おっさんとおばさんの支配下で抗うせりちゃんの話

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 闇に潜む声

薄暗い部屋の中、光るスクリーンの前に、せりちゃんが静かに佇んでいた。ここは彼女が「秘密基地」と呼ぶ隠れ家。この部屋だけが、彼女が自分の本心をさらけ出せる唯一の場所だった。


画面に映るのは彼女の顔ではなく、シルエットだけ。彼女は素性を隠し、誰もが彼女を知ることのないよう徹底していた。匿名での活動が、彼女の唯一の武器だった。


「皆さん、こんにちは。今日は、少し思い切った話をしようと思います。」


彼女の声は静かでありながら、確かな強さを帯びていた。視聴者は彼女の言葉に耳を傾け、画面の向こうで彼女の存在感を感じ取っていた。


「この国は古い考え方と、自己中心的な権力者たちに支配されています。おっさんやおばさんたちが、自分たちの利益ばかりを考えて、私たちの声をかき消そうとしているんです。」


せりちゃんの言葉は、どこか痛烈な社会風刺を含んでいた。彼女は、日々の生活の中で感じる違和感や、不平等への怒りを隠すことなく語った。


「でも、私たちは黙っていません。私はここから声を上げ続けます。愚か者たちを黙らせるために!」


画面には「#愚か者たちを黙らせろ」という文字が表示され、彼女の新たな合言葉が刻まれた。視聴者はその言葉に強い共鳴を感じ、コメント欄には応援のメッセージがあふれていった。


その日、せりちゃんの言葉は小さな波となり、静かに広がっていった。まだ大きな変化を生むには至らないが、この一歩がやがて大きな潮流を生み出す始まりとなるのだった。


部屋の中、せりちゃんは画面を見つめながら、一人静かに決意を固めた。「私はこの声を止めない。古い支配に、私の声を響かせてみせる…」


物語は、ここから始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る