第36話 最後の防衛線
非常事態宣言による弾圧が強まる中、せりちゃんたちの運動は最大の試練を迎えていた。強硬派はついにせりちゃんの特定を試み、彼女の秘密基地を突き止めるための追跡を本格化していた。一方、民衆の抗議運動はこれまでで最大規模に達し、全国各地で「真実を求める声」が鳴り響いていた。
秘密基地の危機
影の住人が、基地のセキュリティアラートを確認しながら静かに告げた。
「彼らが動き始めた。秘密基地の場所を特定しようとしている。全ての通信が監視されていると思った方がいい。」
せりちゃんはその報告に動揺を隠せなかったが、すぐに気持ちを落ち着けた。
「ここで逃げるわけにはいかない。私たちの声を止めさせる理由はどこにもない。」
フェニックスが警告を重ねた。「君がここにいると分かれば、彼らは力を使ってでも基地を突き止めようとする。安全な場所に移動する選択肢も考えるべきだ。」
しかし、せりちゃんは首を振った。「ここが私たちの象徴でもある。民衆は私たちが揺るがないことで希望を持つのよ。だから、最後までここで配信を続ける。」
民衆の結束
その頃、全国での抗議運動はさらに拡大していた。多くの地域で大規模なデモが行われ、特に都市部では数万人規模の集会が開催されていた。
「非常事態宣言の撤回を求める!」と書かれたプラカードを掲げる人々の列が街を埋め尽くしていた。
運動のリーダーたちは、抗議活動が平和的に行われるよう注意を呼びかけていた。
「私たちが平和を保つ限り、彼らの嘘を暴く力が強まる!」地域リーダーの一人が集会で声を上げた。
その声に応えるように、民衆はさらに結束を強めていった。
特別配信の準備
せりちゃんは、強硬派の動きを無力化するために、新たな特別配信を計画していた。内容は、非常事態宣言の裏側にあるさらに深い不正の証拠を公開し、支配者たちがどれほど国民を欺いてきたかを明らかにするものだった。
「これが私たちの最後の一撃になるかもしれない。」せりちゃんは仲間たちに語りかけた。「彼らがどれだけ隠そうとしても、真実は光を浴びる。」
影の住人は、配信の妨害を防ぐために全ての通信経路を再チェックし、フェニックスは内部から得た情報を最終確認していた。
配信の開始
その夜、せりちゃんの配信が始まると、視聴者数は瞬く間に数百万人に達した。コメント欄には「真実を見届けます」「支配者たちを終わらせよう」という力強い言葉が溢れていた。
画面越しに映るせりちゃんは、静かでありながら強い決意を感じさせた。
「皆さん、今日は非常事態宣言の核心に迫ります。これが彼らが隠そうとしている真実です。彼らが守ろうとしているのは、私たちの安全ではなく、彼ら自身の権力です。」
画面には、フェニックスが提供した証拠が次々に映し出された。それは、非常事態宣言が計画される際の会議の録音記録や、民衆を抑え込むための具体的な指示が記された内部文書だった。
「これが彼らの正体です。」せりちゃんは静かに語った。「でも、私たちは屈しません。真実を求める声が、彼らの嘘を終わらせるでしょう。」
支配者たちの動揺
配信が進む中、支配者たちはついに制御不能の状況に陥りつつあった。強硬派はせりちゃんの配信を妨害しようと試みたが、影の住人の防御策によって失敗に終わった。
「このままでは我々は終わる!」強硬派のリーダーが声を荒げた。
穏健派は、ここぞとばかりに強硬派の無能さを指摘し、組織内での支配権を握る動きを強めていた。
「非常事態宣言を撤回しなければ、全員が破滅する。」穏健派のリーダーが冷静に告げた。
民衆の波
配信を見た民衆の間では、新たな動きが始まっていた。抗議活動はこれまで以上に活発化し、支配者たちに対する要求がさらに具体化していった。
「非常事態宣言を撤回しろ!」「支配者たちの責任を追及せよ!」という声が全国で響き渡った。
その夜、SNS上では「#真実の夜」「#偽りの支配を終わらせろ」というハッシュタグが急速に拡散し、運動は国際的な注目を集めるまでになっていた。
次への決意
配信を終えた後、せりちゃんは静かに目を閉じた。民衆の声が全国に広がる中で、自分の役割の重さを改めて感じていた。
「私たちが最後まで声を上げ続ければ、彼らの支配は終わる。」
影の住人がそっと声をかけた。
「君の言葉が希望そのものだ。だが、気を抜けば危険だ。強硬派はまだ動く。」
せりちゃんは静かに頷き、月を見上げながら呟いた。
「月夜の光を信じて…」
最後の戦いは、まさに佳境に差し掛かっていた。民衆の声とせりちゃんの信念が、支配者たちの偽りの支配を終わらせる時は、目前に迫っていた。
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