第154話 はしゃぎます

前回、涼姫が何故かイントロフレームを知っている描写がありましたが、皆さん忘れて下さい><


あの時点で涼姫はまだイントロフレームを知りません・・・。


本来すでにアップしている予定だった、イントロフレームの話がちょっと長くなりすぎてダレそうで、半分以下にしたんですがまだ長くて。


それで、修正が間に合わないのでエピソードを後ろに回したんです。


本当に申し訳ないです。


~~~




 インドア派の私は、山登りなんて流石に勘弁してほしいので、なんとか川遊びにしてもらった。

 で、比較的安全な流れの場所でアリスに渡された水着に着替える。


 ――というか、これフェアリーテイルの撮影に使った水着じゃないか。


 緑色の、どこから買ってきたんだっていう際どいビキニ。


 わたしの水着はこれしかないし、仕方なく着てから「なんでアリスが、これを持ってるの?」と、首を傾げた。

 まあ二人に見せるなら、どんだけ際どい水着でもノープロブレム。


 ちなみにアリスの水着が他に何着かあったけど、私には入らない。


 胸のサイズがほら、・・・ね?


 なんて失礼なことを思っていると、アリスの声が後ろからした。


「じゃあ配信始めますねー」

「ふぁ!?」


 私は後ろでカメラの準備をするとかいう凶行を開始したアリスを、羽交い締めにする。


「お主は何を、血迷っておるのじゃ!!」

「え、スウさんも配信するでしょう?」

「するわけなかろう! 拙者は今、水着姿でござるぞ!」


 アリスは「えっ、なんでしないんですか」という本気の疑問の表情。

 まあ貴女は、人前に水着で出るのが仕事ですもんね!?


 私がアリスの暴挙を止めていると、背後から声がした。


「こんリッカー。配信開始しました~」

「こっちにも危険人物がおった!」


 私がリッカを羽交い締めにすると、景色が回って河に叩き込まれた。


「ぶくぶくぶく」(忘れてた。このチビ、大男を片手で投げ飛ばすんだった)。しかも襲いかかると、無我の境地で投げてくるんだった。


 とりあえず〖飛行〗を使って川から這い上がる。泳げないんだよ、私。


「あ・・・スウ、ごめん」


 滅多に見れないリッカの悪びれ。

 まあ本気で謝ってるから許そう。


 浮いてる私にアリスが尋ねてくる。


「ほんとに配信しませんか?」


 アリスが言って、白いパレオを渡してきた。

 ふむ、これで股間を隠せと。了解した。


 胸の装甲は帯みたいな形だから、若干下乳が気になるけど、布地は多いので・・・許容範囲かな。


「まあ防御も固めてもらったし、リッカが配信始めちゃったし良いよ」

 

 すぐさま私の視界に、コメントが流れ始めた。


❝Herスウ!❞ 

❝Herスウ!❞

❝Herスウ!❞


❝突発配信、来ちゃー❞

❝スウたんどこ?❞

❝今日は、新惑星で川遊び?❞


 ――速っ。


❝おおお、スウのフェアリーテイルの水着だ!❞

❝フェアリーがいるぞフェアリー!❞

❝フェアリー・スウだ❞


「なにその、メアリー・スーみたいな生き物。あとこっちをあんまり見んな!」


 ちなみにアリスは黒のセクシーなビキニ、絶対撮影で使ったやつ。

 だってグラビア以外でブラが四角いビキニなんて、見たことないもん。


 リッカは、普通にかわいい系の白いワンピース型。


 可愛すぎて鼻血出そう。


❝いっつも、水着みたいな格好してるんだから良いじゃん❞

❝あー。あの、ぺーに住みてえ❞

❝俺は、あの太ももに住みたい❞


「やめろ、私の体はマンションじゃない!」


 恐ろしい言葉を撒き散らすコメントたちを必死に成敗していると、リッカが河に突入して魚を追いかけだした。


 結構急な流れなのに、全く問題としていない。

 流石、人外。


 私も川に入る。そして魚を追う、コケる。


 コケて溺れかけて陸に上がると、リイムが流石にあの流れは怖いのか、私のほうへ走ってきて、泳ぐリッカを「信じられない」みたいな眼で観ている。


「獲ったどー!」


 魚を手づかみで掲げたリッカに驚嘆していると、網膜に情報が映った。


 MoB、ヴォーパル・フィッシュ。


「MoB! リッカそれ、MoB!!」

「えまじ?」


 リッカが慌てて、魚を空へ捨てる。

 かと思ったら瞬く間に〈次元倉庫の鍵〉から太刀を抜刀して魚を3枚におろした。


「リッカ流、ゲート抜刀術」


 いや普通に凄い技だけど――ゲートで抜刀術するのも、空中で三枚おろしも普通できないけど。技に名前つける派なんだ?


❝88888888❞

❝流石リッカだわ・・・❞

❝嫁にしたいけど、怖すぎる❞


 空中で砕けて消える、ヴォーパル・フィッシュ。


 消えてくれてよかった。食べやすそうな切り方するから、リッカが食べようとか言い出したらどうしようかと思った。


 (リッカなら、あり得るからなあ)とか思っていると、リッカの頭に何かが落下して行くのが見えた。

 

「あ、印石でた――」


 リッカは頭に落下してきた、青い銀河のような石をつまんで言った。


「――〖水生成〗?」


 暫く説明を読むように視線を漂わせていたリッカが、指鉄砲を構えた。

 そうして「BANG」と言うと、指先から水鉄砲が放たれる。


 「水鉄砲を撃つスキルかあ」とか思っていると、硬そうな岩の表面を30センチくらい貫通した。


(威力よ・・・)


 実弾より強くない? いやまあ、実弾は人体を破壊する事に特化してる部分あるから貫通力はなかったりするけど。


 更にリッカが、水をつるぎ状にして小さな岩に斬りかかる。


 見事に真っ二つ。


(威力・・・)


 しまいには、大海嘯を起こしてそこら中を水浸しにした。


(・・・)


 ちなみに私は、見事に流された。


 私がほうほうの体で水浸しから抜け出すと、リッカはどこからか出した扇子で噴水を吹き上げながら頷く。


「これは便利だなあ。わたしにピッタリだし」


 本名みずきだもんね。


 リイムが、リッカに寄っていてクチバシで突っついている。


 大海嘯に流された、リイムの猛抗議だ。


 リッカは髪の毛をクチバシで摘まれながら、


「ごめんて(笑)」


 って笑ってる。


 私が、戯れるリッカを呆れながら眺めていると、恐ろしい事実がコメントに流れた。


❝スウたん。水着の上、無くなってる❞


「ぎえええええええ」


❝なんて色気のない叫び声www❞


 大惨事が起きる前に水着をなんとか回収して、身につける。


「あー・・・とんでもない目に遭った」

「でけー脂肪ぶら下げてるからそう――ひゃいひゃい」


 大惨事になりかけた原因の頬を引っ張りながら、河を眺める。


「でも、私も同じ印石が欲しいな。小説とかじゃ、水生成能力は結構チートだもん」


 ていうか私の才能のない魔術に近いし、その上魔術より強力なんでしょ?

 そんな風に思ってヴォーパル・フィッシュを探した。


 川の中を〖飛行〗で無理やり泳いで泳いでみても、結局見つからなかった。


 レア魚だったのかな。


 その代わり巻貝みたいなのから、別の印石が手に入った。


「〖味操作〗?」


 私が巻貝みたいなMoBから手に入れた薄黄色い印石を覗いていると、リッカも覗き込んでくる。


「料理人にでもなるの?」

「ならんけど」


 物体の味を変える。かあ。


 なんか食べ物あったっけな。


「じゃあ。ちょっと遅くなりましたが、そろそろお弁当にしますか?」


 アリスが尋ねて来た。

 そうだ、楓ちゃんのお弁当食べないと!


「そうだね、そうしよう!」




~~~


年末で更新時間がウロウロしてすみません。


前回もご報告しましたが。


年末は、7時と、21時。


年始三日は、8時と、20時に更新しようと思っております。


その後は、7時と、21時。か、6時と22時か迷っております。


分は11分くらいに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る