第10話 転生陰陽師は式を打つ
「おれがやる。アレはおれによってきてるから……いいよね?」
「……仕方ない。魔術師
「うん」
「はぁ……まず初めに魔力はヘソで作るとされている。ヘソで作ったエネルギーを頭で命令し、胸で燃やし発動させる……この一連の動きを補助してくれるのが
俺はこれを知っている。
丹田は三種類存在するものの、この時代では一般的に丹田と言えば下丹田や正丹田を指す。
【
道教を参考にした日本の魔術では、胸の中央にある中丹田で生まれた『
「外国人にはチャクラ、忍術! って言うと喜ばれるし伝わりやすいんだど……」なんて苦笑いを浮かべた。
チャクラという言葉に聞き覚えがあった。唐に留学した僧侶の弟子の話によると、
「胸に意識を向けろ!」
胸に意識を向ける。
胸で熱い何かがうごめくのを感じる。
「胸に熱い何かを感じたらそれをおなかに動かせ」
言われた通りに腹の中で動かす。
「拍動する心臓の動きに合わせてエネルギーを送って腹で燃やすイメージだ」
燃やす。
燃やす。
エネルギーを炉心である腹で吼え猛る炎のように圧縮し爆発させ燃やす。
ぼうっと音を立てて燃え盛る炎のようなものが腹で揺らめくのを感じる。
「できたようだな……次に
「わかった」
「「
「よくやった。さすがは俺の息子だ」
「でも、弱かったんでしょ?」
「……六級下位と言ったところだな。だが、三歳で祓ったのは立派なことだ」
「えへへへへ」
褒められて悪い気はしない。
「だが、妖魔はもっと強い。神ならぬただ人の怨念など、たかが知れている。今日の成功を糧に修行に励むように」
「はーい」
まるで勉強をしろ!と言われているようで、反射的に嫌な気分になる。
「今のは『
「スーパー戦隊やアイドルみたいに、チームやユニットが神様にもあるのよ」
「式を打って置いた方が良さそうだな」
「そうですね。
母が呪文を唱えた瞬間、
「カラスだ!」
「今のは式神と言って、私たち術者なら皆使える術なのよ」
「俺も使いたい!」
「
「ぜったいやるもん!」
ある程度の難易度があるものの、前世で使えたのだから今生で使えない道理はない。
「じゃあ、練習しましょうか……」
たわいない話をしながら車は走り、高速道路に乗る。
低級
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
父
真言や祝詞は神仏への思いで効果が変わるとされている。
しかし、呪符と併用することで術の難易度が変わるとは言え、初めてで『
――神童、天才、麒麟児。
唐突にそんな言葉が
筆舌に尽くし難い才覚は十年? いや、数百、もしかしたら千年単位で一人の歴史を作る天才と言えるかもしれない。
思わずゴクリと喉が鳴る。
現在適合者と呼ばれる異能者は、稀に世紀の天才が生まれると歴史が示している。
例えば開祖である
適合者は殉職率が高く、お世辞にも安全な仕事とは言えない。
おまけに血統によって魔力が遺伝するため、お役目から逃れることも難しい。
事実、オレ自身何度か等級違いの妖魔と戦闘し、何十人もの仲間を見送ってきた。
天上に住まう神仏による
恵まれた才能を持った我が子にみすみす死んでほしくないと言うのは当然の親心だ。
帰ったらしっかりと修行を付けてやらねば……
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