第35話 崩壊の兆し

非常事態宣言が発令されてから一週間、支配者たちの権力基盤は揺らぎ続けていた。民衆の抗議運動は日に日に規模を増し、全国各地で「真実を求める声」が響き渡っていた。支配者たちの嘘を暴くためにせりちゃんたちが公開した証拠が、決定的な影響を与えていた。


内部の崩壊


支配者たちの内部では、穏健派が完全に強硬派と袂を分かち、組織の分裂が決定的となった。穏健派のリーダーたちは「強硬派の行動がこれ以上続けば、全員が破滅する」と考え、密かに民衆側への情報提供を進めていた。


「彼らに正当性はもうない。私たちが民衆の側に立たなければ、すべてを失うことになる。」穏健派の一人が決意を固めた声で語った。


その一方で、強硬派はさらなる弾圧策を検討していた。彼らは非常事態宣言を理由に、抗議運動の指導者を特定し、拘束する計画を進めていた。


せりちゃんへの警告


その頃、フェニックスからせりちゃんに緊急の警告が届いた。


「強硬派が君を特定しようとしている。非常事態宣言を利用して直接的な行動に出るつもりだ。安全な場所に移動するべきだ。」


せりちゃんは、その言葉に一瞬動揺したが、すぐに気持ちを落ち着けた。


「私が動けば、運動の中心が不安定になるわ。むしろ、ここからさらに声を上げるべき時だと思う。」


影の住人が冷静に提案した。「ならば、私たちが防御策を強化する。配信を続けるなら、バックアップを多重に用意して、妨害を防ぐ。」


せりちゃんは頷き、配信を続ける決意を新たにした。


配信での訴え


その夜、せりちゃんは視聴者に向けて、これまでで最も力強いメッセージを発信した。


「皆さん、支配者たちの力はもう限界に達しています。彼らが私たちを抑え込もうとすればするほど、真実は広がり、私たちの声は強くなります。私たちが団結し、希望を持ち続ければ、必ず未来を変えることができます。」


コメント欄には、「せりちゃん、私たちは信じています!」「最後まで一緒に戦います!」という声が溢れ、視聴者たちの士気が高まっているのを感じられた。


さらに、せりちゃんは穏健派から得た内部情報を公開し、強硬派の行動がいかに計画的な弾圧であるかを示した。


「これが彼らのやり方です。しかし、彼らがどんな手を使おうとも、私たちが真実を求め続ける限り、嘘は隠し通せません。」


抗議運動の拡大


せりちゃんの配信を受け、全国の抗議運動はさらに活発化した。多くの地域で人々が集まり、支配者たちの嘘を非難し、「非常事態宣言の撤回」を求める声が高まった。


「私たちは恐れない!」集会の一つで、若い参加者が叫んだ。「これは私たちの未来のための戦いだ!」


また、SNS上では「#真実のための団結」「#非常事態の撤回」というハッシュタグが急速に広がり、運動は国内外の注目を集めていた。


支配者たちの最後の抵抗


強硬派は、この運動を抑え込むための最終手段として、主要なインフルエンサーや運動のリーダーたちを拘束する計画を実行に移そうとしていた。


「彼らがいなければ、運動は自然に崩れる。」強硬派のリーダーが冷徹に語った。「まずはせりを止める。それが鍵だ。」


その動きはフェニックスや影の住人によって察知されており、彼らはせりちゃんを守るための緊急プランを立案していた。


月夜の光を信じて


その夜、せりちゃんは再び配信を行った。彼女は視聴者たちに向けて、静かに、しかし力強く語りかけた。


「皆さん、私たちの戦いはもう終盤です。支配者たちは最後の力を振り絞り、私たちを抑え込もうとしています。でも、私たちの結束が彼らの嘘を打ち砕き、未来を切り開くのです。」


コメント欄には「最後まで一緒に!」「真実を守り抜こう!」という声が溢れ、視聴者たちの決意が伝わってきた。


「月夜の光を信じて、私たちは進む。」


その言葉が、視聴者の胸に深く響いた。


次の戦いへ


支配者たちの崩壊が間近に迫る中、せりちゃんと仲間たちは、最後の抵抗に立ち向かう準備を進めていた。真実を求める声は、もはや止めることのできない波となり、偽りの支配を完全に終わらせるための時が近づいていた。

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