第8話 サルジニルグと周辺国

「そういえばクロスってこの国周辺のこと何も知らないでしょ」


 クロス?誰?

 ああ、俺のことか。


 名前変わるの本当に慣れないな。


 ていうか、なにも知らないだろって、逆に知っていたら怖いんだが?

 俺、ここがどこかも知らないし。


「ここはサルジニルグ。大災害によって滅んだ国」


 大災害ってなんだ?


 そんな俺の疑問に答えるようにか、ルナは言葉を継ぐむ。


「まあ、大災害については、私にとっても、あまり気持ちのいいものではないからね。決心がついたら私のほうから話すよ」


 そうか。


「よし、切り替えて行こ―。サルジニルグの北西に位置する「シュバルカラ」はサルジニルグで起きた大災害の影響を受けて、シュバルカラの南西は壊滅的な被害を受け、その跡地は今も出入り禁止となっているんだ」


 周辺国もサルジニルグの大災害の影響をこうむっているんだな。


「そして、サルジニルグの南に位置する「パミーフクス」ここは年がら年中観光客でにぎわっていて、その中でもパミーフクスの都市部にある「パミフクランド」はいつも人が絶えないね」


 東京って書いてあるのに千葉にあるどっかのテーマパークみたいな名前だな。

 いや、一文字もかぶっていないんだが、ランドがつくだけでどうしてもその某テーマパークを思い浮かべてしまう。


「というか、なんでお前がそんなこと知っているんだよ」


 そう、まるで行ったことがあるような口振くちぶりだ。


「それは、サルジニルグ復興の経費を使って遊びに行ったからだよ」


 ルナはそういい「ははは」と乾いた笑いを漏らし、作り笑いを浮かべる。

 あまりにも不自然な作り笑いだ。


 まるで何かを覆っているような。

 何かを隠しているような。


 経費の使い込みって何やってんだよお前。という言葉がのどまで出かかったが口には出さかった。

 いや、出さなかったというよりは出せなかったというほうが表現として、正しいのかもしれない。


「……。」


 何か気の利いたことでも言おうとしたが、思いつかず沈黙ちんもくを生んでしまった。



「それで、南西に位置するのが「チェリス」この国は行ったことないからわかんないなあ……」


 え?なにチュロス?

 ちなみに俺が好きなチュロスはミスドのチュロスです。


「最後に東に位置するのが「アントイエナ」この国は巨大国家で新米国家だから魔王のことを屁とも思っていないから、唯一サルジニルグと貿易をしてくれる国だよ」


 まあ、とりあえず周辺国は頭に入った。

 で、重要なのは使えるお金がどのくらいあるかなんだが。


「国家予算ってどの程度あるんだ?」


 俺がそう聞くとルナきょとんとした顔をし。


「国家予算?ナニソレ」


 こいつ。まじかよ!


 この魔王と一緒に国を立て直すことができるのか、不安で仕方なくなる俺だった。


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