第2話 弱者
村に帰って怒られた、たくさん怒られた、アルスは特に怒られた。
「ごめんな、俺が連れて行ったせいで」
「大丈夫よ、誰も死んでないし怪我したのはアルスの足首だけだし」
「僕こそごめん、あの時動けなくて」
本心だ、自分の無力さが憎い
「アレクは悪くねぇよ、俺だってあれは怖かった
」
でも動けた、アルスは。
————
「ところでアレク、お前たちを助けてくれた人はどんな人なんだ、お礼をしなくちゃいけない」
父さんが夕食時に聞いてくる
「あの人は、フィリップさんって言って、おじさんで、剣の修行をしているんだって」
アリスが歩けるまで待っていた時に聞いた話だ。
東の方の生まれで剣の修行をするために、各地を転々としているそうだ。
そしてとても強い。
ウルリオンを倒せているし、もしかしたら父さんと同じくらいかもしれない
「剣、、? まてアレク、お前達はウルリオンに襲われて、その剣士に助けられたんだよな?」
「?そうだよ?」
「剣、、剣かそうかその人はとても強いんだな」
剣——それは魔力の少ない人間が、苦し紛れに持つ武器だ
強い、、、そうか!剣を使えば、魔術が使えなくても、、、魔力が少なくても、
あの時感じた無力感をもう味合わなくてもいいのかもしれない!
「父さん、僕も強くなって、アルスやみんなと一緒に戦いたい、フィリップさんみたいな剣士になりたい!」
「、、、、アレクお前の考えはとてもいいものだだが、フィリップさんみたいな強い剣士はそういない、ウルリオンを倒せる剣士なんて、俺はフィリップさん以外聞いた事がない」
「、、、でもッ」
「それに恐らくフィリップさんは「魔術」を使っている可能性が高い、普通の人間にウルリオンの毛皮を破くなど不可能だ。アレク悪いことは言わない、お前は魔力が少ないんだから、強くなろうなんて思うな」
「それでも、僕は剣士になって、強くなりたい!魔力がなくてもみんなと一緒に戦いたい!」
「!?まて!アレク!」
僕は家を抜け出し、森の方へと走っていた。
お父さんは鳥目だ、大声で叫んではいるが追って来れてない。
森の中に入る、昼に死にかけたのに2度目だ。
夜の森は、昼間とは違い不気味だ、昼間に見ていた緑は全部黒色だし、木々から漏れるのは全て月光だ。
フィリップさんの名前を叫ぶ、とても怖い、足がすぐにでも引き返そうとする、
何回も転びそうになる、
大声で叫んでいるからまたウルリオンに襲われるかもしれない、
でも帰らない強くなりたい、もう二度と無力感を感じたくない。
「どうしたアレク?また魔物に襲われてんの?」
夜に同化している黒髪、3,40歳くらいに見える顔、筋肉質な身体に腰に掛けらた大振りの剣
フィリップさんだ
「フィリップさん!僕を弟子にしてください!」
「?、、、、、、、、?今なんて?」
フィリップさんは困惑していた
「僕を弟子にしてください!」
誠意が足りなかったと解釈し、土下座してもう一度言う
「!?とりあえず顔を上げて、どういうことか説明してくれないか」
とりあえず、フィリップさんの言葉にしたがい、顔をあげる
「僕、昼間フィリップさんに助けられた時、自分が弱いのを痛感したんです、だから強くなりたくて、魔力がないけど強くなってアルスみたいに、戦いたくて」
「、、、、、それはお前、俺に教えられることはねぇよ」
フィリップさんの顔はさっきとは打って変わって真剣な顔だった
「お前のそれは、心の強さの問題だ、アルスの野郎は確かにウルリオンに立ち向かったがそれは、力が強いからじゃねぇ、心が強いからだ」
「はい、、、」
「それにお前一人でここまで来ただろ、道中怖くなかったか?、ウルリオンがまた襲ってくるとは思わなかったか?、でもお前は来た、それはなんでだ?、お前が十分強いからだ」
「」
まずい、このままじゃ師匠になってくれない、なにか、なにか言わなくては
「それとアレク、お前嘘ついてるだろ本当はアルス達一緒に戦いたいからじゃない、もっと自分のための理由があるはずだ」
「!?」
確かにある、アルス達と一緒に戦うって理由じゃなくてもっと自分本位な理由が、もう二度と無力感を味わいたくないっという理由が
「本当は、、、本当は、もう二度と無力感を味わいたくない!自分を弱いって思いたくない! 強くなりたい!」
そうだ、もう二度と自分を卑下したくないんだ、自分を弱いと思いたくない
「そうだ、それでいいんだアレク!
お前を、ヘルセネ流の門下生として迎えよう!我がヘルセネ流剣術は弱者のための剣術だ!」
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