第156話 みんな合流して、星のかなたで川遊びします

「おーい」

「みなさ~ん」

「ただいま」


 振り返れば、オックスさん、さくらくん、命理ちゃん。


 さらに、反対側から。


「楽しそうな事やってんじゃーん」

「川遊びするなら呼んでほしかったです」

「よーし泳ぐぞー」

「お姉ちゃん、ちゃんとひじきも食べようよ」


 と言いながら、リあンさん、コハクさん、星ノ空さん、メープルちゃんが姿を現した。

 私は首を傾げる。


「え、みんななんで?」


 すると、リあンさんが返してくれた。


「配信を見たんだよん」


 言いながら、リあンさんは服を脱いだ。

 下から出て来た水着は、大人っぽい黒いヤツだった。なんだか体に巻き付くようなデザイン。布面積はビキニより多いのに、なんかエッッッ。

 スレンダーで綺麗な体型が映えている。


「ちょっと食後の運動してくるわ」

「私も」


 コハクさんも服を脱ぐと、大人しめの水着が出てきた。

 可愛いコハクさんらしく、可愛い系のピンクの水着。ただしリッカちゃんと違ってビキニ。大人だ。


「他所の惑星の川を楽しむぞー!」


 いつの間にか脱いだ星ノ空さんの水着は、黄色と青と赤のトリコロールカラー。

 ビキニに見えるんだけど、上下がナナメの帯みたいなので繋がれている。ジャンル的になんだろう。

 なんにしても元気のいい感じのデザイン。


 メープルちゃんも脱いだ。

 水着はリッカに似た白いやつ。ただし、所々にピンクの紐があって更に可愛さを増強している。

 彼女は脱いだけど河には向かわず、私達の方にきてリッカの世話を焼き出した。


 そうして命理ちゃんも脱ごうとしたが、私は嫌な予感がして彼女を呼び寄せた。


「ちょっと命理ちゃんコッチに来て」


 頭の上に疑問符を浮かべて、トテトテと近づいてくる命理ちゃん。

 服を引っ張って中を見ると、水着とか見当たらない。

 危ないところだった・・・。


「アリス・・・前に、命理ちゃんに着せようとした水着ある?」


 命理ちゃんなら、アリスの水着を着れるはずだ。

 胸のサイズがほら、・・・ね。


「あります・・・・けど、まさか―――着てなかったんですか?」

「―――御名答」

「超プロブレム・・・」


 私達が頭を抱えていると、命理ちゃんが首を傾げる。


「当機の体は機械よ、生殖器も再現されていないし、問題ないわ」


❝いやいや❞

❝っぶねえ❞

❝命理ちゃん、怖いって❞

❝でも・・・機械だから裸じゃないもんって感じの、たまにあるけども❞

❝BANが怖いから止めとけ❞


 バーサスフレーム用の〈時空倉庫の鍵〉を開いて、命理ちゃんには中で着替えてもらう。

 やがて出てきた命理ちゃん。グラビア撮影用の水着なのでちょっと際どいけど、水色が健康的にみえるので良し。


 男の子みたいな体型だし、問題もないだろう。

 なにより着てるのが良い。


 ――にしてもアリスも、リッカも、命理ちゃんも、みんな男の子みたいな――ムッ・・・殺気!?


 私が振り向くとアリスが「ジーーー」っと蝉の声でも聴こえてきそうなほど、私を見ていた。


「スウさん。さっきから、わたし達の胸ばかり見ていますが。なにか妙なこと考えてませんか?」

「考えてない考えてない!!」

「そうですか・・・なら良いですが・・・」


 アリスが珍しく陰属性になって、私から離れていく。

 危ないところだった、何かの必殺技でも飛んでくるかと思った。


 私が安堵していると、リッカが私を指さした。


「女の子の胸ばっか、視るスケベだー!」

「何でだよ! 女同士だろ!? ――私が女の子の胸に興奮したり――あっ、するわ・・・・言い訳できないわ」


 私が事実に気づくと、リッカが小さな悲鳴を上げて、胸を隠しながら私から距離を取った。


 私、時々この子を怯えさせてるな。


「よし! 魚を穫るか、さくら」

「はい!」


 さくらくんに言ったオックスさんが、グイッと脱ぐ。

 オックスさんの水着は普通の丈の長い黒いトランクス型で、サイドに金の紐があしらわれてる感じなんだけど――凄いのは体だ、滅茶苦茶鍛えてある。ボディビルダーってほどじゃないけど、見事にガッシリ。

 色黒さや野性的な髪型もあって、ダンディなお父さんって感じ。


 で・・・最後に・・・・問題のさくらくん。

 どうみても、可憐な女の子が男の子の水着を着てるようにしか見えない。

 

(これは犯罪では!?)


 緑と黄色の男性用の水着を着てるんだけど、本人が貧乳の女の子にしか見えないから大変な事になってる。

 まつ毛長いし、垂れ目気味なのがなんかもう女の子女の子してて。


「え、大丈夫なの!? さくらくんの水着姿! これ映して大丈夫!?」


 レースクイーンの格好のほうが、まだ摂理に従ってる感じがするよ!?


❝あれもBANされんか?❞

❝叡智すぎんか・・・?❞

❝まあ、男の子だし――男だよな?❞


 アリスも苦笑い。


「凄いですね、見てはいけないものに見えます。あれで水泳の授業受けたら周りの男子は涙目でしょうね」

「ぜひその授業の光景を、校舎からニヤニヤして見つめたい」


 リッカが鬼畜な事を言っているけど、君の表情筋的にニヤニヤするには頼りなさそう。てか、私はそれどころではない


「本当に男の子なんだよね? 彼。・・・・実は女の子でしたーなんて、楠なんとかさんみたいな事ないよね・・・」

「笑えない冗談です」


『大丈夫ですマイマスター、遺伝子的に彼は間違いなく男性です。少々女性ホルモンが多いようですが』


 少々?


 てか、私より手足が綺麗じゃね? 嫉妬しそう。

 でも綺麗な物を見れて眼福という気持ちもあって、こころが2つ有る状態になる。

 とにかくBANはされなかった。

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