第46話 凄いガンスミスさんに出会います
しばらくして大分回復して「よしっ」と気合を入れて立ち上がった時である。
聞いていたラジオが、新しいコーナーを始めた。
『こちら 〝ラジオ・ハイレーン・デイ・ステーション〟! 正午15時をお知らせします。次のコーナー、ハイレーン・デイ・ニュースタイムです!』
ここで『ハ、ハ、ハ、ハイレーン、ハイレーン・デイ・ニュース』という、ジングルが入る。
私は「やっぱ未来でも、聴覚だけの娯楽はなくならないんだなあ」という感想を抱いて、ラジオを聴きながら、お店の駐車場を歩きだす。
『――さて
えっ!? ・・・・なにこれ!!
「――なんか私の事が、ニュースになってる。というかアインスタ!?」
『主惑星への正規軍が勝てないMoBの襲撃は、大事件ですから仕方ないです』
イルさんの言葉に、私が本格的に「こっちでは正体を隠そう」と思っていると、後ろから駆けてくる足音がした。
「お、お客様! 銃を沢山ご購入なさって下さったお客様!」
さっき銃を買う時に、説明してくれた店員さんだった。彼女は私の後ろで止まると息を切らして話しかけてくる。
私は、彼女が息を切らしている間に、きちんと向き直る。
「あのっ――」
彼女は言って――ふと、私に寄って小声になる。
〔――ネバーシティを救って下さった、スウさんだというのは本当ですか!?〕
「えっ――と、まあ・・・・」
「やっぱり! 祖母の故郷がネバーシティなんです! 本当にありがとうございます!」
「そ・・・それは。ご無事だったなら良かったです」
「はい! ――それで・・・・実は先程紹介した銃職人というのは、実は私の祖父でして――」
「そうだったんですか」
「差し出がましくなければ、案内させていただいて宜しいですか?」
「あっ、はい、助かります。――でも、そちらはお仕事は大丈夫ですか?」
「お昼休憩時間なので、その間に」
そういえば、ラジオで正午っていってたっけ。
「―――じゃあ、お願いしたいです」
こうして私は、銃職人さんのお店に行くことになった。
お店は、中世ヨーロッパみたいな古風な店構えだった。
でも、看板がないんだけど。
「ここですよ」
言われてドアを押してもらったんで、恐る恐る中へ入る。
これは多分、案内して貰えなかったら怖くて中に入れなかった。というか見つけられなかったかも。
「―――ごめんください」
ちょっと緊張しながら店に首だけを入れて見回すと、金属や火薬の匂いの混ざった、酸っぱいような苦いような匂いが鼻をついた。
壁には、沢山の銃が掛けられている。長いのから短いのまで一杯。
ただ、値札がない――これ、本当に売ってるのかな?
足を踏み入れると、〖第六感〗が耳鳴りの様に反応した。
見上げていくと、どんどん耳鳴りが強くなっていく。
そうして一本の銃のところで一番強くなった。
私はその美しさに釘付けになる――白銀に輝くニューゲームだった。
銃から、なんだか只者じゃないオーラも感じる。
「あれ、多分凄い銃ですよね?」
私が見上げながら呟くと、店員さんが嬉しそうに頷く。
「分かるんですか! それは祖父が最も得意とする銃です。そのニューゲーム1110は初めて制震機を備えた銃で、数千年以上の歴史を持つ銃ですが、未だに使われ続ける銘銃として名を馳せています。やはり祖父の銃を、貴女に使っていただきたいですね!」
できればこの銃が欲しい、ちょっと怖いけど交渉してみたい。
よし、職人さんを呼ぼう。
「すみませ~ん」
「黙れ、帰れ―――!!」
「は、はぃぃぃぃ!」
お店の奥――見えない場所からとんでもない大声で怒鳴られて、私は涙目で店を飛び出そうとした。
しかし、襟首をホームセンターのお姉さんに引っ張られて、連れ戻される。
私が生まれたての子鹿のように震えていると、ホームセンターのお姉さんがさらなる大声で怒鳴り返した。
「お祖父ちゃんが黙って! さっさと出てきて!!」
衝撃波でも発生したんじゃないかって思うほど――百獣の王の咆吼なんじゃないかって思うほど恐るべき大声。
奥から、気まずそうな声が聞こえてきた。
「ぉ・・・おう・・・・リーラか・・・」
ややあって、奥から――おでこと頭頂の髪の毛がない、モノクルの拡大鏡を着けたお爺さんが出てきた。
お爺さん、若干涙目にみえる。
ちなみに私は、完全に涙目。
下からも涙がちょっと漏れた。
「お祖父ちゃん、お客さんだよ」
つままれた猫のように、お爺さんの前に突き出される、私。
リーラって呼ばれた店員さん、すんごい怪力だ。
データノイドさんぽいけど。
「なんじゃこのオナゴは――いや・・・儂は客なんぞ―――」
「最近、お祖父ちゃんの銃を使う選手が減ってるんでしょ。この人にあのニューゲーム1110を売ってあげて!」
「な――っ、あれは駄目じゃ。あれは最近の中でも傑作じゃぞ! いくら可愛い孫の頼みでも、どこの馬の骨ともしれないオナゴになんぞ売れん!」
リーラと呼ばれた店員さんがため息を吐く。
「この人知ってる?」
「そんなもん、知らんわ」
「スウさんだよ、最近有名な」
「誰じゃ」
「プレイヤー」
「プレイヤー!? プレイヤーがなぜここに居る―――今すぐ軍に連絡して・・・」
「何を馬鹿な事言ってるの、許可がないとこっちに入れる訳ないでしょ! この人は特別権限ストライダーなんだよ!」
「と、特別権限ストライダー・・・・じゃと!? 本当にアレになれるプレイヤーがおったのか!?」
「そう、すごい人なんだよ。しかもアインスタだよ」
「アインスタ・・・――じゃが何も見えんぞ?」
お爺さんがつままれた私を、足の先から頭の先まで眺める。
リーラさんは私から手を離して言う。
私は、床で転がる。
「こっちの住人に撃たれちゃったらしいから、マザーコンピューターが情報を隠匿してるんだと思う」
「撃たれた・・・? このオナゴは一体何をしおったんじゃ、どうせ禄でも――」「ネバーシティーを襲ったMoBを倒してくれたんだよ。なのにコッチの市民がスウさんを撃った――碌でもない事する人が、アインスタなんて呼ばれるわけ無いでしょ!」
ほんと、そのアインスタってなんですか、誰か教えてください。
さっきも、なんとなくイルさんにもはぐらかされた気がするんだよね。
とりあえずアインスタは、碌でもない事しない人っていうのは分かったけど。
「―――ネバーシティを・・・・昨日の事件のか・・・」
「流石に、お婆ちゃんの故郷の事件だから知ってるんだね」
データノイドの血縁関係ってどうなってるんだろう。よくわかんないな。
聞ける雰囲気じゃないけど。
「そうか――懐かしい、アイツの故郷をか・・・アイツのデータは残っておらんからな、データノイドにはしてもらえん――」
そっか―――ヒトだった頃の伴侶さんだったのか。
「――スウさんとやら」
お爺さんが私に向き直る。
目がとても優しくなっていた。
「は、はい」
「少し、待っていてもらえるか?」
「えっと、はい」
私が返事をすると、お爺さんが店の奥に入っていった。
しばらく待っていると、彼が戻ってくる。
お爺さんは両手で、小さなトランクのようなケースを持っていた。
「コイツはどうじゃ。最近は扱いやすい最新型の249Xばかりになっておる。しかし儂は、初代である1110が傑作だと思っておる――使い手は選ぶが、使いこなせば応えてくれる」
お爺さんがトランクを開くと、中から出てきたのは
「・・・これって」
――全体は灰色で、グリップに濃い色の木が使われている上品で落ち着いた感じのニューゲーム1110だった。
リーラさんが、出てきたニューゲーム1110を見て眉を潜めた。
「いや、なにこの地味なの――あっちの方が」
言って壁を指さそうとした。
「ま、待って下さい!」
私は銃をマジマジと見つめる。
これ、なんか凄まじいオーラを感じる。
〖第六感〗も強烈な反応をしてる。耳が痛いくらいの耳鳴りがする。「―――コイツは凄い!」って言ってる。
なんていうか、立花 みずきさんみたいって言ったら良いのかな――技の結晶って感じ。
「手にとって、視るかい?」
お爺さんが勧めて来た。
私はただの女子高生だ。――銃は好きだけど、銃の事は知識でしか分からない。
「体験してみないと」って思った。
「よ、宜ろしければ」
お爺さんがトランクを私の方へ動かしたので、鈍く光る銃を手にとって観察する。
銃を持つと安心感があった。――持っただけで不安感が無くなるような手応え。
私は銃の上部を引いてみる――一切引っかかりのないスライド。今使っているニューゲームは、ザリザリという金属をこする手応えがあった。
「トリガーを引いていいですか?」
私が尋ねると、お爺さんが深く頷いた。
私は弾丸が入っていないことを、よく確認する。
お爺さんが私の行動を見て、満足そうに頷いている。
確認し終えて、トリガーを引いてみた。
―――軽い。
トリガーの重さって命中力にも影響してくるんだよね、これはもう実感してる。
こっからはサブカル知識なんだけど。
銃の引き金を引く時のコツを示す言葉って、多くで言っているのが、何も考えず照準を合わせて、指が自然に動くが大事。
――つまり無心で照準を合わせたら、後は脱力して引き金を引くのが大事らしい。
そうしてこの銃は、トリガーの重みも、押し込みの深さも感じさせない。
でも、逆にちょっとした振動で暴発しそうで怖い。
私は指で撃鉄を起こして、引き金を確認してみる。
今度は十分な重さを感じた。
撃つ時は軽く感じるのに、撃とうとしない限りトリガーが引けない。
これなら簡単には暴発はしないと思う。
「でもなんで?」
お爺さんが私の行動に対して、嬉しそうな顔になった。
「そこが自慢じゃ。――トリガーや、ハンマーや、ハンマーを押さえているシアーの遊びを一切なくして、しっかりと噛み合わせる。あとは少しのトリガー動作で、ハンマーが解放されるようにすればよい」
と言ってきた。なるほど、部品が衝撃でズレたりしないようにしてるんだ?
発砲したくない時に、発砲される銃はダメな銃だもんね。
弾倉の抜き差しもしてみる。
すごくスムーズだ、これならリロードも素早くできそう。
なんだろう、動画で金属どうしを合わせるとつなぎ目が見えないほどピッタリと嵌る動画ってあるけど。
ああいう完璧な調整が、銃全体に及んでる感じがする――それを、きっと手作業でやってるんだ。
「試射してみるかい?」
「是非お願いします!」
私は地下の射撃場に案内された。
そうしてヘッドホンみたいな形の、モフモフ付きのイヤーマフを貸してもらって耳に着けた。
モフモフフワフワ。
自販機みたいな機械に弾倉を入れると、自動的に装填されて返ってきた。
「ここが未来か」
弾倉をニューゲーム1110に装填して、スライドを引いて撃鉄を起こして――いよいよ試射。
フェイレジェの拳銃は地球の物より飛距離があるので、遠めな100メートル先の的の真ん中を狙って―――撃つ。
反動がニューゲーム249Xよりも強い。
だけど、
「は、はい??」
嘘・・・・ほんとに?
もう一度撃つ。
「う、嘘でしょ」
ロイトさんとリーラさんがニヤニヤするのが分かった。
次は右上の的、次は左上の的。
どれも結果がやばすぎる。
私は思わず、手にしている鈍色の銃を見た。
「こんなの本当に存在するんだ!?」
「驚いたか」
「どうなってるんですかこの銃、きちんと〝照準どおりに飛ぶ〟んですけど!」
「言ったじゃろう、儂の最高傑作じゃと」
照準どおりに飛ぶ――フェイレジェをやってて分かったことなんだけど、実は凄い事だったんだ。
銃って100メートルも離れると、銃に備えられた照準器の真ん中に飛んでいかない。
集弾(銃弾が同じ場所に飛んでいく)はするんだけど、その集弾する場所は銃ごとに癖がでる。右上や左下など、色んな方向に偏るのが普通。
だから照準器を取り付け、癖にあわせて照準の方向や、電子照準器なら画面を細かく調節する。
――または人力で癖を覚える。(アイアンサイトを使う場合とか)
それがこの銃は、圧倒的に癖がない。
狙ったら、狙った場所に吸い込まれていく。
私はもう一度、的に向き直って、ド真ん中を撃ってみる。
その結果を見て、お爺さんが笑った。
だって既に空いていた弾痕の穴に、今撃った銃弾が通ったんだもん。ピンホールショットって奴だよこれ。
「嬢ちゃん、良い腕じゃ」
「お爺さんの銃が凄すぎるんですよ―――私は照準合わせただけです・・・」
「ほっほっほ」
「やっぱウチのお爺ちゃんは、腕はいいのよねえ。性格はともかく」
リーラさんが苦笑い。
私が一通り性能を体験した所で、お爺さんが尋ねてくる。
「さて、どうじゃ嬢ちゃん」
「もう、なんて言ったら良いんでしょう。――私は実銃にあまり詳しくないんですけれど、言葉で現せないと言うか、私が今まで使っていた物とは別物というか」
「分かってくれるか」
「分からされました。――これ、売ってもらっても良いんですか?」
「いいや」
「あ、あれ」
売ってくれないのか。
見せてくれただけ?
「そいつはお主に譲る。タダじゃ」
「え――タ、タダ―――!?」
「そうじゃ」
「いえ、それは流石に!!」
「いいや、金はいらん。どうせそいつは誰にも売るつもりがなかった。じゃから値段が付けられん。ならば恩人であるアンタに譲りたい」
「そ、それは・・・・」
するとリーラさんが寄ってきて、私の手首に軽く触れて首を振った。
「祖父からのお願いです」
お爺さんが静かに頷いて、私に言う。
「ああ。こちらから貰って欲しいと言っておる。これは儂からアンタに対する願いじゃ。こちらから頼んでおる。スウとやら、儂の作った銃を使って欲しい」
お爺さんの真剣な目が、私を覗き込んでいる。
私は温かみまで感じる銃の感触を確認して、お爺さんの瞳から鈍色の銃に目を落とした。
お爺さんの銃職人としての真面目さ、一途さが伝わってくるような品。
そこから生み出されたこの銃の性能は、恐らく超一級。
そして――元々この銃は人を撃つものじゃない、競技で技を競ったりするものなんだ。
私が使うとMoBを撃つためになるけど。
「最高傑作を使うのが、わ・・・私でいいんでしょうか? それに、私が使うと競技で使いませんし、MoBを撃つ事になりますが」
「うむ。数奇な運命じゃな、儂の最高傑作がその様に使われるのもまた心躍る――」
私が、鈍色の銃を見つめていると、おじいさんがモノクルを外す気配がした。
「――アンタの力にしてくれ。そうして儂らや、儂らの大切なモノを護ってくれ。――特別権限のストライダーさん」
私が顔を挙げると、お爺さんの双眸が
私は、この銃はお爺さんたちの世界を守ることだけに使うと決意して、お爺さんに頷く。
「―――微力ですが」
私の自信の無さ気な返事に、しかしお爺さんは満足気に頷いた。
私がケースに銃を入れると、お爺さんはカバンを閉じて私に渡してくれた。
「そいつは我儘な一面も有るからな、メンテナンスを怠るとすぐに機嫌を損ねる。使用した後は掃除してやってくれ。やり方は分かるか?」
「あ、いえ・・・・詳しくは・・・」
「そうか、ならば教えておこう。それから、たまに儂のところへ持って来くるんじゃ。儂が直接メンテナンスをしよう。儂の名はロイトと言う」
「ロイトさん、助かります! ありがとうございます! 私はスウって言います――本名は涼姫って言います。でも、こっちは秘密で」
「そうか、ならスウ嬢ちゃんと呼ばせてもらおう」
「私もスウさんって呼びますね」
「ありがとうございます――!」
こうして私は、とんでもない銃を譲って貰えることになったのだった。
「――あの、ニューゲームは頂きますが、最近ロイトさんの銃が売れてないみたい? ってお姉さんが心配してるんで、整備用具とかを買わせて下さい」
ロイトさんが、ちょっと出たお腹を抱えて笑う。
「はっはっは、本当にいい子じゃな。――そうじゃな頼む」
すると、リーラさんが私の右手を握ってきた。
「スウさんありがとう」
私は左手で頭をかく。
「いえ、本当にありがたいんで」
「そうだ、じゃあお祖父ちゃん。スウさんがさっきホームセンターで一杯銃を買ったんでそれを整備してあげてよ」
「ほほう、あんな店で買いおったのか。いいじゃろう、儂がそれなりの品にしてやろう」
「え、本当ですか?! 助かります!! じゃあ、それもお願いします、お代は支払いますので!」
この店は、競技用を作っているということで、私がホームセンターで買ったような銃は無いんだけど、工業品でもこのロイトさんが整備してくれたら生まれ変わりそう。
「あ、幾つか両手持ちで使いたいのが有りまして」
「その細腕でか?」
「私、〖超怪力〗っていうスキルがあるんです」
「ほっほう! ――存外コイツは面白そうな仕事じゃ。お主、ちょっと持っているスキルを全部教えるんじゃ。それに合わせた調整をしてやろう」
「有難うございます! あと、ニューゲームをピストル・カービンに出来たりしますか? カービンにも出来たら――いろんな局面で使えたら、ますます頼り甲斐があって助かるんですが」
ピストル・カービンっていうのは、ピストルにアタッチメントとかを付けてカービン化したものを言うんだ。
カービンっていうのは一言で言うと、短めのライフルのこと。
ピストル・カービンの見た目は、現代のサブマシンガンみたいな見た目になると思う。
ピストルをカービン化する利点は、銃身を伸ばすことで弾丸の初速と命中率が上がること。
あとは伸びた銃身の上に大きな照準器とかを付けても安定する。
マガジンを大型化(拡張マガジンに)して弾丸を増やしても安定する。
ストックで反動を抑えられる。重みでも抑えられる。
デメリットは大型化するくらい。
でもアタッチメントを外せば、ピストルに戻せるし。
こんなに頼りになりそうな拳銃なら、あらゆる局面で使いたい。
(合体メカみたいでカッコイイし、とか思ってないよ?)
「ほう、詳しいな――なるほど、そんな運用は考えておらんかったが。――確かにMoBと戦うなら必要じゃろうな。よし、とびきりのストックと銃身をつくってやろう。――どうせなら、連射機構も付けてやる。とびきりの一品を作ってやろう。――弾倉も普通の倍、50発くらいがいいか。大型化したマガジンも必須じゃな」
「え、連射機能もつけられるんですか!?」
「連射にすること自体は、簡単じゃからな」
「あ、有難うございます! じゃあ反動は直線で肩に当たる感じで、ストックは――」
「うむ、要望をどんどん言ってくれ。スウ嬢ちゃんの要望をすべて盛り込み、素早くワンタッチで切り替えられるように設計図を引いてやる」
「本当ですか! ありがとうございます!」
「こちらが礼を言いたいくらいじゃ。腕が、鳴る鳴る! ――なんちゅう楽しい仕事なんじゃ。嬢ちゃん――儂のような人間は、お主のように力を持つ人間に合わせて、作るのが本当に楽しいのじゃよ!」
お腹を叩きながら、背中をそらして笑うロイトさん。
するとリーラさんも笑う。
「久々にそんな楽しそうなお祖父ちゃんの顔、見たよ」
「カッカッカ! リーラめ、本当にいい娘を連れてきてくれたわい。祖父ちゃん孝行なやつじゃ」
こうして私は、楽しそうにしているロイトさんに、ワクワクしながら買った銃を預けるのだった。
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