第58話 国王は優しい!
で、国王ってことはわかるんだけど、このおじさん誰?
「おお、申し遅れたな。私は「カインド=ブラッド」この国、オリエンルの国王だ。」
カインド。
へぇ~。なんか響きがマイルド。
とかいうクソみたいな感想しか出てこない、のはどうかと思う。
いったいどうしたんだ俺の頭!
「君たちには本当に頭が上がらない。改めて礼を言わせてもらいたい。本当にありがとう。まさか息子が悪魔と契約していたなんて。私の観察不行き届きだ。もうしわけない。」
わーい。感謝された。
所化とは真逆だね。よかった。
「そしてクレイト、一つ聞きたいんだが、なぜ君は、国民に対してあんなことをしたんだ。」
そこには、咎めるような意図は含まれておらず、ただ単に気に居なるといった様子だった。
「あっ、えっとその……。」
クレイトはうまく言語化できなさそうだ。
そんな時頼りになるのがこのお方!
「カインド様。クレイト様は国民のことを思ってあんな行動とったのです。」
「国民のため?」
「そうです。クレイト様は
メイさんは胸を張ってそういう。なんなら、誇らしげだ。
いや、あんた誇ってどうすんだよ……。
全部クレイトが考えたことだろ……。
「クレイトが魔力視目者だと?まさか……。」
その言葉はにわかには信じがたいといった表情だ。
「そして、その震源の中心となるのがオリエンルで、次期王子のクレイト様が愛想悪くすれば国民も辟易して、この国から出ていくだろうと考えたのです。」
カインドはこめかみに手を当て、うなる。
「私が、バルメントのことを第一王位継承者に変更したからか。」
カインドのその言葉には自責の念が含まれている。
「いえ、カインド様。あなたは悪くありません。もとはと言えば、全く相談せず、すべて一人で実行しようとしたクレイト様にも落ち度はありますしね。」
痛いところを突かれたのか、クレイトが「ぐぅっ……」とかなんか、声か、鳴き声かよくわかんないような声を上げている。
「ありがとう。メイ少し楽になったよ。」
「そうですか。」
「クレイトも、本当に申し訳なかった。次、何か行動を起こすときは事前に説明してくれ。そして、地震の話だが、この地を捨てて避難しよう。クレイト、どこか良い場所は?」
「それなら……。」
クレイトは言葉を選んでいるようだった。
頭を目を巡らせ、施行をフル回転させる。
まあ、何も知らないのだろう。
仕方ないな。
急に聞かれたのだ。考えてなかったら、何も答えられないよな。
俺も、ブラック労働はよく苦しめられたものだ。
あれ、それ、これで話をしてくるから、何のこと言ってんのかサッパリわかんないのに、『あれどこ?』とか『そこにあったこれは?』とか『それそれ』とか、お前らほんとに日本人?と疑問を抱かずにはいられない。
いやまじで、なのに『あの時言ってたあれは?』とか平気で聞いてくるもんだから、台パン案件だ。
しかも「あれってなんですか?」って聞くと『そんなこともわからないのか!?あれだよ、あれ。』と言われることが分かったので、もうどうしようもない。
「あれ」って単語が出た瞬間。説教を受ける覚悟をしないといけない。
やめてくれ、もう「あれ」も「それ」も「これ」も言わないでくれ!
本当に頭がおかしくなっちまう!
「サルジニルグに来てよ!」
そんな、明るく、突拍子もないこという。
おい、ルナ。お前話し聞いてたか?
カインドさんは明らかにクレイトに聞いていただろ。
もっというタイミング考えろよ……。
「ほう。サルジニルグ……。あの魔王の国の?詳しく話を聞かせてはもらえんか。」
俺の心配に反して、カインドには響いたらしい。
まじか。俺だったらイラっとするけどな。
流石!王様!器が広い!
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