第2話 少女は何者!?

 ばいばい今世。とは言ったものの、まだ今世からばいばいするには時間がかかるらしい。とりあえず俺は少女に質問をすることにした。


「名前、なんていうんだ?」

「私はルナ。ルナ=シャーロット。一応魔王なんだけど……」


 この子、天使じゃなくて、魔王だった。


 ……。真逆じゃねえか。


 ていうか、どうやってこの会社に入ってきたのだろう。

 自慢じゃないがこの会社。セキュリティ能力だけは無駄に高い。

 いや、無駄じゃないか。労基対策で死ぬほど活躍してるわ。


「この会社にはどうやって入ってきたんだ?」

「え?異世界転移術いせかいてんいじゅつを使ったらここについただけだよ」


 異世界転移術?なんだそれは。

 明らかにファンタジー臭ただよう言葉に俺は興味津々きょうみしんしんだ。


 労基の人間一人として通したことのないこの会社に侵入するなら、それこそ魔法でも使うしかないからこそ、彼女の言葉に俺は信憑性しんぴょうせいを感じていた。


「一つお願いがあるんだけど」

「なんだ?」


 そんな上目遣い気味に見られたら断るに断れないんだけど……。

 あんまり俺が苦しくないやつでお願いします。


「私の国の復興を手伝ってほしいの」


 ……。

 無理かもしれない。


 国の復興ってなんだ?

 それ絶対俺に任せるようなものじゃないぞ。


 いや、聞き間違いかもしれない。

「フット手伝って」といったんだよな。

 ……。いや、なんだよフットって。フットサルの略か?。

 要するに、自分の国のフットサルチームのマネージャーになれってことか。

 ……違いますよねすみません。


 まあ、いいか。

 何か特別なことができるわけじゃないけれど、俺死ぬんだし何か協力でき事があるなら協力しよう。


 唯一不安なのは魔王の国ってことだけど……。大丈夫だよな多分。

 あんまり悪い奴じゃなさそうだし。


「わかった。復興手伝うよ」

「ほんと!?言質げんちとったからね」


 言質とかいうの?この子。


 これだから最近の子は!

 …………。俺もまあまあ最近の子だわ。

言ってみたかったんだよ……。

ノリで決めちゃったけど大丈夫かな……。


「言質もとったことだし……。『転移テレポート』!!」


 視界が急に白くなる。


「え!?どうなってんの!?」


 こんな状況になったらさすがに誰でも戸惑うだろう。


「異世界に行くんだよ」


 さも当たり前のことかのようにルナは言う。


 どうやら俺はこれから異世界へ行くようです。


 これから私どうなっちゃうの~!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る