第33話 抵抗の象徴
非常事態宣言が発令された翌朝、全国各地で抗議活動が行われ、民衆の声がかつてないほど高まっていた。支配者たちが求めた「平和と秩序」は表向きの理由に過ぎず、実際には民衆を黙らせるための策略だと、多くの人々が気付き始めていた。
一方で、支配者たちは警察や軍を動員して抗議を抑え込む準備を進め、平和的な集まりさえも力で解散させる命令を出していた。
民衆の結束
秘密基地に設置されたモニターに映し出される全国の状況を、せりちゃんと仲間たちは緊張感を持って見守っていた。影の住人が静かに分析結果を伝える。
「民衆の声は想像以上に広がっている。一方で、支配者たちの力による圧力も強まっている。この状況が長く続けば、どちらの側も持ちこたえられなくなる。」
「それなら、私たちが動く時ね。」せりちゃんの声には決意がこもっていた。「彼らの嘘と矛盾を、さらに多くの人々に知らせる必要がある。」
地域リーダーたちも各地で声を上げ続けていた。抗議の場では、「真実を求めることは犯罪ではない!」というスローガンが掲げられ、多くの市民が参加していた。
配信の計画
その夜、せりちゃんは非常事態宣言に対抗するための特別な配信を計画していた。内容は、支配者たちが非常事態を正当化するために作り上げた嘘の証拠を暴くものだった。
「これが成功すれば、民衆の怒りはさらに大きな波となるはず。」フェニックスが言った。「ただし、彼らも必死に妨害してくるだろう。私たちの安全を最優先に考えるべきだ。」
影の住人は、配信の妨害を防ぐためにセキュリティを強化し、いくつものバックアップを準備した。
特別配信の夜
配信が始まると、視聴者数は瞬く間に増加した。コメント欄には「真実を知りたい」「私たちはあなたを信じている」といった言葉が溢れていた。
画面に映るせりちゃんは、緊張しながらも力強い声で語り始めた。
「皆さん、今夜私は、非常事態宣言の裏にある真実をお伝えします。彼らが本当に守りたいものは、私たちの生活ではなく、彼ら自身の権力です。その証拠をこれからお見せします。」
画面には、支配者たちが非常事態宣言を計画した内部会議の記録や、偽りの報告書の詳細が次々に映し出された。これらは、フェニックスが内部から入手したものであり、支配者たちがいかにして自分たちの利益を守るために民衆を欺いているかを明らかにしていた。
「これが、彼らの正体です。」せりちゃんは静かに言った。「非常事態とは、私たちを抑え込むための作られた恐怖に過ぎません。どうか、冷静にこの事実を受け止めてください。」
民衆の反応
配信が終了するやいなや、SNS上では「#非常事態の嘘」「#真実を守れ」がトレンド入りし、民衆の間で怒りが爆発した。多くの人々が配信を共有し、支配者たちの嘘を非難する声が広がっていった。
「こんなことが許されるはずがない!」という投稿や、「私たちは立ち上がるしかない!」といった声がSNSを埋め尽くした。
一方で、支配者たちの動揺も大きかった。非常事態宣言の正当性が揺らぎ、多くの国民が抗議の声を上げる中で、彼らの権力基盤は崩れ始めていた。
せりちゃんの心境
配信を終えた後、せりちゃんは秘密基地の一角で静かに目を閉じた。全国に広がる声を聞きながら、自分の役割の重さを改めて感じていた。
「これで彼らを完全に倒すことができるかもしれない…でも、私たちにはまだやるべきことがある。」
影の住人がそっと声をかけた。
「君はよくやったよ、せり。だけど、彼らの反撃はこれからが本番だろう。民衆がどれだけ団結できるか、それが鍵になる。」
せりちゃんは頷き、決意を新たにした。
次なる戦いへ
その夜、街ではさらに大規模な抗議活動が行われていた。せりちゃんの配信が民衆に与えた影響は計り知れず、彼女の言葉が抵抗の象徴となっていた。
「月夜の光を信じて…」せりちゃんは小さく呟いた。
その言葉に秘められた希望は、偽りの支配を終わらせるための光となり、全国に広がり続けていった。次の戦いは、運動の未来を決定づけるものとなるだろう。
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