第173話 ゴブリンのボスと戦います

前回あんなこと言って、起きれませんでした! すみませんんん! 本当にごめんなさい!><


アラームは鳴ってた形跡有るのに…(´・ω:;.:...


と思ってたんですが。

今、予約履歴見たら6時にも投稿してました・・・!

投稿して力尽きたみたいで、記憶が消えてました。


~~~




❝不憫な❞

❝おい今、空さん垂直落下式ブレーンバスターしたぞ❞

❝弟さん・・・脳みそ無事ぶじかな❞


 ホブ・ゴブリンが高い位置から垂直落下して、脳天から地面に叩きつけられている。そしたら頭を押さえているホブ・ゴブリンが、空さんに足を掴まれブンブン回され始めた。あれは知ってる。ジャイアントスイングって奴だ。

 スタートスターとホブ・ゴブリンが独楽みたいに回転して、スタートスターがゴブリンを周りの敵にぶつけて薙ぎ倒していく。

 やがてスタートスターが手を離す。私は、遠心力で空に投げ飛ばされたホブ・ゴブリンを見ながら弟さんの身を案じた。


 とにかくクイーンを倒そう。

 私は〈汎用スナイパー〉でクイーンを狙う。

 けど、衝撃波を放たれて弾丸を止められる。


「マジで・・・」


 これがブル・フォートレスの砲弾が効いてなかった理由か。


「なら、〈励起バルカン〉で」


 私はフェアリーさんから、レーザーのようなものを連射するけど。

 これも衝撃波のようなもので弾かれる。


「あの衝撃波は、なんなんだ」


 本当に黒体放射が使いたくなってきた。


『ちと苦しいか?』

「〈励起翼〉なら効きましたから、至近距離からの攻撃ならいけそうですけど――衝撃波が来るからあまり近寄りたくないですね」


 あの敵、機体の中の私本人を攻撃するとか、フェアリーテイルの弱点を的確に突いてくる。


「でてきて。カストール、ポルックス」

『呼んだ? ママ』

『マザーの手伝いだ!』


 オックスさんが感心するような声を出した。


『なるほど〈ドリルドローン〉か』


「私がコントロールするから、二人共私の脳に接続して」

『はいママ』

『了解だ、接続開始!』


 よし。私は左手でカストール、右手でポルックスを操作するイメージで飛ばす。


 クイーンがポルックスに向かって、口腔を見せた。

 レーザーを放つつもり? それは不味い、二人には黒体塗料が塗られていない。

 私はクイーンの口腔の向きを避けて、二人を飛ばす。

 クイーンが衝撃波を放つけど、二人はロケットエンジンを持っている。衝撃波を割いて進める。

 私とオックスさんは、衝撃波の射程外。


 やがて〈ドリルドローン〉がクイーンの腹に突き刺さった――だけど、ちょっと威力が足りない。

 体内まで行かない。

 すると――ブル・フォートレスが〈ドリルドローン〉を見ている私の視界に入った。


「え、何を――」


 ブル・フォートレスは、ポルックスに近づきながら飛んでいる。

 衝撃波がブル・フォートレスを襲うけど、オックスさんはモノともしていない。

 私が気絶するような衝撃波を、オックスさんは受けてるはずなのに。

 ・・・・中の人が強いと、あんな事も出来るんだ・・・?


『オラアアアアアア!!』


 オックスさんが気合の声と共に、ポルックスのお尻を殴りつけた。

 その一撃でポルックスがクイーンの体内に侵入。


 私はこの機を逃さず、ポルックスをコントロール。

 クイーンの体の中を突き進ませる。


 クイーンが甲高い悲鳴を挙げる。

 ちょっとエグイけど、攻撃は止めない。

 やがてクイーンの頭頂からポルックスがでてくる。


『おし、ナイス連携!』


 オックスさんが言って、ブル・フォートレスが拳を肩の前で構えた。

 クイーンの色が一気に、焦げたカラメルみたいな色になって、砕け散り粒子になって消えた。

 イルさんから入る報告。


『マイマスター、印石が出ました』

「え、今のはオックスさんとの協力じゃないの? よく出たなあ」

『マッドオックス氏の攻撃は、クイーンに触れていません』

「なるほど――?」

『おお、ズルいぞスウ』

「す、すみません。イルさん、なんの印石?」

『〈産卵〉です』


 ・・・・・・。


「要らない」

『し、しかし』


 メガネを掛けたイルさんが慌てた。


「要らない!! ――しかも〈産〝卵〟〉ってなに。産むの卵!? 産まれてくるの人間じゃないでしょ!?」


 絶 対 要 ら な い。

 ゴブリンって奴は、どいつもこいつも!


「オックスさん、これ要ります?」

『絶対に要らないな』


 だよね?

 一応最新層のゴブリンのボスみたいな奴のミュータントからでた印石だし、アメリカ軍が買いたいって言うなら、売ってしまおう。


 あとはホブ・ゴブリンを掃討すれば、クエスト完了でいいのかな?

 こうして私達は、クイーンの残した奴らを殲滅するのだった。


『マイマスター、印石が出ました』


 私は後ろに待機して配信を撮っているイルさんドローンを、うかがうようにしながら尋ねる。


「また・・・? なんの印石?」

『〈熱耐性〉です』

「それは嬉しい!」


 なんだやれば出来るじゃん、ゴブリン。




 こうして私達はクエストを終えて街に戻った。

 ストライダー協会でどんな敵が出てきたかとか報告していると、受付嬢さんが、犬みたいな耳をピンと立ててビックリする。


「えっ、ミュータント・クイーンが出たんですか!?」

「えっと、はい」

「よく・・・無事でしたね・・・生身でレーザーとか毒とか大丈夫でしたか?」

「バーサスフレームで戦ったんで」

「そ、それはナイス判断です――生身で戦っていたら、危ないところでしたね。でもクイーンが巣穴から出てきたんですか?」

「熱で巣を攻撃したら出てきました」

「ひ、卑怯・・・――」


 え、なに、不味かったの・・・?

 私の困ったような顔で察したのか、受付嬢さんが首を振る。


「――あ、いえ、ご無事で何よりでした! 特別権限ストライダーになれる人に怪我がなくてよかったです」

「はあ・・・・どもです」


 戦利品(宝石とか)を協会に売る。

 街で発見したものは出来るだけ協会に売ったほうが良いらしい。持ち主に戻すこともあるので、その方が喜ばれるんだとか。

 儲かったクレジットを私たちに分配していたオックスさんが、こちらを向く。


「その特別権限ストライダーって何なんだ?」


 詳しいことは、私も良く分かってない。

 とりあえず知ってることを答えてみる。


「なんか〈発狂〉デスロクリアしてたら、もらえたんです。あとなんか色々権限が貰えて――」


 私が下手な説明をしていると受付嬢さんが、私の言葉を補足してくれた。


「特別権限ストライダーの特別権限が発動すると、自由裁量で動いて良くなります。軍人だって文句言えません。早い話、前線に立つ将官になります。主に大規模クエストや、特別な環境に入るとき、あとは普通のプレイヤーが入れない場所にも入れるようになりますし、将官クラスなどからクエストが発注されることが多くなります」

「最後はともかく、便利だな」

「それでやたらアイビーさんや、ユタさんが私に接触してきてたのか」

「いえ。その辺りは多分、スウさんの腕を見込んでだと思います――そうだ、そんなスウさんに依頼が来てるんですが」

「え、指名で?」

「はい、軍からの指名依頼です」

「また、軍・・・」

「帝国軍の研究所の遺跡が有るのですが、そこの探索依頼です」

「しんどそうだなあ・・・」


 私が「大変そうだから、断わろうかなぁ」と言う声を出すと、受付嬢さんが急に慌てだした。


「で、でも色んな物とかが有りそうですよ!? 重要なもの以外は貰っていいそうですし、――研究所なんでパイロットスーツとかも有るかもです!!」


 受付嬢さんは、断られると困るのかな。

 うーん、パイロットスーツが有るかも知れない・・・・か。――それは良いかも。

 命理ちゃんの体を修理する方法も、見つけられるかもしれない。


 ただし、


「・・・・アリスと行っちゃ駄目だ、これは・・・・」


 パイロットスーツがあるかも知れないなら。

 クレジットを数えていた空さんが笑いながら、言う。


「じゃあ、コハクとリあンとさくらを連れてってあげなよ。スウによる楽ちんクエスト体験ツアー」

「・・・みなさんが良ければ」


 その後、3人共から「是非」という返事が返ってきた――んだけど、この帝国時代の研究所・・・・相当危険で、空さんの言う「楽ちんクエスト」にはならなかった。


 それから〈強靭な胃袋〉と〈暗視〉は他にも出たんで、アリスとリッカに配っておきました。

 〈繁殖力強化〉は・・・希望者に。


「あ、そうだ受付嬢さん」

「良かった受けて下さった――えっ・・・・はい!」

「そのクエスト行くの、明後日でいいですか? 外せない用事があるんです」

「明後日ですか。ただの興味本位なんですが、明日は何が有るのか聴いていいですか?」

「明日、アリスとリッカのインターハイがあるんです。その応援に行きます」

「なるほどです。それは大切な用事ですね」

「はい」

「こちらでも準備がありますので、もう少し後で構いません。準備が整い次第、連絡さしあげますね」

「ありがとうございます」


 私は、惑星ユニレウスのストライダー協会の窓を振り返った。

 ユニレウスも今、夏だ。星が白く滲む高い空。――なつぞら

 明日、・・・アリスとリッカ、二人の真剣勝負が行われる。

 二人のぶつかり合いに想像を馳せると、私の中から様々な感情が、い交ぜになって出てくる。

 それは声になる。


「二人共・・・頑張って」

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