第2話

「ごめんなさい…間違えました」



顔が一瞬で赤くなってそそくさと逃げようとした、その瞬間



「待って、間違えてないよ。ちゃんと社長から話聞いてるし」



「…ママからですか?」



キャリーケースに両手を添えながら振り向く。



頷いてほしくないと心の中で呟いた瞬間、目の前の人は普通に頷いた。



「鳴瀬、響…子さん?」



手書きのメモの名前を恐る恐る読み上げると男の人は首を傾げた。



「子は余計だね。鳴瀬響(なるせきょう)」



「…マ」



ママ。子は付かないんだそうです。美人さん以前にどうして…おと、男の人が。

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