第56話 オリエンルへ行く

 あ~。

 つらい。

 辞めたい。


 失敗ばっかりだ。


 もう心病んじゃう。


 だれか!心の救急車呼んで!


 じゃないと、俺が、俺が……。

 どうにかなっちまう。


 やばい。語彙力が死んでる。

 やめて!俺の語彙力はもうゼロよ!


 もう、俺がどうにかなっちまっているし、デュエルにも負けていると、後ろから人の気配がする。


 なんだ?敵襲か!

 そう思い、勢いよく後ろを振り返ると、ルナがいた。


 なんだあ、ルナか。


 もう敵襲が多すぎて、後ろに人がいると、敵襲かと思ってしまう。


「ねぇクロス。クレイトくんオリエンルに帰るらしいよ。」


 ……。え?


「まじで?」


 俺の問いにルナは神妙な面持ちで返答する。


 いや、まじで?を問いっていうのは間違いか。

 ただ疑問符がついているだけだな。


「うん。おおまじ」


 ルナの返しも、俺に似通ったところがあるような気がする。


 っていうか、クレイト追放されてなかったっけ?


 戻っても大丈夫なの?


「大丈夫だよ。なんならお父さんの直筆の手紙が来たんだって。」


 俺の不安を感じ取ったのか、ルナはそういう。

 ああ、そう。

 ならいいんだけどね。


 ここで、お別れかぁ……。


 なんか寂しいな。


「あ、あと、感傷に浸っているところ悪いけど、クロスも一緒に行くよ?」


 え?まじ?嘘!?

 なんで?なんでなの?

 なんでだろー♪なんでだろー♪


「え?なんで?なんで俺が行かないといけないの?なんで?いや、別にいけどさ。」


「え?なんでってクレイトくんのお父さんが直々にクロスのことを呼び出しているからだよ。」


 え?なに?欲も俺の息子をッ。みたいな感じ?

 俺もしかして、処罰を受けたする?


 え?すげぇ行きたくない。


 でも、ここでいかなかったらもっと嫌なことになりそうだし……。


 しょうがない、行くか。


 重すぎる腰を上げ、オリエンルへ向かう。


 もちろん、向かうといっても、転移テレポートでだ。

 途中までだが。


 そこからは歩き&馬車だ。


 いやー遠い。

 めんどくさい。


 疲れるんだよなあ。

 意外と遠くて、つくのに時間かかるし。


 ちなみに、今回はルナが早めに折れてパミーフクスまで、転移テレポートさせてくれる。


 ルナが嫌い?な。

 忌々しき?パミーフクスだ。


 パミーフクスは悪い国。

 まあ、パミーフクスにはパミーフクスなりの考えがあるからね。


 なんかどっかで、戦争はどっちも自分に正義あると思って戦っている。戦争でたくさん人を殺したものは英雄だが、平和な世で人ひとりを殺せば犯罪者。


 戦争では人を殺さなかったら、悪人だが、平和な世で人を殺さなければ一般人。


 結局は、人の意義なんてものは、その時、その場次第で変わる曖昧なもの。ってのを聞いたことがある。


 ちなみに、今の俺の気分は、他人の名言をあたかも自分が言ったような気分になって、気持ちよくなっている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る