『怪獣 ジセーのクー』 中の2


 その事件は、作者から、荒川放水博士に、ただちに伝えられたのである。


 もちろん、マスコミもほってはおかない。


 名高い政治家が、なにものかに、たべられたのである。


 ニュースは、たちまちにして世界に、拡がった。



 『くまさんかな?』


 赤地警部は呟いた。


 『警部。くまさんではないですな。噛み跡が違います。』


 鑑識課の、文田三(ふみた さん)が言った。


 あの、ふみたいや、ふみたに、の弟である。(‘’反吸血キラ・ドゥーラ~‘’ など参照)


 『じゃ、なんだい?』


 『さて。わかりませんね。既知の生き物とはうまく合致しません。はい。これは、むしろ、人間に近いです。もちろん、爬虫類ではない。魚類とも何か違う。なんでしょうなあ。』


 『なんだいそれは? なら、未知の生き物かい?』


 『もしかしたら。まあ、海のそばだし、半魚人……なんてことも、ははは。それは、ないでしょう。さらに、調べます。』


 『あそ。ひとつ、慎重に素早く頼むよ。有名人だからな。あたしは、むかしこのひとに、こっぴどくしかられたことがあるからなあ。いわゆる、立身出世の鬼だ。立身出世しない人は、まったく評価をしないんだ。ま、なむなむなむなむ。え、これから、あたしは、犯人に遭遇した作者に会ってくるよ。そっちも、いやだけどね。なんせ、話が暗くなってしかたがないからなあ。』


 食べられたふたりとも、頭だけは、残っていた。まるで、お魚の食べ残し、みたいである。



     🐨🐨🐨🐨🐨🐨🐨


 

 荒川博士は、早くも、犯人は、人類ではない、と結論を出していたのである。


 それは、作者からの、報告でも明らかである。


 作者は、嘘はつくまい。たぶん。


 また、たまたま、近くの二階から、恐る恐る見ていた人もあった。


 やはり、人間とは思えないと、証言している。


 一方、赤地警部は、野心満満の刑事を引き連れて、やましんに会いに行ったのである。



      🙇










 


 


 

 

 


 


 

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