくて……」
「わかった。すぐ行く。」
僕は今回はいつもの裸族上裸ではなく、しっかりとスーツを着る。麗華が世界最強と言われるような殿方が毎回上裸であられもない姿を晒すのはちょっと……ということでスーツを一枚くれたのだ。このスーツ、生地がかなり頑丈らしく、『不死鳥』の羽毛が入っているため自動修復機能もあるのだとか……
僕はこの高いスーツをもらうのはどうかと思い、受け取りを断ったのだが、これを着る時に毎回私の顔を思い浮かべて下されば……などと言い、意地でも受け取らせに来たため、僕の方が折れてこのスーツを受け取った。
服を着て中央区まで行くと、もう大体の雑魚処理は終わっていた。
とりあえず遥の姿を見つけたのですぐに話しかける。
「状況は?」
「雑魚は大体片付けた所ね。でも本丸がまだ残っていて……私一人でやれるかどうか……でも私がやらないと……」
遥は僕に負けてからすっかりと自信をなくしてしまっているらしい。
「大丈夫。遥なら多分いける。」
「随分と根拠のない自信ね。私なんか信じても……」
「前戦った時、普通に強かったし。多分最初から本気出されてたら僕が負けてたと思うよ。自分なんかって言わないで。」
「そうね。」
その時、麗華から通信が入る。
「遥様と……海野さ……くんですか?現在、中央区東エリアにてボスモンスターの存在を確認しました。名はトート。魔術、製造、知恵の『神』です。」
「神?」
「神は普通のモンスターとは格が違う存在です。とにかく、『トート』討伐に急いでください。」
僕らはすぐに東エリアへと移動し、『トート』の存在を確認する。
『トート』は鳥の顔をした被り物を被っている男の姿をしていた。
『トート』は首をぐるんと回転させる。そしてこちらを向くなり、
「不調和はお前か。海野源。お前を排除する。」
『トート』
概要
幾何学、魔樹、製造、天文学、知恵の神。
スキル
・『森羅万象』
全ての魔法を扱うことができる。
・???
・???
・???
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