第16話 馬車に揺られ

 パミーフクス都心、馬車乗合所に到着する。


 俺たちは「10:45発オリエンル行き」の馬車に乗る。


 そう、俺は馬車に乗るのだ。

 馬車って格好いいよな。


 馬車の前に乗って、馬をペシペシしたい。

 あれ、楽しそうだよな。


 この世界と俺の世界の時間の概念は同じらしい。

 俺の世界の人々がこの世界の人々に時間の概念を教えたから、時間は同じらしい。


 都合のいい世界でよかった。


 これで時間の表現がちがったりしたら、覚えるのが面倒くさすぎて、何もできなかったかもしれない。


 いや、やばそうだったら流石に死ぬ気で勉強して覚える。

 やばそうだったら。だがな。


 ルナが当選した旅行券は宿付きのものらしく、予約がいらない、らしい。


 楽だぁ~。


 本当にチケットに何かいてるかわかんない。

 俺はこの世界の文字が読めない、勉強するしかないそうだ。


 ルナいわく、文字を一瞬で習得させるのは難しいらしいので、ちょこちょこ魔法で習得させていくらしい。

 が、魔法のことは何度聞いてもよくわからない。


 なんか、体の中にある「魔力」を形にするのが魔法らしい。

 それで、魔法には人によって適性があって、親のからの遺伝の影響が大きいらしい。


 この世界で大賢者と呼ばれる地位を得るには、基本五属性の上位魔法を使えればよいそうだ。


 大賢者って響きいいよなぁ。

 呼ばれたいなあ。と思ってルナに相談してみたが、俺には魔法が使えないので無理。だそうだ。


 つらい。


 基本五属性は「火」「水」「雷」「風」「地」のことらしい。


 ルナは大賢者らしい。


 いいなあ。かっこいいな大賢者。


 まあ、でも無理らしいのでね。

 諦めますよ。



 

 現在時刻は10:50。

 予定から5分過ぎて、馬車が到着する。


 5分~30分程度なら過ぎることがあるらしい。


 だいぶ時間にルーズだな。

 日本なら謝罪されることすらあるのに。

 

 乗合馬車に乗り込む。

 馬車一台を使うとかは庶民はないらしい。


 たくさんの人が馬車に乗り込む。


 前には二十数頭の馬がひもで結び付けられている。


 馬車もかなり大きい。

 まるでバスみたいだ。


 こういう馬車のことを「乗合馬車」と呼ぶらしい。


 何だか思ってたのと違う。



 俺とルナとその他大勢が馬車に乗り込み、馬車は動き出す。


 速度は大体小走りより少し速い程度の速さだ。


 ……遅い。


 ~四時間後~


 途中で緊急事態発生……なんてことはなく。

 四時間程度、馬車に揺られ、オリエンルに着く。




 馬車から降り立った時、俺はある種の感動に包まれる。

 「オリエンル」そこは「発展した国」だった。


 ここが俺の求めていた異世界!なーろっぱ!

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