第15話 袴のアリス1

◆◇◆◇◆




 八街 アリスは湘南モノレールに乗っていた。通称〝ジェットコースター〟と呼ばれる乗り物に。


 アリスは高所恐怖症である、――だから湘南モノレールは、アリスの天敵だ。


「う――うう・・・」


 アリスが顔色悪く座席の手すりを握りしめながらも、この天敵に挑戦しているのには、二つの理由がある。


 一つはアリスがバーサスフレームで地上を移動すると、高所恐怖症が発動するのを克服したいという理由。


 もう一つは、


「あ・・・あれ!? や、八街さん!?」


 いつものようにキョドキョドしながら現れた、尊敬する人見知り、鈴咲 涼姫――スウに会うためだ。


「お――おは・・・ようございます―――!」


 アリスの表情が、震えながらも僅かに輝く。


「や、八街さん。モノレールに乗って、大丈夫!?」

「はい、スウさんの顔を見たらマシになりました」


 アリスは思った「なんだかこの人なら、自分が高所から落下しても助けてくれそうな安心感がある」と。


 アリスは隣に座ってくれたスウのブレザーの裾を握ると、安堵の息を吐いた。


「――はあ。ちょっと落ち着きました」

「よ、良かった。八街さん、ジ――ジジジ、ジュース飲む? ・・・・あ、乗り物酔いじゃな――」

「貰えますか?」

「え、あうん」


 涼姫がアリスにジュースを渡して来たので、アリスはボトルを捻って開けると、桜色の唇を当てて中身を喉に流し込んだ。


 爽やかな炭酸が、気分を楽にしてくれる。

 すると、涼姫が何かに気づいたように跳ねる。


「あっ、しまっ、ダめ! ・・・それ、飲みか――すずさ菌」


 アリスは、相変わらず自分に自信の無さそうなスウに優しい笑顔を向けて「元気が出ました」とボトルを返す。


 涼姫は、変な顔をしながらもボトルを受け取った。


 そうして、また何かに気づいたようにして、返ってきたボトルの飲み口をジっと見詰めて何やらブツブツいっている。


〔ほ、――もの――八街じ〕


 アリスは、スウのいつもの奇行に苦笑い。

 そして目的を思い出す。


「あ、スウさん」

「え、なにっ」


 ボトルの口を舐めようと小さく舌を突き出していた涼姫が、慌ててボトルの蓋を絞めて隠す。


「切り抜き観ました?」

「切り抜き?」

「配信のハイライトを編集して、短い要約動画にしてくれている方の動画って感じです」

「あー! たまに見る!」

「スウさんの切り抜きも、いっぱい上がってましたよ」

「ほ、ほんとに!?」

「ほんとです!」

「ああいうのって、配信だと冗長な部分があるから、動画の様に面白さをギュッと詰め込んでくれるのが嬉しいんだよね。そしたら切り抜き見た人で、興味を持った人が配信見に来てくれたりするんだよね?」

「そんな感じですねえ」

「有り難いなあ―――」


 涼姫はゆっくりと、モノレールの天井を見上げた。


「リアルで観られるのは苦手なのに、配信を観られるのは好きなんですね」

「う・・・うん・・・・、なんでだろうね、多分良くない理由なんだと思う」

「駄目ですよ、良くない理由なんて探せば幾らでも出て来るんですから」

「あ、ありがと」

「たまには良いとこも探して自分を甘やかすのが、楽に生きるコツの一つです」

「――八街さんって、すごいなあ」

「凄くないですよ・・・・いつだって不安でいっぱいです。――そう、それなんですよ。明後日の日曜日、剣道の大会があるんです」


 涼姫が驚いたあと、拳を握って応援してくる。


「まだ入学したばっかなのに、もう大会あるの!? 大変じゃん・・・・頑張ってね!!」

「はい、関東大会ですが。それで、お願いがあるんですよ」

「――へ? 私にお願い? え・・・私、剣道とか全然分からないよ!? スパーリングの相手とかできないよ!!」

「スパーリングって、ボクシングじゃないんですから、」


 アリスは微笑んで言葉を続ける。


「応援に来てくれませんか? スウさんが見ててくれたら、すっごく心強いので」

「わ――私が?」

「はい! お願いします!!」


 アリスが涼姫の手を握って、目を見つめて頼んでくる。


 外に出るのが苦手な涼姫。しかも大会会場には沢山人がいるだろう。それも苦手な同年代の学生たちが。


 渋る涼姫に、アリスは何度か「お願いします」と繰り返す。熱意に押された涼姫は「う、うん」と首を縦に振るのだった。


 喜んだアリスに、涼姫は尋ねる。「そういえば、イギリス人なのにどうして剣道を始めたの?」と。

 するとアリスは、すこし遠い目をした。

 そうして呟いた。


「スウさん、ちょっとだけ身の上話をしていいですか?」


 涼姫は、アリスのなにか、〝ここではない場所を見つめる表情〟に気づいて静かに頷いた。


「―――うん」

「わたしはイングランド人の父と、スコットランド人の母の間に生まれました。わたしを生んでくれた母は幼い頃に亡くなり、父が再婚した日本人の母に育てられました」


 涼姫はこの事を知らなかった。八街 アリスはハーフという噂だったけど、実際はイギリス人同士の子供だったらしい。


「祖父は昔、ちょっと日本人とゴタゴタがあったらしく――なんだか親友だった日本人に裏切られたとか・・・・」

「・・・そうなの」

「それで日本が嫌いなんです――で、父は今の母と結婚するために家を捨て、母と日本に駆け落ちしました。そうして婿に入り八街の姓になったという感じです」

「・・・・そうだったんだ・・・・」


 心配そうな涼姫の表情に、アリスは心配を慌てて否定する。


「あ、大変とかそんな事はないですよ。わたし自身は、毎日楽しいですから」

「やっぱり、八街さんて強い」

「そんな事はないですけど。でも毎日楽しいだけじゃ駄目なんです。お祖父ちゃんに今の母を認めて貰いたいんです」

「それは、そうだよね」

「だから、お義母かあさんが育てたわたしを認めさせたいんです。そのため色んな事を頑張ってるんですが、――例えば日本文化で育った私を通じて、日本の素晴らしさを知ってもらえれば―――とか。お義母さんも剣道をやっていたので」


 アリスの意思を訊いて涼姫は納得して、強く頷いた。


「それで剣道なんだね・・・」

「はい、わたしにも向いていたみたいなんで」

「軽い気持ちで・・・・『なんで剣道やってるの』とか訊いてごめん――でも、うん――頑張ってね―――本当に」

「だから、スウさんに応援に来てほしいんです」

「――わ、わかった! 私で良かったら―――絶対に応援に行くよ!」

「お願いします!」




 関東高等剣道大会 神奈川県予選


 女子、予選決勝


「礼」


 審判の言葉で、決勝に残った2名の女性剣士が、互いに頭を下げる。


 八街 アリスは、頭を下げながら自分が研ぎ澄まされて行くのを感じていた。


 刃こぼれのようだった心の乱れが、研がれる、鋭く―――どこまでも鋭く。


 向かい合う相手は、立花 みずき。

 他県から来た、去年の「全国中等剣道大会」優勝者。


 立花 みずきは、不思議な胴を得意とするという噂。


 八街 アリス。立花 みずき。両者は、腰に差していた竹刀を〝抜刀〟。

 アリスは今まで積み重ねてきたものを、竹の太刀に込める。


 互いに取り合う蹲踞の姿勢――戦闘態勢。


 燃え上がっていく、アリスの闘志。


(勝つ)


 スウさんが見てくれてる。――そして決勝まで来た。

 ならもう〝勝って優勝〟しかない。


 心、技、体、十全だ。

 全力を出すのに、なんの危惧もない。


 アリスは立ち上がると同時に気合を込めるように、目的を声にする。


「優勝する!」


 アリスが確信するように言うと、同時。


「始め!」


 刹那、二羽の猛禽が飛びかかるように踏み込み、互いの竹刀の先を交差させる。


「ヤァァァァァァァァ!!」

「タァァァァァァァァ!!」


 アリス、立花 みずきと気合の声を張り上げた。


 アリスはこの戦いを、何度もシミュレートしてきた。


 立花 みずきの試合の録画を何度も何度も見て、研究してきた。


 立花 みずきは確かに動きにキレがある、意表を突く技がある。

 だけど彼女には体躯たいくがない。

 テクニックは凄いけど低身長で筋肉も少ない。

 太刀筋が別段べつだん早いわけでもない、普通の速度だ。

 

 ――西洋人の血を引く自分には追いつけない。


 それにアリスには、神から授かった才能ギフトがある。


 アリスは昔から、他人の感情に敏感だった。


 女子にありがちな、空気を読む力と言っても良い。


 アリスのギフトも始めは「他人の感情が普通の人より分かる」そんな程度だった。

 だけどある時、宇宙に出て研ぎ澄まされ。VRを通したロボット操縦で剣を使い、命を掛けるような戦いの中で更に研ぎ澄まされ。

 いつしか、他人の意識〝している場所〟、〝していない場所〟が見えるようになっていた。


 アリスの目には他人が意識している場所が光って視え、意識していない場所がかげって見えるのだ。


 アリスは、なぜこんな事が起こるのかは、脳が勝手に「相手の視線や身体の僅かな筋肉の動きや緊張、体温、呼吸、心拍」など様々な〝情報を、処理して映像化〟しているのだと思っている。

 こんな力のせいで、アリスはフェイレジェでもトップランカーと呼ばれるようになっていた。


 朱色の胴に白道着、藍袴のアリス。

 藍色の胴に白道着、白袴の立花。


 互いに二度三度、竹刀の先を打ち合わせる。


 二人とも相手の竹刀を弾く事で、隙を作り出そうとしている。


 相手の竹刀を制圧したりフェイントを入れて、相手が動けない間に打突を入れる。

 これが剣道の常套手段。


 やがて四度目の竹刀のぶつけ合いで、アリスの竹刀が大きく弾かれた。

 けれど、これはアリスの誘い。わざと弾かれたフリをした。


 すかさずアリスは才能ギフトを使って、立花 みずきを見る。

 立花が、僅かに竹刀を寝かした。


(―――視えたッ、陰りが!!)


 胴を狙っているであろう、立花 みずきの〝頭上の光〟が、消えた。

 今、立花 みずきは、頭上を意識していない。


(貰ったッ!!)


「面ェ――」

「胴」


 水滴が水面を打ったような、静かな立花の声。だが彼女の強烈な踏み込みがあった――体育館全体を揺るがすような。

 竹刀と防具が発する、恐るべき炸裂音が響いた。


 アリスは目を見開く。


「え」


 彼女は、鋭く薙ぎ払われたのだ。


 薄く、〝廻る竹刀が直線に動く〟という手品のような一撃で。


(――――打たれた?)


 数瞬の間があった。

 誰も反応できなかった。

 音が消えていた。


「い・・・一本ッ!!」


 赤い旗が挙がる。

 旗が〝八街 アリスは両断された〟、という事を示した。


 アリスは、自分の竹刀を見て愕然としていた。


 アリスの脳は、今の事態を処理できなかった。

 思考も、言葉も失っていた。


 立花 みずきは強いと訊いていた。本当に強い、化け物のように強いと訊いていた。

 だからシミュレートをしてきた。

 戦い方も、その得意技〝鋭い胴〟も十分に対策してきた筈だった。

 胴対策に、アリスが得意とする上段の構えも封じた。

 だけど、こんな人間離れした強さは想像していなかった。

 立花 みずきはアリスの想像を超えた強さだった。

 〝想定のシミュレートを超えられた〟、だから対策は不十分だった。


 観客席では八街 アリスと同じ爽波そうは高校剣道部の男子部員が、女子決勝の試合を見て騒然としていた。


「い、今のはなんだよ!?」


 男子の部の試合は既に終り、今は全員が観客席にいる。

 そこには早々と優勝を決めた、爽波高校・剣道部主将、塚原つかはらもいた。


 塚原が口元に手を当て静かに2人の女剣士を見つめる中、男子部員たちの騒ぎは収まらない。


 剣道部・副主将の藤堂が、部で一番の体格から出る大きな声でいう。


「視えたかお前!? 立花 みずきの太刀筋!」


 一年生部員が、震えながら副主将に答える。


「―――み、視えなかったです!」


 剣道部・副主将の藤堂が、部で一番の体格から出る大きな声――だが、慄くようにマネージャーに尋ねる。


「俺達、アリスと一緒に立花の試合のビデオ見たけど、太刀筋が視えてたよな!?」

「はい、余裕で視えてました・・・普通の速さ――というか、男子の俺等からしたら遅いくらいでしたよね!?」

「そうだよ! 立花みずきの太刀筋は、女子の普通の速さだった!!」


 副部長の言葉は、一見は立花 みずきが大したことないと言っているようにも聞こえるが、事実は逆――恐ろしい内容だった。

 なぜなら誰もが眼で捉えられなかった動きが、物理的には遅い攻撃だったと言うのだから。


 話している全員が、聳動しょうどうしている。


「どうしてあんな普通の速度が、誰の眼にも視えなかったんだ!?」

「おかしい、なんなんだあれは」

「手品なんすか!?」


 眉一つ動かさず、試合場の二人を観ていた主将の塚原が静かに呟いた。


「まずいな、立花 みずき――強すぎる」

「・・・・塚原―――お前がそう云うのか!?」


 副主将藤堂が、主将塚原の言葉に対し驚いた。

 いや、他の男子部員もだ。


 思わず不安になった副主将が、半笑いで塚原に尋ねる。


「つ、塚原。まさかお前なら負けないよな・・・・?」


 塚原は、ストレート勝ちで優勝を決めた。

 彼は、誰にも一本すら取らせなかった。


 藤堂の半笑いの声に、塚原は、


「そうだな、〝十回やって七回は〟俺が勝つだろうな」

「―――!?」


 藤堂の身体に、恐怖と共に寒気が走った。

 そして試合中に大声を出すのはご法度なのに、叫びそうになる。


 慌てて堪えて、しかしそれでも大きめの声で尋ねていた。


「どういう意味だよ〝三回〟は、お前が負けるって云うのか塚原!? ―――相手は女子だぞ!」


 塚原は何も答えず、抜き身の刀を突きつけられているような表情で、2人の女剣士を凝視して再開を待っていた。




 観客席の閑散とした場所で、一人の少女が祈るように手を組んでいた。

 鈴咲 涼姫である。


(決勝まで来たのに――八街さん、負けないで―――!!)


 大勢の前で声を出すのが苦手な彼女は、声が出せない――だから心でひたすらに強く願うのだった。




 八街 アリスは乱れる呼吸を制御できないでいた。


(何を――されたか―――分からなかった)


 完全に隙を突いた。こちらが先に動いた。

 多分、動くスピードも自分のほうが疾い。


 立花さんが間に合うタイミングなんかじゃ、なかった。


 なのに、わたしが先に胴を薙ぎ払われた。


(意味がわからない!!)


 この試合場にいる誰にも理解できない事だったが、これは立花 みずきという剣士が剣術家の家系に生まれた事に起因する。


 例えば彼女の家には、相手に迫るように躱すという技がある。

 他にも最短の直線より速い、最速の曲線の動き。

 曲線を直線に変換する。など、先程の一撃には無数の理合いがあった。


 立花家の歴代の剣術家達が、300年掛けて考え抜いてきた技の集大成がみずきの身体には込められている。だから誰にも分からないのだ。


 立花 みずきという少女は正に、ことわりが凝縮され結晶となった宝石にたがわない――その純度があまりにも高く、誰にも理解できない高みに至ってしまっている。


 だから、こう言える――たとえ八街 アリスがこれから10年、20年と剣道を学んだとしても、立花家が積み上げてきた300年の術理の殆どを理解できないだろう。


 アリスは震えが収まらなかった。

 あまりの恐怖に竦みあがっていた。

 けれど、アリスも負ける訳にはいかないのだ。


 祖父に日本を認めてもらうためにも、日本人であるお義母かあさんを認めてもらうためにも。――お義母さんに育てられた自分を認めさせたい。


 それに後ろの客席で応援してくれている筈の憧れの人、鈴咲 涼姫に情けない姿は見せられない。

 だからアリスは、なんとか立花 みずきの技の正体をつかもうと頭を働かせる。

 けれどアリスが考えている間にも、無情に時間は進み続ける。


 立花が、礼の姿勢を見せた。


 「ハッ」として、アリスも礼の姿勢を取る。


「始め!」


 アリスは、もう一本だって取られてはいけない。

 2本先取されたら、試合終了だ。


「ッ・・・・ヤァァ・・・ヤァァァァァァァァ!!」


 アリスは震え上がる心に、闘志を入れようとした。

 吐く空気で、躰を震わせる。

 すると立花から、


「タアアアアアアアアアアアア!!」


 猛烈な気炎が放たれた。なんとか闘志を燃やそうとしていたアリスの心を砕くような気合の声。


「―――っひ」


 思わず後方にたたらを踏んだアリスに、獲物に急降下してくる鷹のような一撃が放たれる。


 及び腰の八街 アリスは逃げるように、大きく下がった。


(勝つ、勝たなきゃ、お義母さんを―――!)


 迫る立花、逃げる八街。

 ふと、アリスは自分が場外を背にしている事に気づいた。

 半歩でも下がれば、反則負けだ。


 急いで円運動で逃げる。


(勝たなきゃ、勝たなきゃ!!)


「ヤァァァァァァァァァァァァ!!」


 アリスは腹の底からの声で、全身を震わせて気合で満たす。

 そして彼女は面を通じて、立花 みずきを見た。


「え―――っ」


 すると面の向こうに視えた立花はまるで、巨大な壁だった。


「なに・・・・これ」


 観たこともないような巨大さ――――途方もなく。

 雲の上にまで届くような、巨大な壁。


 怯えるアリスに、立花 みずきが静かに尋ねてくる。


「こないの?」

「―――っ」


 アリスは硬い唾を飲み込む。


 行かないのではない、行けないのだ。

 行けば何をされるかわからない、理解できない化け物。

 どんな技を使ってくるか、想像もつかない。

 埒外らちがいの化け物、立花 みずき。


 「人は理解できない物を恐れるように出来ている」――誰かから訊いた言葉が、脳裏によぎった。


「八街 アリス、貴女は後の先を取る剣士じゃない。決勝に来るまで、攻めて攻めて勝ちをもぎ取る試合しかしてこなかった。先の先を取る剣士。なのに来ないなら、もう試合は終わったの?」


 「ここまでなの?」そう尋ねる眼が、八街 アリスを眺めている。


 侮蔑も嘲笑もない、ただの諦め。

 〝諦められている〟そんな屈辱を感じても、なおアリスは前に踏み込めなかった。


 立花 みずきが、ふっと目を瞑った。


「じゃあ、もう戦っても意味はない。この試合を終わらせる」


 言葉を発した途端、立花みずきが

 さっきまで雲をつくほど巨大に視えた立花が――小さく、小さく、小さく小さく小さく…――


(消えた!!)

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