第七章 都会と対話と説得と

第55話 建築完了!

 家の建設を始めてから、はや1週間。

 やっと。やっと。ついに……。


 家が一軒完成した。


 うおおおおお!マジで嬉しい。

 どのぐらい嬉しいかというと、自分の子供が生まれたときと同じぐらい嬉しい。


 まあ、俺結婚したことないし、それ以前に彼女いない歴=年齢の人間だからな。


 学校では孤立していたし、入社してからは外部の人間と接する機会がなかったし、気力もなかった。


 そのまま、お先真っ暗人生の入場チケットを手に入れ、ガイドさんの「それでは!いってらっしゃーいー!」という掛け声もなしに、ブラック企業に入場してしまった。つらい。


 何かの取材で、「人生の一番の汚点は何ですか?」と訊かれたら、ブラック企業に入社したこと。って絶対に応える自信がある。


 まあ、それは銀河のはるか遠くに置いておくとして、家が完成した。


 釘を一切使わない、自然環境に配慮した家だ。


 SDGsを守っていく。

 まあ、ここ異世界だからSDGsもクソもないんだけどね。


 でも、自然環境への配慮は大事!


 一人一人の力は微々だが、塵も積もれば山となる略して「ちりつも」のように、数の力は偉大だ。


 ……なんか授業みたいになってるな。

 いけない。いけない。


 まあ、内心で思ってるだけだから、どうでもいいんだけどね。

 誰にも聞こえないしね。


 なんか、また話がずれている気がする。

 ということで、再びそんなことは銀河のすみに置いてくる。


 塗装はまだなので、というかしない確率の方が高い。

 まあ、塗装はせずとも、ベーゼルが「雨漏れ防止」とか「強度上昇」とか建築用の支援魔法を使って、塗装とか必要じゃない。


 まあ、見た目は「木!」だけど。

 それもまた一興。みたいな感じで、好感的に解釈してくると嬉しい。


 まあ、だって塗装するのって、お金かかるしね。

 仕方ないね。


 少なくとも、建設予定の家の建設がすべて終わってからだね。


 木!な外観に、木!な内装。

 見た目としては、普通の一軒家みたいな感じ。


「これなんですか?」って聞かれたら、木って答えるぐらいには、家より木の方が強い。


 寧ろ、木過ぎて、森なんじゃないかと勘違いするレベル。

 いや、さすがにそれは言い過ぎか。


 でも、そう言っても過言ではないくらいには木だ。


 家みて木だ。って思うのも変な話だけど。


 塗装されていないだけで、家ってこんなにも木なんだなと思う。


 まあ、木造建築だから、当たり前なんだけどね。

 どうしても、ね。


 木って思っちゃうよね。


 そして、やっとの思いで一軒目の家を完成させた。と、思ったら、また二軒目の家の建築がスタートした。


 ちなみに、ルナによると2000軒は作る予定らしい。


 う~ん地獄!


 あれ?もしかして、ここもブラックに染まるのか?

 と、将来への不安を隠しきれない俺だった。

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