第18話 無茶なお願い
「申し遅れました。私は「メイ=サーバント」言います。そして、彼が「クレイト=ブラット」ブラット家の次男です」
ブラット家って王家じゃなかった?
この子、王家の次男なの?
王家って、もっと民に目線を合わせて話すんじゃないの?
口悪っ!!
「匿ってほしいという話なんですが……」
メイさんは歯切れが悪そうに言う。
なにか言いにくいことでもあるのだろうか。
「俺はこの国を出ていく」
……それ、王子が言っていい言葉なのか?
それだったら、歯切れ悪くてしょうがないね。
王子が国を出ていくとかあっていい話なのかってところではあるが。
「すみません。お名前お伺いしても?」
「私はルナ=シャーロット。で、こっちがクロス=シャーロット」
ルナが完結にそう説明する。
でも、あれやりたかったなぁ……「こっちが……。」「クロス=シャーロットです。」って最後自分で自己紹介するやつ。
「あの……。お二人は
「「えっ……」」
俺とルナの言葉が重なる。
ハモるというやつだ。
「違いますよお!別に苗字が同じなだけで……養子がいちばん近いと思います」
「あ、そうですか。すみません気になったもので」
「あ、いいんですよ別に」
……なんだかやり取りがたどたどしい。
まあ、初対面の人と何喋ったらいいかわかんないもんね。
しょうがないね。
✕ ✕ ✕ ✕
「私の
カタカナがいっぱい。
何言ってるかわかんなくなってくるぞぉ。
「私たちを貴方の国に匿ってくれませんか?」
メイさんは「危険も承知の上で」と付け加えた。
というか、匿う?
保護するじゃなくて?
匿うって隠す的な意味合いも含まれているはずだけど……。
誰かから追われてたりするのか?
「うん。わかりました。いいですよ」
ルナはわりと、あっさりとその願いを承諾する。
少々あっさり過ぎませんかねぇ……。
もう少し考えた方がいいと思う。
「本当ですか!」
メイさんは嬉しそうに言う。
ええのう。メイド服はええのう。
と、俺がほっこりしていると……。
「但し、サルジニルグの復興を手伝うことが条件だけどそれでもいい?」
条件付きだった。
……悪かったなルナ。
何も考えずに適当に了承したのかと思ったぜ。
「もちろんです!」
「じゃあ交渉成立だね!『
ルナがそう唱えると、足元に薄い紫色の魔法陣が浮かび上がり、目の前の景色が変わる。
あれ?
ここ、オリエンルには旅行しに来たはずだよな。
なんで、元居た場所に帰ろうとしてるんだ?
旅行は!どうなったんだよ!
俺の抵抗虚しく
いや、抵抗してないか。
急に視界が開ける。
帰ってきちゃいましたか……。
なんて考えていると、視界の違和感に気付く。
そこは見慣れたサルジニルグの荒廃した景色ではなく、緑豊かな自然、時折聞こえる鳥の鳴き声。
そう、そこは見るからに山だった。
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