6日目1 空中デート
サバイバル生活6日目 08:10
朝日の差し込むことはない地下拠点内ではあるが、太陽の角度に合わせて調光してくれる照明の明るさで俺は自然に目を覚ましていた。
腕の中には温もりがあって、そちらを見やると俺を見上げる
…普段は俺よりもかなり早く起きて朝食の支度をしてくれる
これまでは俺のベッドの脇にキャンプベッドの脚を立てて眠っていた
…と、無言で見つめ合っているうちに
いや、たしかにめっちゃしたけどもそれは合意の上では…?
「…ちょっとぉ。こんなスゴいの初めてなんですけど…? 起きれなくて朝ごはん出来てないんですけど…?」
どうやら昨晩の俺がハッスルしすぎたせいで、消耗した
そんなにだったかな…?
…いや、そんなにだったか。
「違う違うとか言って…これやっぱ
またこの冤罪か!?
いや、違うんだ…昨晩の俺は自分でも驚くほどパワフルで、信じられないくらいテクニカルだったというか…!
それで
…というか、途中から気づいていた事ではあるんだが、本来の俺では絶対あんな凄い事はできないはずなのだ。
30年来の付き合いでお互いよく知っているはずの相棒が、明らかに俺の認識を超えた大活躍をしていたんだ。
ここで俺はある種の確信を持ちながら、意識をスキルに向ける。
─────────────────────
討伐Lv31
討伐ポイント 2043Pt
《コモンスキル》
棒術3
射撃10
操縦2
《レアスキル》
修理3
DIY3
《ユニークスキル》
タレット21
┗
┗タイプBタレット
┗
┗タレットドローン
掲示板43
┗分析AI
┗ライブストリーム
─────────────────────
…そういう事だろうと思ったよ。
はい、ここまで一切レベリングしていなかった『棒術』が一気にレベルアップしています。
これが我が相棒の突然の覚醒の理由か。
「…それになんか、まるでアタシの
とんでもない誤解だ!
それもたぶんスキルの影響で、おそらくこれまた謎にレベルアップしている『操縦』スキルが
…え、もしかして俺のコモンスキルは3/3でエロスキルなのか…?
朝食を終えてソファーに座った俺は、
…なにしろ昨日は大きな動きがあったので『掲示板』も大荒れの様子だからな。
これを自力で見ていくのは時間がいくらあっても足りないので、ここはまたAIくんの出番である。
─────────────────────
俺:
昨日正午以後の生存者コミュニティの変化についてまとめよ
AI:
現在『掲示板』スキルのカバー範囲にある生存者コミュニティの多くは各地で崩壊し、また崩壊しつつあります。
昨日正午以後はクリーチャーの襲撃が激化し、特に危険な『ホブゴブリン』の出現により生存者たちの防衛戦闘はより困難となっています。
ただし、熊野市街にある生存者コミュニティではクリーチャーの襲撃激化があまり見られず、むしろ戦闘スキル保持者の増加により防衛がやや好転しています。
────────────────────
…ふむ、やはり熊野市街地に向かう怪物どもの進路を、俺が拠点とタレットでせき止めているのが功を奏したらしいな。
どうやら援護射撃作戦成功である。
俺の構想ではこの熊野市を中心とする人類コミュニティの生存を支援することで、将来的に
────────────────────
俺:
市庁舎の様子を詳細に分析せよ
AI:
市庁舎は現在でも『掲示板』範囲内最大の生存者コミュニティであり、その防衛態勢に変化はありませんが防衛戦闘は安定しつつあります。
この生存者コミュニティでは、従来の警察官2名に加えて複数名の警察官に新規の戦闘スキルが配分され、さらに合流していた自衛隊小隊の隊員3名にも戦闘スキルが配分されています。
特にこの自衛隊員3名が
────────────────────
お、いつの間にか自衛隊の小隊が合流していたのか。
彼らは熊野市の郊外を移動中に異変が発生し、部隊との連絡が混乱して立ち往生していたところまでは知っていたが…どういう経緯かは知らないがどうやら市内に強行突入していたらしい。
しかも、
…ふむ、新規スキルの配分担当者がいずれも警察官や自衛官といった実力組織の人員というのは、これはさすがに偶然じゃないだろうな。
スキル分配の基準はいろいろな可能性が考えられるが…この偏りを見るにスキル再配布開始後の戦闘行為が関係しているのかな?
あるいは異変発生後の討伐速度のランキングがそのまま反映されていて、10万位以後の補欠順位だった者に配分されているのかもしれん。
─────────────────────
AI:
市庁舎では討伐ポイントによる最低限の食料の補給が行われ、現在の課題は防衛、負傷者の救護、溢れつつある排泄物の処理となっています。
─────────────────────
これも想定通りで、1500人での長期間の籠城となると戦闘面以外の課題も出てくるだろうな…密集し過ぎて疫病が蔓延するリスクは過去の戦争史のとおりである。
そうなると、今後は市庁舎での立て籠もりだけでなく陣地を拡大して生存者が衛生的に生活できる空間を確保したいだろうな。
よし、おおよその経過は分かったぞ。
…これ以上のことは、実際にこの目で確かめるとしよう。
例によって意識を地上
…消費する『タレット』のキャパ枠は2つ、ノーマルタレットの2倍の枠を消費するらしい。
新たなタレットが出現した感覚が得られたところで、地上監視カメラの一つを操作してその姿を捉えると…なるほど、そう来たか。
ふーむ、つまりは飛行能力を持った機関銃ドローンという訳か。
…こりゃあ、現実の軍事目的ではなかなか考えにくい珍妙な取り合わせである。
偵察目的ならばこんな重量のある
つまりは、俺の『タレット』が機関銃を生み出す能力であるからこうなるわけで…
…いや、そもそもスキルと言う物は超常能力であるのだから、そんな現実のミリタリー考察をしても詮無き事だ。
ともかくタレットが飛ぶんだよ、細けえこたぁいいんだよ(思考放棄)
「スゴ〜い! ねぇねぇ、これって飛べるんだよね?」
「これで飛ばなかったら話にならんからな…」
プロペラファンを起動して、徐々に回転数を上げていくと…
「わっ! もう見えなくなっちゃった」
思いのほか機敏な離陸を見せたタレットドローンはあっという間に5メートルほど浮かび上がり、どうやら
ふーむ、しかもどうやらコイツの操作には『操縦』スキルの補正が入るらしく、上昇下降のみならずかなり意図通りに空中機動させることが出来そうな感触である。
…よかった。
どうやら『操縦』スキルも単なるエロスキルという訳では無いらしい(安堵)
グングン高度を上げるタレットドローンは100メートル近く上昇し、拠点がある山の全容が一望に見渡せるほどとなり、しかもまだまだ上昇できる感覚である。
うひょ〜、こりゃ地上偵察のレベルが一気に跳ね上がったな。
などと俺がひとり興奮していると、右腕に
「ね〜、どんな景色なの?
危うく墜落しかけたドローンをなんとか水平に復帰させた俺は、始めからこうなると予想できた事態なので冷静に対処していく。
…では、もう一つの新派生スキルである『ライブストリーム』を起動しよう。
コイツの使い方も既に感覚で分かっているので、まずは『掲示板』に俺と
ここに『
…これでどうだ?
「わあ〜! 見える見える〜! たっか〜い!」
よし、成功だ。
これで
…まあ、『ライブストリーム』の機能はもっと使いようがある気もするが、それはおいおい考えよう。
それじゃあ、遊覧偵察飛行による空中デートといきますか…!
「レッツゴ〜! 」
───────────────────────
もし、とっても面白かったら★3つ評価お願いします。
まあまあかなと思われたら★1つ評価お願いします。
作品のフォローも是非お願いいたします。
(宣伝) こちらの小説もよろしければご覧ください
『銃召喚』スキルで血と硝煙のハートフルスローライフ
https://kakuyomu.jp/works/16817330667846743746
(宣伝) こちらの小説もよろしければご覧ください
現代忍者は万能ゆえに異世界迷宮を一人でどこまでも深く潜る
終末世界に備えるプレッパーがデスゲームで本領発揮する物語! 〜タレット設置のユニークスキルを添えて〜 左兵衛佐 @yakuwakusan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。終末世界に備えるプレッパーがデスゲームで本領発揮する物語! 〜タレット設置のユニークスキルを添えて〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます