第3話 魔王の国「サルジニルグ」へ!

「なに?ここどこ?」

 俺は今何が起こっているのか理解できなかった。

 ちなみ、ここはどこ。わたしはだれ。みたいな感じになっているが、俺は別に記憶喪失じゃない。


 い、いま起こった事をありのまま話すぜ……。

 白い光が見えたと思ったら、その光の中に人がいて、実はそいつが魔王だった。

 さらにそいつに死の宣告をされた後、いきなり異世界に連れてこられた。

 なにを言っているのかわからないと思うが、俺も何を言っているのかわからない。

 だがこれだけは言える。夢とか映像とか、そんなチャチなもんじゃ断じてねぇ。

 最も恐ろしいものの片鱗へんりんを味わったぜ。


 というか、異世界って実在したんだな。

 どんな本読んでも、この物語はフィクションです。実際の事件、団体とは一切関係ありません。って書いてあるから現実じゃないのかと思ってたのに、現実にも存在したんだな。


 だが、本と違う点がある。それはこの国が中世ヨーロッパ風の街並み、所謂いわゆる「なーろっぱ」じゃないことだ。

 なんか「異世界」というよりは、「森」といったほうがしっくりくるぐらいだ。

 自然が豊かなところなんですね。


 せっかく異世界に来たのなら剣と魔法のなーろっぱがよかった。

 まあ、そんなこと言っても叶わないから、別にいいけど。


 話は変わるが、俺は死んでいないらしい。


 いや、死ぬよって、言われたのに死んでないってどういうことだよ……。といったところではあるが、実際のところ死にそうだった俺の体を、現代医学じゃ解析不可能な技で、なんかいろいろして、いろいろして超回復させたらしい。


 なので、厳密に言うと俺は死んでない判定らしい。

 ちゃんと説明されたが、意味が全くと言っていいほど理解できなかった。


 何かよくわかんないけど、死ぬ死なないって誰が決めてんの?

 まあいいか。そんなこと聞いてもな……ってところはあるしね。


 それより、俺は、この国の復興を手伝え。みたいな名目で来たんだよな。


「とりあえず、何をすればいいんだ?」


 ルナにそう聞く、何もしないと、何も始まらないからな。

 なんだよそれ、小泉コイズミ構文かよ……。


「さぁ?何をすればいいんだろ」


 さ・あ?

 おいおいまじかよ…。(絶望)


「とりあえず。あなたには勇者として、魔王の国の復興を手伝ってほしいの」


 ……?。勇者?。


 勇者と魔王って敵対関係にあるんじゃなかったの?いつから仲間になったの。


「え?勇者と魔王って敵対関係にあるんじゃないのか?」


 俺の質問に対し、ルナはなにを言ってんのかわからない。といった表情をした。

 いやいや、なにいってんのかわかんないのはこっちのほうだから。

 その後、何か合点がいったのか、「ポン」と手を叩き。


「そうだった!。君の世界ではそれが一般的な考え方だよね」


 ……一般的?


「魔王と勇者が敵対関係になるのは、場合によるよね」


 場合による?

 ちょーっとなに言ってんのかわかんないな。


「私のおばあちゃんとかはそうだったね、それはもう暴れまくっていたらしくて、私たち魔族を軽視したやつをボコボコにしたら、いつの間にか世界問題に発展して、「人間VSおばあちゃん」になってたらしいんだよね、私が産まれてなかったからよく知らないけど」


「で、ルナのおばあちゃんを倒したのが、勇者って訳だな」


「そういう事」


 一人の力だけで世界問題を起こせるぐらいの化物ばけものを倒せるって、勇者ってどんな化物ばけもんだよ。


「そのあとから私たち魔族は恐れられ、忌むべき対象になったんだよ」


「で、ルナが俺の世界に来たように、俺の世界に来れるこの世界の人が俺の世界の人にその話を教えて、今みたいな「勇者VS魔王」が根づいてるわけだな」


「そう」

 ルナはうなずく。


 まあ、わかりやすいんじゃないだろうか、恐ろしい出来事は初対面の人でも、話せるからな。広まるのも納得だろう。


 それはさておきだいぶ話がずれている気がするのだが。

 復興の話はどこに行ったのだろうか。

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