第164話 プラモデルを作ります
前回、コメントで積みプラモに対しての共感多くて草でした。
アリスさん。旦那さんの趣味、もうちょっと理解してあげて~><
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最終的にマリさんに仲裁してもらって、事なきを得ました。
アリスに「とにかく、ちゃんと全部作るんですよ」と言われ、私は「す、素組(着色などをしない)までなら!」と約束させられて、イントロフレームに話を戻させて貰った。
その後本格的にイントロフレームを作り出す。
「イントロフレームに嵌め込むには、ちょっとプラモの改造が必要だね・・・」
流石にプラモが物理的に干渉してしまうので、切ったり削ったりする必要があった。
私は戦闘機に変形するお気に入りのロボット『ローレンツ』を、改造していく。
〈時空倉庫の鍵〉の中に置いてある、禁止区域で買った冷蔵庫(意味無し)から、ガリガリするアイスを取り出し食べながら。
もちろんアリスとマリさんにも、アイスを選んでもらって配った。
「よし、全部干渉はなくなったかな? ――で、この鉄シール? をプラモの内側に張って、アタッチポイントにくっつけていく――と」
私がイントロフレームを完成させようとしているのに、アリスはスイカアイスを食べながら、こっちをそっちのけで、私のプラモ倉庫を覗き続けている。閉じちゃ駄目って言われた。誰か助けて。
「――やっぱり戦闘機とかのプラモデルも、買ってあるんですね?」
アリスが言うと、航空宇宙自衛隊員のマリさんが急に反応した。
「F35、F15、F2って書いてあるのは、どれかあるかい?」
「全部ありますね」
私は、マリさんに通信ウィンドウで、いい顔のサムズアップされた。
アリスが私の手元を視る。
「あ、完成したんですか? それも戦闘機に変形するロボットですか?」
「うん、レシプロ機だけどね」
「レシプロ機って、ジェットとはエンジンが違うんでしたっけ」
「うん、大概はプロペラで飛ぶ」
私が答えを返すと、アリスがローレンツの武器を見て嬉しそうにする。
「――あ、この創世機というプラモデルは刀を使うんですか!」
「うんうん、からくり創世記だからね!」
「なにが〝だからね〟なのかは分かりませんが――これ鍔とかないし・・・何でしょう、長ドスって言うヤツに見えます」
「いや、これはどっちかって言うと、刀を長期間保管するための白鞘かな」
「そんなのも有るんですね・・・・そうだ、スウさん。わたしにもプラモデルをイントロフレーム用に作ってくれませんか? 一緒に遊んでみたいです」
「それなら自分でプラモデルを作らない? 倉庫の中から好きな物を選んでいいよ」
「本当ですか! ――じゃあこの、スウさんにお顔の似てるヤツがいいです」
「に、似てる!?」
アリスが胡蝶のドリームエフェクトに出てくる、青い蝶のような、可愛いプラモデルを持ってくる。
それ・・・目の部分が、バイザーなんだけど。――似てる?
アリスが目を輝かせて箱を開く。
「沢山パーツがあるんですね!」
「道具もどれを使ってもいいよ。例えばパーツを切る時は、この地球技術の粋を集めたニッパーで、二度切りで」
「――地球技術の粋? ――二度切り?」
私が二度切りを説明すると、アリスが四苦八苦しながらプラモデルを作り始める。
アリスが悪戦苦闘しているので、時折説明を入れながら、私も机の下でプラモデルを組み立てる。
机の下で作業していても、流石にアリスより先に組み上げ終わってしまった。
でも1時間くらいするとアリスも、ついに。
「出来ました!!」
アリスが完成したプラモデルを掲げて、感無量という感じに表情を輝かせる。
青い蝶の翼が生えた、流線的なフォルムな機体。
私はアリスのドヤ顔を受けて、こっちまで嬉しくなった。
「じゃあ、それを今からイントロフレームに嵌め込めるように改造するんだけど」
「やっぱり、切ったり削ったりするんですか?」
「まあ・・・そうだね」
「・・・ちょっと悲しいですね」
「だよね。初めて作ったプラモデルだし、そのまま置いておきたいよね。――というわけで、ここに完成した同じ機体のプラモデルがあります」
私が、こっそり机の下で作っておいたプラモデルを取り出す。
するとアリスが一瞬ビックリしたあと、すぐに私に抱きついてきた。
「スウさん、大好き!」
❝そういうトコだぞ❞
❝細かいサプライズが尊み❞
(やわらけぇ。シトラスっぽい香りが、爽やか)
かくして、ブルーエルフィンonイントロフレームも完成した。
「ありがとうございます!! では、このコの名前は何にしましょうか」
「え、名前つけるの?」
「もちろんですよ!! ――スウ、――スウ」
「そこを起点に考え始めるの止めよう!?」
「――テイル、――テイル」
「そこもどうなの!?」
「――スウテイル!!」
「語呂が悪いよ!?」
「ではStale(ステイル)――廃れた、陳腐な、古びた・・・・あまり良い響きではないですけど・・・剣士機ステイルなら侍みたいな意味にならないですかね?」
「どうだろうねえ――とりあえず動かしてみる?」
「ですね!」
私とアリスが同時にイントロフレームのスイッチを入れると、両者のプラモが手から跳躍して、宙返り――ローテーブルに立った。
「向き合って、やる気だなこのプラモたち」
「なんだかドキドキします!」
「スウさんが銃で、わたしは剣で勝負しますか?」
「うん・・・遮蔽物がないと剣が不利だから、遮蔽物多めでいい?」
「助かります!」
こうして私は銃で、アリスは剣で戦ったんだけど。
「か、勝てない・・・」
私は、3連敗した。
「この小さなバネ銃だと、ほとんどプラスチック弾が飛びませんね・・・1メートル位で落下してしまいますし、真っすぐ飛ばないですし――これじゃ接近戦ですね」
するとマリさんが笑う。
「イントロフレーム付属の銃は危ないからねえ、人の肉を簡単に抉るよ。使うならちゃんと防具を着るんだよ」
「はい・・・・――というか私、人型のコントロールができない・・・。私、プラモバトルの才能ないかも」
「そこまで弱くはないと思いますが」
「よし、この機体を本当に飛ぶように改造しちゃえ」
「プ、プラモデルを飛ばす気ですか!?」
「うんうん。イントロフレームって軽いし、プロペラ機なら飛ばせると思うんだ」
「手作業で作る気ですか・・・?」
「行けると思うんだよね――」
私は倉庫から方眼紙を取り出して、簡単な設計図を引いていく。
「――まず揚力を得やすいように、複葉機にして、離陸しやすい水平に並んだ翼の形。プロペラを2つに増やして翼に設置そして、翼に思いっきり風を送る。さらにもっと離陸しやすくするために、フラップも付けて。模型飛行機なら乱流翼の方がいいよね」
要は揚力特化。
とにかく浮くことを考えてる感じ。その代わり速さが落ちちゃうけど。
❝スウたんは何を言っているんだ?❞
❝なるほど、わからん❞
簡単な設計図が出来たので、軽くて硬い樹脂を削って翼を作る。
ヤスリで削った粉が舞い散らないように、コンパクトで強力な空気清浄機みたいなのを回す。
あと、床ではルンバが るんるん してる。マリさんのワンルームだし汚しちゃったら悪いと思ったから。
改造が終わると、私はイントロフレームに登録するらしい『パーソナル動作』と書かれた場所に、動翼の動きの数字を入力していく。
作業を完了して、動きを確認。VRに表示されているキーボードとレバーを使って操作してみる。
補助翼の後ろ部分が上下に動いたり、垂直尾翼の後ろの部分が左右に動いたりした。
「動作に問題なし。塗装とかしてないけど、あとは飛行テストかな」
マリさんが「んー」と言った。
「一時間ちょっとで本当に飛べるようにできるのかい?」
「多分――でも滑走路はどうしよう。テーブルや床から飛び立てたとしても、すぐに壁が目の前に来そう」
私は考え込む。
「人の手で飛ばしても良いんだけど、それだと対戦時とかに使えそうにないよね。スワローさんみたいにジャンプしてじゃあ、揚力が得られないだろうし」
私は思いついて、ポムと手を打った。
「そっか、複葉機で双発プロペラだし、軽いからいけるかも?」
私はイントロフレームに手で机の角を持たせる。
そうして、プロペラを回した。
アリスが首を傾げる。
「スウさん、何をしているのですか?」
「えっとね、プロペラ機は極端な話、滑走路なしでも離陸できるんだよ」
「え!?」
「ジェット機には無理だけど、プロペラ機なら前進しないようにワイヤーなどで固定してプロペラを回して翼に風を当てれば、揚力を得て浮き上があるの。その後ワイヤーを外してしまえば飛び立てる。もちろん極端な話だけど――ほら、扇風機の風で紙がひらひら浮き上がるあの感じだと思って」
「なるほどです」
実際にやってみると、私のプラモデルが浮き上がった。ここでイントロフレームの手を離させれば。
アリスが目を輝かせた。
「飛びました!!」
配信で見たらしいマリさんが、ちょっとビックリする。
「手で削り出して、一発で飛行成功かい!? それもたった一時間で!? ―――本当に、お見事だよ!」
褒めてくれた。
「ありがとうございます! だけどまだこれからですね」
飛行機の舵を担う補助翼達がきちんと動くか試して、やっと飛べたと言える。
私はプラモデルを部屋の中で、ぐるぐる飛ばす。
フェアリーさんのワンルームより広いからなんとか飛べる――それでもギリギリかな。
私はテストに色んな飛び方を試す。
アリスが目を左右に動かしながら、呟く。
「この狭い部屋で、よくジャイロ姿勢制御もなく飛ばせますね」
「だいぶ難しいよー」
私がさらに盛ったり削ったりしていると、アリスが塗装したプラモデルをマリさんの食器洗い乾燥機に入れて戻って尋ねてきた。
――もちろんプラモデル専用に買っている物である。
しかもFLの食器洗い乾燥機らしく、地球の食器洗い乾燥機より、さらに早く乾く。
「ところでスウさん、その機体の名前は何にするんですか?」
「えっ、アニメのままのローレンツでいいよ」
「だめですよ。それじゃあスウさんの機体じゃないです。それにもう、複葉機にしたりプロペラが2枚になったり元の形ではないんですから」
「じゃあローレンⅡ」
「前から思ってましたが、スウさんって、もしかしてネーミングセンス無かったりしますか?」
「そこまでひどい!? でも思いつかないし・・・・」
「では、わたしが決めましょう。――スウ、――スウ」
「だから君はなぜ、そこを起点にするの!?」
「じゃあ――テイル、――テイル」
「わざとやってない!?」
自分で決めないと、とんでもない名前をつけられそう・・・!
「わかった、自分で決めるから! ローレンとかどう!?」
「さっきと変わらないじゃないですか。それに、テイルを付けましょうよ。ツインテイルとかどうですか?」
「ツ、ツインテイル要素ないし!」
「では、ソロテイル。――いえ、ロンリーテイル。――むしろ、ボッチ・ザ・テイル」
「アリス? それは、どういう意味?」
「え、だってスウさんの機体ですし」
「ちゃんと酷い認識されてた。というか、テイルをやめよう」
「それってつまり・・・ソロスウ、ロンリースウ、ボッチ・ザ・スウですか?」
「アリス、お願いだから私から一旦離れて!?」
アリスがこっちににじり寄ってくる。
「なんでそんな酷いこと言うんですか?」
「ち、違うから。そう言う意味じゃないから! なんでこの人、こんなに知能指数が下がってんの!?」
「知能指数が下がってると直接言われました。でも、わたしのステイルと、スウさんもテイル同士で仲良くしたいですし、ちょっと頭を働かせてみます」
言って、アリスが紅茶に角砂糖を一つ入れて一気に飲んだ。
「カフェインと糖で、脳みそがギュンギュン回ってきました」
「効果早いなあ」
「なるほど! ――わたし、凄いことに気づきました」
「すごいこと?」
「日本語だと『◯◯し〝ている〟』って動詞に〝ている〟を付けるじゃないですか。これなら幾らでもテイルって付けられます」
「無駄に知能指数上がった」
「フルエ・テイル、オビエ・テイル、キョドッ・テイル」
「誰の事かな!?」
「では
「十六夜? なんで、どういう意味?」
「『
「躊躇う・・・ちょっと気になるけど、普通に
「テイルが無いじゃないですか」
というか十六夜うテイルとか、十六夜っテイルとかじゃないのね。
「まあ・・・字面は綺麗だから、十六夜テイルでいいや」
という訳で私の機体に、十六夜テイルという、なんか上品な名前がついた。
あとで、月のデカールを転写しておこう。
その後しばらくして、マリさんがスワローテイルをオートパイロットにして、キッチンに立って夕食か何かを作り始めていた。
~~~
うあああ・・・また投稿遅れをやらかしました・・・すみません。
正直、近所の騒音が酷くて、ずっと耳栓してるんですよね・・・もう3年近く(´・ω・`)。
・・・・アラームがあんまり聴こえなくて。
本当にすみません・・・。
できれば引っ越したいです・・・。
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