第2話 勉強クリスマスパーティ side結花

「あ~、もう分かんねえって! 無理ーっ!!」


 バタンと倒れる音が床に響くここは、五人家族が住む二階建ての家。


 “MORIMIYA”と書かれた表札。

 そう、私——寺田結花てらだゆいか含む4人が今現在いるのは、紛れもなく森宮夏生の家だ。


「夏生、頑張って。あと3問だから」


 夏生が床に放り投げた問題集を拾ってそう言う仁。

 冬休みが始まったばかりの私たちは、クリスマスイブに宿題を進めていた。


 とりあえず、英語と数学の問題集を5ページずつ。


「ねぇ、もうすぐまなみが来るから、それまでに終わらせちゃおうよ」


 今まなみは夏生のお母さんと一緒に、1階でスポンジケーキにデコレーションをしている。


「ん~分かった、やる!」


 夏生は寝ていた身体を起こして、床に転がっていたシャーペンを手に持った。



 ……今頃皆、どうしてるかな。


 礼くんは文乃ふみのちゃんをデートに誘えただろうか。

 実は結果を知らない。


 私たちはそれぞれのクリスマスイブを過ごす。


 聖なる夜は、だんだんとゆっくり更けていった。

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