第7話 give you a name
「なんだかさ。私って君のことを「君」って呼ぶじゃん」
うん。で?
「なんか、呼びにくいというか」
そうか?
……そうか?そんなことないと思うが。
「親しみがないというか」
「だから?」
あまりに本題に入るのに時間がかかっているので俺から訊くことにした。
「あなたに名前を授けたいと思います」
「は?」
意味が分からなくて思いのほか素で聞き返してしまった。
もう、本当に意味が分からない。
君の言っていること、わけわかんないよ……。
「ていうか、俺名前もう貰ってるんだが?」
そう、俺には「
わざわざ、ルナに名前を授けられるいわれはない。
「そうはいっても、君たち日本人の名前はこの世界では、奇特で異色で独特だから」
まあ、どうでもいいんだけど「奇特」も「異色」も「独特」も意味ほとんど同じなんだよ?……。
そんなにいくつも並べる必要あった?
「一応君には外交官的な仕事もやってもらいたいと思っているから……。」
ルナみたいな名前が普通だったら、俺みたいな名前は違和感しかないだろうが、それが多様性ってもんじゃないのか?
世界が違うから許されないのか?
名前ぐらい自由にさせてくれよ。
「で、君。名前なんて言うの?」
文脈を意識しようよ。文脈を。
いや、一応名前の話はしていたから全くって訳じゃないけどさぁ……。
でも、文脈がおかしいのは確かだ。
だが、なんだ?と聞かれたら。
教えてあげるが世の情け。
「
盛大前ぶりとは裏腹に、しょぼしょぼした声が出る。
「翔琉……。かける……。×……。あっ!「クロス」とかどう?それで、姓は私のからとって……。「クロス=シャーロット」これでいいじゃん!」
あ~もうついていけない
「もういいよ。それで」
俺が投げやりにそういうとルナは顔を輝かさせる。
もちろん、実際に光っているわけではない。
「よしじゃあ。決まりだね」
まあ、いいか。
「ねえ~クロス~」
クロス?誰?そいつ。
ああ。俺か。
やっぱり急に呼ばれる名前が変わると、誰その男?ってなってしまう。
「なんだ?」
「ん~?なにもな~い。呼んでみたかっただけ。」
こいつ!。
でもまさか俺の人生で名前が変わるとは思っていませんでした。
親の中も良好だったし。
ていうか「クロス=シャーロット」なんて全然日本人名じゃないしな。
苗字変わるどころの騒ぎじゃない。
こうして俺の新しい名前が決定しました。
英語だとニューネームと言います。
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