第34話 反撃の狼煙

非常事態宣言が発令されてから数日が経過し、民衆の間では怒りと希望が交錯していた。せりちゃんの配信が明らかにした真実は、支配者たちが非常事態を口実に民衆を抑え込むための偽りであることを証明した。それにより、抗議運動はさらに勢いを増し、支配者たちは追い詰められつつあった。


支配者たちの会議


支配者たちの内部は、穏健派と強硬派の対立が激化し、もはや崩壊寸前だった。非常事態宣言の効果が薄れ、逆に民衆の反発が強まったことで、強硬派への信頼も揺らぎ始めていた。


「このままでは我々全員が危険にさらされる!」穏健派の一人が声を荒げた。「非常事態宣言は失敗だ。むしろ彼らをさらに団結させてしまった。」


「失敗などではない!」強硬派のリーダーは冷たく反論した。「民衆が黙らないのは、我々の手がまだ足りていないからだ。より強い手段で彼らを抑え込む必要がある。」


しかし、穏健派は強硬派の方針に反発し、一部は裏でせりちゃんたちに情報を流す動きを加速させていた。


民衆の結束


一方で、せりちゃんの運動はさらに広がりを見せていた。全国の抗議活動にはこれまで参加していなかった人々も加わり、街頭は「真実を求める」声で埋め尽くされていた。


「非常事態という名の嘘に屈しない!」抗議活動の中で多くの参加者が声を上げていた。


地域リーダーたちも各地で集会を開き、民衆の結束を強める活動を続けていた。運動の中心にいるせりちゃんは、全国から寄せられる声に目を通しながら、その力強さに胸を打たれていた。


「これが私たちの力だ…」せりちゃんは小さく呟いた。


新たな証拠の公開


その夜、せりちゃんは再び配信を行い、フェニックスから提供された新たな証拠を公開した。それは、非常事態宣言を支配者たちがどのように計画し、内部の反対意見を押し潰していたかを示す具体的な記録だった。


「皆さん、これが非常事態宣言の裏側です。」せりちゃんは画面越しに視聴者に語りかけた。「彼らの目的は明白です。私たちを抑え込むために嘘を作り、それを強引に正当化しようとしています。でも、真実は隠せません。私たちは彼らの嘘に屈しません。」


視聴者たちの反応は圧倒的だった。「彼らを許してはいけない!」「真実を守り抜こう!」というコメントが殺到し、SNS上でも証拠が拡散された。


支配者たちの動揺


この配信は支配者たちにとって決定的な一撃となった。非常事態宣言の正当性が完全に崩れ去り、国際社会からも批判の声が上がり始めていた。


「これ以上隠し通すのは不可能だ。」穏健派の一人が言った。「私たちが生き残る唯一の道は、強硬派を切り捨てることだ。」


強硬派はこの提案に激怒し、内部の対立は最高潮に達していた。


影の住人の作戦


一方、影の住人は支配者たちの分裂を利用する計画を進めていた。彼らの内部記録をさらに収集し、分裂を加速させる情報を民衆に公開する準備を整えていた。


「これが最後の一押しになるだろう。」影の住人は冷静に語った。「彼らが自滅するのを手助けするだけでいい。」


せりちゃんもその計画に賛同し、次の配信で民衆の結束をさらに強化するメッセージを送ることを決意した。


最後の呼びかけ


その夜の配信で、せりちゃんは力強く語りかけた。


「皆さん、私たちはいま、大きな転換点にいます。支配者たちは内部で分裂し、崩れ始めています。でも、私たちがこの瞬間を逃せば、彼らは再び力を取り戻すでしょう。どうか、最後まで声を上げ続けてください。これが私たちの未来を守るための戦いです。」


コメント欄には「最後まで共に戦います!」「真実を守り抜こう!」という力強い言葉が溢れた。


光の見える未来


その夜、抗議活動はさらに大規模になり、全国で「真実を求める」声が響き渡った。支配者たちの偽りの支配が崩れつつある中、せりちゃんと民衆の戦いは、未来を切り開くための新たな光を灯していた。


「月夜の光を信じて…」せりちゃんは静かに呟いた。


真実を求める声が、国全体を包み込む大きな波となり、支配者たちの支配を終わらせる時が近づいていた。

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