第3話 修行
アレクが家出をした。
原因はわかっている、俺がアレクの出来たばかりの夢をを否定したからだ。
もっと大人な対応をしなければいけなかった、魔力以外を理由にすればよかったかもしれない、
すぐに否定せず大きくなって、自分で自覚するのを待っても良かったのかもしれない。
もう考えても意味が無いのだけれども、そんな考えが次から次へと浮かんでくる
今村の大人総出で捜索してくれているが、俺は何も出来ない。
あぁ、アレクもみんなと一緒に戦いたいと言っていたっけ、アイツもこんな気分だったのか
無力だ、みんながアレクを探しているのに、俺は、、、
「おい!ガロンお前の息子が帰ってきたぞ!」
アレクはフィリップさん(おそらく)と一緒にいた
1時間ぶりに見る息子は、1時間前とは何か違う気がした
「!父さんごめんなさい!」
「いや、俺の方こそごめんな」
確かに家出した事を怒らなければいけないが、今はいい
「俺が、お前の夢を否定したばかりに」
涙が溢れてくる、アレクが見つかるまでの間ずっと不安だった、もう帰って来ないんじゃないかって、不安で仕方がなかった。
帰ってきてくれて本当によかった
「もう家出するすんなよ?」
「うん!」
フィリップさんにも感謝しなければ、昼間と合わせて2度目だ
「フィリップさん本日は本当にありがとうございます、昼と合わせて2度も助けて貰うとは」
「いいんです人助けはエウリア教徒の基本ですからな、むしろこんな有望そうな弟子に出会えて感謝したいぐらいです」
「!?弟子、?」
「えぇ!言い忘れていましたな今日からアレク君を弟子にする話となりましてな」
「父さん、いい?」
もちろんいい、アレクの強くなりたいという気持ちは死ぬほどわかる、ただ、、、
「アレクは魔力がほとんどないですが、いいんですか?フィリップさんは魔術を使ってウルリオンを倒したと思っていたのですが」
「あぁ、確かに私はウルリオンを、魔力を使って倒しましたが魔術は使っていません、それにアレクのように魔力が少ないからこそいい」
「魔力が少ないからこそいい?」
この世界で魔力が少ないからこそいいものなんて無いはずだ
「我がヘルセネ流剣術は、開祖ヘルセネが編み出した魔力少ない者の為の剣術、弱者の為の剣術です」
ヘルセネ流剣術、聞いた事のない流派だ
だが魔力の少ない者の為、、、確かにアレクにもできる。
「そうですか、、、その、、アレクを、よろしくお願いします」
「はい、」
「!?ありがとう!父さん!」
—————
ヘルセネ流剣術— ヘルセネ・クラウディアが人生をかけて編み出した未完成の剣術、現在使用しているものはヘルセネ本人と愛弟子フィリップだけである。
普及しない理由はヘルセネ本人が完成していない物を世に出さないという信念を持っているから
—————
師匠に弟子入りしてから次の日から修行は始まった
「よし、アレク今日はお前にヘルセネ流剣術の基礎にして全てを教える」
「はい!」
「やる事は簡単だ、この剣を見てろ」
そう言うと師匠は、剣を構え深呼吸をして、
目を閉じた、それは見方を変えれば剣を構えて瞑想しているようにも見えた。
そして次の刹那、師匠は踏み出し目の前にあった木を斬った。
普通の剣じゃ無理だ
「これがヘルセネ流剣術の真髄にして全て、
入魔剣だ、やり方は持っている剣に魔力を込めるそれだけだ」
剣に魔力を込める?
魔力込めるってなんだ、魔術は魔力を放出するというのは知っているが、魔力を込めるというのは聞いた事がない。
「師匠!魔力を込めるってどうやってやるんですか?」
「あぁ、魔力を込めるってのは魔力を剣に流すって感じだ、下手にやったら剣が爆発するから気をつけろよ」
そう言うと師匠は木剣を投げ渡してきた
「まぁなんだ、実践して身体に覚えさせるのが一番早いからやってみろ」
「はい!」
師匠のやった通りに、剣を構え、目を瞑る。
剣に魔力を流す
腹部から何かが溢れ出し腕に流れ、掌から剣に流れる
そして、剣が爆発する、爆発と言うには小規模かもしれないが剣身の付け根の当たりが爆ぜた
さらに剣が爆発すると同時に魔力切れで、僕も倒れる、滅茶苦茶だ、師匠が笑ってる
「あぁやっぱか〜、まぁ俺も最初はよく爆発してたよ、難しいかもしれないが、入魔剣は初級魔術と比べて消費魔力を十分の一に抑えられる強力な技だ諦めるなよ」
「うぅ」
魔力が切れて頭がくらくらする、魔力がまだちょっと残ってるから大丈夫だが、間違えれば魔力欠乏症で、後遺症が残ってたかもしれない
「入魔剣ができるようになるまで、これを繰り返すから慣れろよ〜」
「一応聞きたいんですけど、これができるようになったら次はどんな訓練なんですか?」
「?次はないぞ?ヘルセネ流剣術は入魔剣以外の技はない!さっき言ったろ「基礎にして全て」だって」
??「全て」って全ての技に通じるの方の「全て」じゃなくて、全部の方の全てかよ
「それって剣術って言っていいんですか?」
「俺の師匠が剣術って言ってたから剣術だ!」
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