『怪獣 ジセーのクー』 中の5


 警察は、総力を挙げて捜索したのだが、なかなか、ほしはみつからない。


 探す方も、かなり、びくびくではある。捜索隊員は、ひとりでは行動しないように厳命された。また、辞世の句を考えるなとも言われた。


 市民にも、出来る限り、夕方以降の外出をしないように通知が出されていた。


 そのさなか、赤地警部と、川村刑事は、さっそく、川沿いにある、荒川放水博士の会社を訪問した。


 しっかりした娘さんが、まず、応対した。


 『専務の荒川弥生です。父ならいますよ。珍しくね。』


 『ぜひ、お目にかかりたいのです。』


 赤地警部は、柔らかく出た。戦略である。


 『たしか、『ジラ!』 が現れたときには、大活躍なさったそうですな。』


 『はい。まあ、大活躍というか、狂言回しというか。〽️ プー。プー。あ、おとうさん。警察のかたが会いたいと。』


 『プー。あかちか? やつなら、会わん。』


 『あー。赤地警部です。』


 『なに? 万年警部補だろ。』


 すると、赤地警部が大きな声で言った。


 『漢字が違います。あの人は、真っ赤な血です。わたしは、大地のちですから、別人ですから。高名な博士に、ぜひ、ご意見をおうかがいしたいのです。』


 『なに? べつじん? 高名な? よかろう。応接室に、おとうししろ。』


 『父は、赤血ファミリーとは、犬猿の仲なのですよ。』


 『いや、わたしもですよ。』


 『あらま。』


 赤地警部たちは、わりにすっきりとした応接室に案内された。


 かなり、高級なお茶が出たのである。



      🍵












 


 


 

 


 

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