『怪獣 ジセーのクー』 中の4


 現場は、伊豆の西側にある港町であった。


 被害者は、A子さん46歳だった。


 愛犬の『むむちゃん』を連れて、夜のお散歩をしていたのである。


 最初の事件のつぎの夜になっていた。


 『むむちゃん』は、何故だか無事に助けられたのである。しかし、証言は出来なかった。


 ただし、その様子は、近所の防犯カメラが捉えていたため、怪獣の正体がついに明らかになった。作者の話しは早くも、裏付けられたのである。


 しかし、あまりに衝撃的なシーンであるために、公表はされなかった。


 つまり、お魚の残り物状態になっていたのは変わらない。


 『こいつは、許せないな。』


 赤地警部は、部下の、川村晋三刑事を引き連れていた。


 『絶対に、捕まえましょう。』


 『捕まえる? こいつは、野獣だ。駆除すべきだ。』


 『しかし、警部、一匹とは限りませんよ。話ができるなら、まずは、尋問すべきです。』


 『尋問してどうする。そこんとこは、どうも、あの作者の話しは、信用しかねるでな。それに、こいつを起訴して、裁判か? 辞世の句を詠ませてやる。』


 『なにかの、スーツを着ているのかも。』


 『スーツを着ていたら、こんな、舌が伸びるのか?』


 『いやあ。しかし、奇抜な発明なら、荒川放水博士でしょう。』


 『おー。あいつか。なるほど、まあ、しかし、犯人はまたひとを襲うに違いない。警戒線に抜かりはないか確かめろ。広く家捜ししろ。山狩りしろ。海狩りしろ。』


 『あいあいさー。』



   🐧🐧🐧🐧🐧🐧🐧


 

 

 


 

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