第4話 広がる結束
影の住人からの情報をもとに、せりちゃんは新たな配信内容を計画していた。支配者たちが隠している不正や歪んだシステムの一端を、慎重に言葉を選びながら視聴者に伝えることで、彼らに気づかれずに真実の一部を明かしていくつもりだった。
その夜、せりちゃんは画面に映し出される自分のシルエットを見つめ、深呼吸をした。そして、いつもより少しだけ力強い口調で配信を始めた。
「皆さん、今日もお集まりいただきありがとうございます。私たちが生きるこの国には、私たちに隠されていることがたくさんあります。情報はすべて、彼らが支配するもの。彼らの手の中にある限り、私たちが知るべきことは決して伝えられません。」
彼女は言葉に熱を込めながら、支配者たちがどのように情報を操作し、自分たちに都合の良い真実を流布しているかについて触れた。具体的な証拠はまだ明かせないが、少しずつ彼らが疑問を抱くように誘導していく。
「皆さん、どうか目を覚ましてください。私たちが見る世界は、彼らによって歪められているのです。」
その瞬間、コメント欄が一斉に動き始めた。視聴者たちはせりちゃんの言葉に触発され、「何かおかしいと感じていた」「もっと真実を知りたい」という声を次々と寄せてきた。その中には、せりちゃんの活動に協力したいという申し出もあり、彼女のメッセージが少しずつ人々の心に届いていることを感じた。
翌日、彼女の元にはさらに多くのメッセージが届いた。その中には、彼女と同じように支配体制に疑問を抱き、行動を起こしたいという人物からの連絡もあった。彼らは情報提供や、せりちゃんの配信を広めるための協力を申し出てきた。
せりちゃんは、彼らに返信を送りながら、一人一人の意思を確かめた。これまでは孤独な戦いだったが、今は少しずつ仲間が増えている。彼らの存在が、彼女にさらなる決意をもたらしていた。
その夜、再び秘密基地で配信を始めたせりちゃんは、仲間たちに向けてこう語りかけた。
「皆さん、私は一人で戦っているわけではありません。私たちは少しずつですが、確実に集まっています。誰もが『愚か者たちを黙らせろ!』という思いを持ち、支配者たちの支配から抜け出す日を夢見ています。」
視聴者たちは「私も戦う」「一緒に未来を変えよう」というメッセージを次々と送り、彼女への支持は日に日に強くなっていった。彼女の言葉は、画面の向こうで一つの共鳴となり、彼女を取り巻く小さな結束の輪が広がり始めていた。
せりちゃんは、この結束がさらに強まり、大きな力へと成長していくことを信じていた。そして、支配者たちに対する最初の反撃が、確実に近づいていることを感じ取っていた。
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