第2話 共鳴の兆し
せりちゃんの配信が終わった翌日、SNS上では「#愚か者たちを黙らせろ」というハッシュタグが静かに広がり始めていた。普段は見過ごされるような小さな呟きが、少しずつ、しかし確実に人々の関心を引いていた。
せりちゃんはその様子をモニター越しに見つめ、わずかな手応えを感じていた。彼女の配信はまだ大きな影響力を持っているわけではなかったが、一人でも多くの人が「何かが変わるかもしれない」と感じてくれれば、それで十分だと思っていた。
その日の夜、せりちゃんは再び秘密基地に戻り、配信の準備を始めた。視聴者からのコメントを見ながら、彼女は彼らの想いや不満を吸収していく。そこには、自分と同じように不平等や不条理を感じている人々の叫びがあふれていた。
「皆さん、昨日の配信にたくさんの反応をありがとうございました。」
配信が始まると、せりちゃんは穏やかな声で視聴者に感謝を伝えた。だがその瞳には、より強い意志の光が宿っている。
「私が感じていることは、きっと多くの皆さんも同じです。支配者たちの古い価値観や自己中心的な行動が、私たちの未来を蝕んでいると感じます。でも、このままでは終わりません。皆さんの力があれば、必ず変えられると信じています。」
画面のコメント欄には「応援しています」「私も同じ思いです」といったメッセージが次々と表示され、せりちゃんはその一つ一つに目を通した。その中には、彼女にとって特に心に響く言葉もあった。
「せりちゃん、私も声を上げる勇気をもらいました。ありがとう!」
そのコメントを見た瞬間、せりちゃんは一瞬、胸が熱くなるのを感じた。誰かのために、自分の言葉が届いている。自分の声が、誰かの心を動かしている。
「ありがとう、私も皆さんに勇気をもらっています。これからも一緒に、愚か者たちを黙らせるために頑張りましょう!」
配信を終えた後、せりちゃんは椅子にもたれかかり、深い息をついた。彼女が感じる孤独は少しずつ薄れていた。共鳴してくれる人がいる、それが彼女の心の支えとなり、次の戦いへと向かうエネルギーになっていた。
小さな波が、さらに広がり始めていた。
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