第14話 一位の男に噂されます
◆◇◆◇◆
【スウたんは】人外(天使)【俺の嫁】
最先端アースウノイド:
見た? スウの初配信。
最先端アースウノイド:
終始目が離せなかったわ
・
・
・
可愛くて。
最先端アースウノイド:
あと危なっかしくてな。
最先端アースウノイド:
あの俺でも落とせそうな、チョロそうな感じが良いんだよな。
おっと、見どころ満載だったよな。
最先端アースウノイド:
閃光のアリスと友達だったとか、マジびびった。
最先端アースウノイド:
トップクランの
最先端アースウノイド:
流石にあの場に、星の騎士団の主戦力はいなかっただろ
アリスがいただろ、とか言うのは無しな。
最先端アースウノイド:
とにかく弾避け、弾当て、操縦どれも超人級だったよな。
最先端アースウノイド:
才能も有るんだろうけど、努力もすごいもんな。
最先端アースウノイド:
最後の雄叫び、凄かったな。
気弱な女の子とは思えない、物凄い叫びだった。
最先端アースウノイド:
なんであんなに必死だったんだ? 死なないんだろ?
最先端アースウノイド:
死ななくても、灼かれたら、死ぬほど痛いだろ。
生き返った時、死んだ時の痛さ憶えてるらしいし。
ピンチだった子は、中学生くらいだったし。
最先端アースウノイド:
いや、フェイレジェの復活方法は危険だって話もある。
運営が公開してる方法がどうもなあ・・・怖いんだよなあ。
最先端アースウノイド:
スウたん優しい。
普段オドオドキョドキョドしてるのに、他人の事になると全部吹っ切れるとか。
最先端アースウノイド:
女の子があんな低い雄叫びを出したら、普段ならドン引きするけど、寧ろ好きになったわ。
暴走エ◯ァかと思ったwww
最先端アースウノイド:
なのに操縦桿の、例えもわからないほど純情なんだよな。
最先端アースウノイド:
逆に閃光のアリスは、操縦桿の意味を分かってたよなアレwワロワロワロwww
最先端アースウノイド:
閃光のアリスはなんていうか、普段から下品な話とか聞き慣れてる感あったわ。
全く動じてなくて。
最先端アースウノイド:
大人っぽい感じだったよな。
あと、あれは絶対陽キャだぞ。
最先端アースウノイド:
オタクに優しいギャルかな?
最先端アースウノイド:
そんなツチノコより存在があやしいUMAに、期待するな。
最先端アースウノイド:
ツチノコってUMAなのか。
最先端アースウノイド:
じゃあ、お兄ちゃんが大好きな妹に期待する。
妹いないけど。
最先端アースウノイド:
スウには妹できてたなwww
最先端アースウノイド:
抱きつかれてるときのスウの顔ワロw
最先端アースウノイド:
妹は、都市伝説。
オタクに優しいギャルは、UMA
恋人は、サンタクロース
最先端アースウノイド:
恋人までUMAに。
最先端アースウノイド:
サンタさんをUMAにするな!
いるもん、サンタさんいるもん!
あたし見たもん!
最先端アースウノイド:
恋人といえば、スウたんより先に発狂デスロをクリアした配信者。
最先端アースウノイド:
あー、あっちも爆伸びらしいな。スウのお陰なんだが。
最先端アースウノイド:
そうそう、名前なんだっけアカキバだっけ?
昨日の配信でスウちゃんの事を「2番煎じ」とか「攻略法のコピペお疲れ様」とか批判してたけど、アカキバの配信がバズったのって、スウから視聴者がきたからって事分かってないんだよな。
だいたい、数日で真似できる攻略じゃないだろ〈発狂〉デスロって。
しかも、最後の方弾幕がランダムなんだろ?
最先端アースウノイド:
〈錯アト〉連続撃破でスウの存在が発見される
↓
UMAがアップしたらしき動画が発掘される
↓
生配信でUMAがスウたんとかいう人外(天使)と同一人物だったという衝撃的展開、しかも閃光のアリスと知り合い
↓
興奮した視聴者が、同じ〈発狂〉デスロをクリアした人間が居ると押しかける。
スウたんが伸びるまでアイツの動画も、再生数2万位だったんだろ?
それが、今や50万。
スウたんは200万に届こうかって感じだけど。
最先端アースウノイド:
そりゃ旧世代の量産スワローテイルでクリアするのと、特機スワローテイルでクリアするのは明らかに難易度が別だもん。
スウさんは最上級難易度より、さらに最最上級難易度でクリアしたようなもんだからな。
凄い難易度のクエストをクリアしたって誇るなら、スウさんの方が上だろ。
最先端アースウノイド:
実戦でも、明らかにスウちゃんの方がテクニック上だしな。
最先端アースウノイド:
つかアカキバなんか、スウの足元にも及ばない。比べるのが失礼。
最先端アースウノイド:
で、なんで、恋人の話題でアカキバなの?
最先端アースウノイド:
アカキバってヤツ、前々から女配信者に迷惑掛けたりしてて。
今回のバズでチャンネル伸びたから、益々調子に乗って女配信者に絡んでるんだよ。
女性配信者とか集めたアカキバ軍団とか言うのまで作り出した。
あちこちのユニコーンから阿鼻叫喚。
ヴァンパイア:
スウも被害に合わなきゃいいけど。
最先端アースウノイド:
でもアカキバってヤツ、スウが女の子だって分かってから明らかに態度変わったよな。
猛烈に批判してたのに急に「コラボして実力を確かめて、言い分を聴こう」とか言い出して。
最先端アースウノイド:
スウさんはお前に言い訳する必要など、何処にもないって言うのにな。
最先端アースウノイド:
アカキバは昨日の配信の最後の方で「ぜひ
「優秀なら、サブパイロットに欲しい」とかも。
頭
最先端アースウノイド:
俺、エア・マーベリック3やってたんだけど、スウに1on挑むのは無謀すぎワロワロワロwww
多分スウって、エアマにいたスーってプレイヤーと同一人物なんだよな。
もしスウがスーだとしたら、時系列的に当時中学生のスーにトッププレイヤーが何人泣かされたかワロワロワロwww
やるなら、見ものだわ。
最先端アースウノイド:
じゃあ俺、アカキバの勝利に100兆旧ジンバブエドルと同じだけの日本円を掛けるわ。
最先端アースウノイド:
まさかの0.3円ワロワロワロwww
最先端アースウノイド:
そんなに低く見積もられるとか、アカキバのオッズ低すぎw
最先端アースウノイド:
なんで特機でクリアしちゃいけないんだよ。
明らかにアカキバさんの方が上。
スウとか、まぐれ操縦でバズっただけだろ。
アカキバさんが先に伸びてたから、スウも延びたに決まってる。
最先端アースウノイド:
お前、本人か?
◆◇Sight:3人称◇◆
「よう、ナンバーワンプレイヤー」
惑星ハイレーンから、遥か13000光年離れた場所にある惑星オルセデウス。
銀河連合の5つの主星の一つである。
地球出身であるプレイヤー達は5つの主星のうち、まだこのオルセデウスとハイレーンしか知らない。
オルセデウスの宙域に浮かぶ、米軍が作った宇宙ステーション。
そこにトッププレイヤー達の中でも、真のトップ。
累計勲功ポイント1位の〝少年〟に、合衆国宇宙軍中尉アレックス・バーミンガムはからかうように話しかけた。
話しかけられた1位――マイルズ・ユーモアは遊んでいた日本製のゲーム機から顔を挙げ、メガネを掛けたクマだらけの眼でアレックスを一瞥した後、ゲームの画面に戻った。
「相変わらず連れないねえ」
笑いながらアレックスは、マイルズの隣に座り込む。
勢いでソファが波打ち、マイルズの体とゲーム画面を揺らす。
しかしマイルズは全く気にした様子もなく、画面内の敵を撃ち落とし続ける。
――3Dシューティングゲームだ。
今マイルズが戦っているのは、このゲームのラスボスだった――この時を狙ってアレックスはわざとマイルズの邪魔をしたのだ。
だが、あっさりマイルズはクリアする。
「こんなに揺れても、正確無比なのかよ」
「揺れたからって何も変わらない」
「はいはい、天才様はちがいますなあ」
この少年は、大統領の推薦で軍学校を飛び級で卒業した、まさしく天才なのだ。
言いながら、アレックスはマイルズの頭をかいぐりかいぐり撫で回す。
マイルズはアレックスの手を面倒くさそうに払い、画面を見たまま別のソファへ席を移す。
「ボクに付き纏うお前のことは嫌いだ。何回言えば良い?」
マイルズは、ゲーム画面から目を離さないままアレックスに文句を言う。
そんなマイルズに、不敵な笑いを浮かべてアレックスが返す。
「そうか、そんな俺を嫌いなお前が興味を持ちそうなプレイヤーの情報を持ってきたんだけどな」
「ボクがプレイヤーに興味? ――冗談。ボクには誰も影響を与えられない。実力が小さすぎて、ボクの波にただ飲まれるだけ」
「へえ、コイツを見てもそう言えるのか?」
言いながらアレックスは宙空にウィンドウを開き、あるライブ配信のアーカイブを映して部屋の中央に投げた。
マイルズは気にせず、ゲーム画面に視線を向け続けていた。
ウィンドウに映された映像は、ひたすら何かの戦闘場面を流し続けている。
そんな映像を見ながらアレックスは笑う。
「おー、すげえ。〈励起翼〉でグランド・ハーピィの母船を真っ二つ」
言葉に、マイルズは思わず上目使いに画面を見た。
最初はあまり興味なさそうだったが、目覚めるように徐々に目を開いていく。
――――そして、叫んだ。
「なん、だ―――コイツ!!」
勲功ポイント最高のトッププレイヤーは、叫んで硬直したまま動かない。
「やっぱ、お前なら〝コレ〟の凄さが分かるんだな」
「ふざけるな、ふざけるな! 宇宙で〈励起翼〉だと――誰なんだこいつは!!」
「日本の女子高生らしいぞ」
「日本!? 平和ボケの、しかもハイスクールガール!?」
生配信らしい画面では確かに、なにやらフェティッシュな格好をした、瞳に光のない少女が操縦している。
どうやらこの少女は集中すると、眼から光が消えるようだ。
彼は、さらなる異常に気づく。
「こ、こいつの3択ブースト・・・・イカれてやがる。なんだこの短いブースト時間は・・・」
「ん? ブースト? ――」
だが、アレックスは気づかなかったようだ。アレックスは驚愕しているマイルズに尋ねる。
「――どうだ、ナンバーワンプレイヤー。お前はこのハイスクールガールに勝てるか?」
「―――勝てるさ、コイツはスキルやステータスの割り振りが悪い」
アレックスは笑う。
「そりゃぁそうだろう。この少女はスキル取得もステータス上昇も、まったく行っていない」
「!?」
アレックスを振り向いて、しばらく凝視していたマイルズ。
徐々に何かを言いたそうに、口を「パクパク」と陸にあげられた魚のように動かした。
マイルズは「嘘だろう」と言いたかったが、言わない。嘘なら、アレックスがこんなライブ配信を持ってくるはずが無いからだ。
そうして自分が「嘘だろう」などと尋ねたら、コイツはますます喜ぶ。尋ねたいが尋ねないのが得策だった。
「嘘じゃないぜ?」
見透かしたような物言いに、顔を真っ赤にしたマイルズは立ち上がりゲーム機の電源を切って机に置く。
怒っていても、マイルズにとってゲーム機は宝物だから粗末に扱ったりしない。
他の物なら、ソファに叩きつけていただろう。
マイルズはやおらパーカーとズボンを脱ぐと、ショート丈のタンクトップとスパッツの姿になった。
やがて部屋を出ていく。そんなマイルズの背中に意地悪な声が掛かる。
「おいおい、マイルズどこに行くんだ」
「トレーニングルームだ!」
マイルズの姿が部屋から消えて、しばらくしてアレックスがソファで伸びをしたあと真剣な顔になって呟く。
「いや、マジかよ。マイルズの奴なら『勝てる』って言うと思ってたのに・・・・マジかよ・・・」
「勝てないのかよ・・・」アレックスは、頭を抱えて俯いたのだった。
そんなアレックスに奥から大声が掛かった。
「訓練を手伝えアレックス!」
マイルズがお呼びだった。面倒臭そうにアレックスは返す。
「なんでだよ」
「お前でないと、ボクの相手がつとまらない! 早く来い!」
「俺のこと嫌いじゃないのかよ」と、ぶつくさ言いながらゆっくりと腰を上げて部屋に備え付けの自販機でスポーツドリンクを買って、トレーニングルームに向かうアレックスだった。
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