第139話 ボスの攻略方法が分かります

 ◆◇Sight:鈴咲 涼姫◇◆




 実は前から欲しかったものが有るんだよね。


 中距離武器。


 〈励起翼〉ほど接近しなくていい、だけど、そこそこ威力はある。その代わりあんまり射程は無くていい。

 こんな要求を満たしてくれる武器がほしい。

 そこで目をつけたのが〝ヨーヨー〟。


 棒状だとあんまり長いと折れちゃう。でも紐状なら長くても問題ない。柔よく剛を制す武器な感じ。先っぽの重りで操作も出来る。つまりは長いモーニングスター。弾丸系は一杯装備してるし、これ以上増やしてもね。

 それにヨーヨーは攻撃だけじゃなくて、色々応用が効くと思うんだよね。

 で、用意しました設計図。――アリスに3Dソフトの使い方を教えてもらいながら作りました。


 先っぽには、FLの小型粒子加速器を買って備える予定で、マイクロブラックホールを生成できます。


 マイクロブラックホールといってもそんな凄まじい破壊力が有る感じじゃなくで、バーサスフレーム(おおよそ150t)が秒速1キロで飛んでいるのを壁とかに貼り付けても外れないくらいの力。


 すごそうだけど、そこまで凄い力は掛からない。

 でもスワローさんのリミッターを外すと、壁とかから外れちゃう位の吸引力。むしろ、引っ掛けたほうが確実くらいの吸着力。

 もちろん、引っ付けたまま直進したら中の私がムチウチで済まないので、貼り付けたら円運動で力を逸らさないとだめ。


 ワイヤー部分には励起機能があって、絡み付けられれば、相手に継続ダメージを与えてMoBだって切断可能。


 ワイヤーの長さは最長300メートル。さきっぽの重さは1トン。

 表面材質は『ミスリル(MysLill)・炭化ホウ素複合装甲』バーサスフレームの装甲と同じ。めちゃくちゃ硬い。ちなみにあ◯きバーはサファイアより硬いらしいから、ダイヤの次に硬い宝石。Q.E.D.

 という感じの設計をしました。


 予約していた大型のレプリケイターに、スワローさんで材料を放り込む。


 借りたい人はクレーンでもいいけど、あっちは免許がいる。バーサスフレームに免許がいらないのは相変わらず謎。


 暫く待てばチーンという音が鳴って、完成しました命名『粒子加速・ヨーヨー』さっそく配信で、スワローさんに乗って実験。


 ス◯イダーマンか立◯機動宜しく、ターザンゴッコ。


 飛行形態でやってたら、視聴者にドン引きされました。


 新たな力〝粒子加速・ヨーヨー〟。


 『勝利の鍵はこれだ!』




 ◆◇◆◇◆




『スウさん、命理さんを解析したことで、復活するMoBを倒す方法が確立されました』

「ついに来ましたか」


 私が昼休み、アリスと近くのコンビにお昼を買いに来ると、アイビーさんから連絡が来た。


  今日の私はツナマヨにする予定。

 アリスは、抹茶蒸しパン? 珍しいものを――だけど美味しそう。


「スウって言った?」

「えっ、あの子がスウなの?」

「このあたりに出没するって聴いたけど、爽波の生徒だったんだ・・・?」


 うん、まあアイビーさん、あんまりスウスウ言わないでほしいな。

 まあ顔を見りゃスウだって、一発で分かるんだけども。


 アイビーさんはいつものように、大きなウィンドウで私の視界を塞いでいる。


 でも昼休みは短いので、私は買い物の手は止めない。


 ツナマヨと昼Teaを買い物カゴに確保して、チグたちに頼まれた食料も投入。

 そうしていると、アリスがちょっとご立腹。


「アイビーさん、あまりスウという名前を私生活中のスウさんに言わないであげて欲しいんですよ。有名人なので結構困るんです」


『そ、そうなんですか・・・!? すみません。なんとお呼びすれば!?』

「いえ、もう周りにバレちゃったんで、今更遅いですから、今はいいです。でも今後は配信してるのか、私生活中なのか、尋ねてあげて下さい」


 私の信奉する暗黒神様が降臨なされた。

 そのせいで、アイビーさんがちょっと怯えてる。

 アリスってば、連合の准将を怯えさせるとかどんだけ。


『わ、分かりました・・・説明を続けても?』


 腕を組んだアリスが頷くと、アイビーさんは恐る恐る続ける。


『え、えっと。し〝真空回帰爆弾〟と言います。復活型のMoBを完全に抹消できる兵器です。ドライアドを一旦撃破後、コアに叩き込んで下さい。一発しかないのでスウさんに預けます』


 すると、コンビニに買い物に来ていたクラスメイトが囁く。


「スウだって」

「スウって呼ばれてるし」


 君らも呼んでるじゃん。


「スウに預けるんだ?」

「え、アレって向こうの偉い人じゃないの? 一発しか無いのに鈴咲に渡すの?」

「やっぱ鈴咲すごいんだな」


 という感じでドライアドに勝つ方法が出来て、一斉にSNSや掲示板、動画などでドライアド討伐の参加者が再び募られだした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る